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ルピー急落、燃料高騰——広がる“二重制裁”の火花 :米EUの圧力と新たな供給先探し

ルピー急落、燃料高騰——広がる“二重制裁”の火花 :米EUの圧力と新たな供給先探し

2025年08月01日 00:15

序章──米欧「挟み撃ち」の衝撃

2025年7月31日早朝、ニューデリーの外交筋を駆け巡った二つの電報がインドのエネルギー地図を書き換えた。ひとつはドナルド・トランプ米大統領が8月1日から発動すると宣言したインド製品に対する一律25%追加関税と、ロシア産原油を購入し続ける国には“ペナルティ”を科すとの警告。もうひとつは、EUが同日採択した第18次対ロ制裁パッケージの中で「ロシア原油を原料とする精製品の第三国経由輸入を全面禁止」と明記した条項である。これにより、割安なロシア産原油に依存してきたインドの石油精製業界は、米欧双方から同時に締め付けを受ける前例なき局面に突入した。欧州理事会


キーメッセージ

  • トランプ政権:25%関税+ロシア油調達国への制裁示唆

  • EU:ロシア原油由来精製品の“バックドア”を封鎖

  • インド:主力4社がロシア油発注を停止、緊急の原油ダイバーシフィケーションへ



第1章 米国からの圧力──「100%関税」カードと“死んだ経済”発言

7月14日の選挙集会でトランプ大統領は「ロシアの戦争を支える国には100%関税を賦課する」と演説し、ロシア産原油を大量輸入するインドを名指しした。続く31日、Truth Socialに投稿された「India and Russia are dead economies(インドもロシアも“死んだ経済”だ)」という挑発的な一文は、インド国内で激しい反発を招いた。与党・BJPは沈黙を保つ一方、野党は国会でモディ政権の“外交的失態”を追及。為替市場ではルピーが1ドル=87.74まで急落し、Nifty50も前日比0.6%下落した。

Reuters


第2章 EU第18次制裁──「第三国経由」の抜け穴を塞ぐ

EU理事会が7月18日に採択した第18次対ロ制裁は、ロシア産原油を第三国で精製した燃料にも禁輸を拡大し、例外はカナダ・ノルウェー・米国など西側5カ国に限定された。この条項は、インドの私営大手リライアンスとナヤーラが欧州へ輸出するディーゼル・ジェット燃料の約30%に直撃する見込みだ。アナリストは「Gulf産油国が空いた欧州市場を奪う」と指摘し、インド勢は中南米・アフリカ向けに販路を再構築する必要に迫られる。Reuters



第3章 インド精製業界の即時対応──“ロシア無し”で回るか

ロシア油の発注を停止したのは、IOC・BPCL・HPCL・MRPLの国営4社。調達担当者は「先週からMurban(UAE)、Bonny Light(ナイジェリア)、Kazakh CPCブレンドのスポット買い付けを増やした」と証言する。しかしアフリカ・中東油は硫黄分が低い“スイート”が多く、重質ロシア油を前提に設計された高コンプレックス製油所では収率最適化が難しい。精製マージン(GRM)は7月第4週にバレル当たり2.8ドルまで急低下し、業界平均の損益分岐点(~3.5ドル)を割り込んだ。Reuters



第4章 市場・為替への波及──ルピー防衛線と株価の軋み

「25%関税」報道を受け、31日の外為市場でルピーは一時史上最安値にあと0.13ルピーと迫った。RBI(インド準備銀行)はドル売り介入で急落を抑えたが、FRBが利下げを見送ったこともあり下値リスクは継続。エネルギー輸入額の増加が経常赤字(CAD)をGDP比2.1%→2.8%へ押し上げるとの試算もある。株式市場では精製4社の時価総額が1日で合計7,500億ルピー蒸発した。



第5章 SNSの沸騰──「#TariffShock」と「#OilNationalism」

 


X(旧Twitter)のトレンド欄には、米国発表からわずか30分で**「#TariffShock」「#OilNationalism」が同時にトップ10入り。インド系投資家アカウント《@websticknl》は「Dowが1,600ドル急落──#TariffShock は世界不況の狼煙」と投稿し2.4万リポストを獲得した。X (formerly Twitter)
同じ頃、AIMIM党首オワイシ氏は「
“buffoon-in-chief”にまた脅されている**」と政権を揶揄し、リベラル系メディアはモディ首相の沈黙を批判するコラムを相次ぎ掲載。右派層からは「国家主権を侵す制裁には対抗関税を」との声も上がり、世論は分断を深めている。The Times of India



第6章 専門家の視点──短期出血と長期チャンス

格付け会社ICRAはレポートで「国営精製4社のFY25 EBITDAは▲12~15%、ただし中東油へのリファイナンスで下期には持ち直す」と分析。一方で世界のトレーダーは「EU制裁でディーゼル・ルートが再編され、アジア→欧州の船賃が30%上昇する」と指摘する。これは逆にシンガポール基準価格(MOPS)とインド国内販価のスプレッド拡大をもたらし、輸出志向の私営リライアンスにとっては利益余地となり得る。The Economic Times



第7章 グリーン転換シナリオ──“水素自由化”への加速

ロシア依存を戒める今回の危機は、インド政府が掲げる**「2047年エネルギーネットゼロ」の加速装置にもなり得る。石油省は8月内に国家水素ミッション第2版**を公表予定で、

  • 2026年までにグリーン水素年間100万トン生産

  • 2030年までにアンモニア・メタノール混焼発電比率20%

  • 精製所での**“電解槽クラスター”共同調達**
    を盛り込む方向だ。米Energy Dept.との技術協力MoUが交渉中で、制裁と関税で冷え込んだ米印関係をクリーンエネルギー協調で再接着できるかが鍵となる。



結語──再定義される“エネルギー外交”

米欧の“二正面作戦”は、インドにロシア油依存脱却とサプライチェーン再設計を迫る。一方で、世界最大の人口と成長市場を背景にしたインドの交渉力は依然大きい。

  • 短期的には精製マージンの圧縮、ルピー安と株安のトリプルパンチを受ける。

  • 中期的には原油調達多様化と輸出先の再編を通じて、リスク分散が進む。

  • 長期的には水素・再エネ投資を梃子に、**“輸入国からエネルギー技術輸出国へ”**というパラダイム転換が視界に入る。

ニューデリーは今、米欧露の地政学パズルと国内世論の板挟みでジレンマを抱える。しかし危機は同時に選択肢を拡げる契機でもある。**「複数ソース・複数燃料」**の戦略が機能するか否か——その答えは、インドが掲げる“水素自由化”ロードマップの実行度にかかっている。



参考記事

インドの製油業者、米国とEUの反ロシア圧力で苦境に
出典: https://financialpost.com/pmn/business-pmn/india-oil-refiners-squeezed-by-anti-russia-push-from-us-and-eu

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