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人間の持久力の限界とは?“無限に走れない”科学:トップ選手でも破れない代謝の上限

人間の持久力の限界とは?“無限に走れない”科学:トップ選手でも破れない代謝の上限

2025年10月28日 00:04

2025年10月26日、Cell Press経由で報じられたCurrent Biologyの新研究が、長年の論争に一つの区切りを与えた。人間が長期間にわたって持続可能な代謝出力の上限は、おおむね「安静時代謝量(BMR)の約2.5倍」——いわゆる**“代謝の天井(metabolic ceiling)”は、超一流のウルトラ競技者でさえ破れないという結論だ。研究チームは、ウルトラランニングやマルチデーのレース、トライアスロンなどに挑む14人の精鋭**を追跡し、**二重標識水(重水素と酸素18)**を用いて長期の総消費エネルギーを直接推定した。短期では6〜7倍BMR相当まで「燃やせる」としても、30週〜52週のスパンで平均すると約2.4〜2.5倍BMRに収束していたのである。SciTechDaily


どう測ったのか:二重標識水と「一年スケール」の観察

計測のキモは、体内の水分に重い同位体を“混ぜる”二重標識水法だ。尿に出てくる同位体の挙動からCO₂産生量を割り出し、ひいては実際に「燃やしたカロリー」を期間平均で復元できる。従来の単発レースのスナップショットとは異なり、今回の研究は数十週単位での推移を追った点に価値がある。参加者の中にはココドナ250(Cocodona 250)のような極限レースで一時的に6〜7×BMR(7,000〜8,000kcal/日)まで跳ね上げる例があったが、年単位の長い目で見ると、ほぼ例外なく2.5×近辺へ落ち着いた。SciTechDaily


「2.5倍の壁」はなぜ生まれるのか:消化・吸収という“入口”の制約

「限界」をどこが決めるのか。しばしば放熱(体温調節)が候補に挙がるが、2019年に示された解析は、“消化・吸収能力”という“入口”の制約が本質だと示唆した。短期なら体内貯蔵(筋肉・脂肪)を削って燃やせるが、数週間〜数か月の連続運動では“入るエネルギー”を超えて使い続けることができず、やがて**体組成の崩壊(痩せ細る)**が始まる。今回の2025年の追試的研究も、長期平均が結局は2.5×BMRに収束する点で、この見方を前進させた。PubMed Central


新研究がもたらしたアップデート:精鋭14名の一年追跡と「個体差」

2025年のCurrent Biology論文(Bestら)は、14名のトップ層を最長52週追い、短期ピークは高くとも30週/52週の平均は約2.4×BMRという「上限の実効値」を再確認した。興味深いのは個体差だ。図抜けた吸収・代謝処理能力で2.7×前後まで“押し上げ”られる選手もいるが、それでも平均的には2.5×BMR近傍が天井になる。研究代表のAndrew Bestは「1年で平均して約2.5×BMRに達するには、1日約18km(11マイル)を一年間走り続ける規模の“活動量”が必要」と述べ、一般人にとって限界以前にケガが先行するだろうと釘を刺す。Cell


懐かしの論争:妊娠は「超長期の持久系イベント」なのか

2019年の報告は、妊娠後期の代謝負荷(約2.2×BMR)が人間の持久的上限に迫ることも示し、メディアやSNSで大きな話題を呼んだ。「40週マラソン」という比喩が独り歩きしたが、趣旨は**“短期のピーク”ではなく“長期に持続できる上限”**の話である。今回の2025年研究はアスリート縛りの設計だが、長期の天井=約2.5×BMRという骨格は一貫している。today.duke.edu


現場への示唆:レース設計・栄養戦略・回復

1) 栄養摂取の上限を意識せよ:腸から“入れられる”量に上限がある以上、短期ピークの赤字(体内貯蔵の取り崩し)は長期では返済必須。連戦・ロングFKTやステージレースでは、吸収可能量に合わせたペーシングが合理的だ。科学.org


2) 回復の設計が成果を決める:2.5×BMRの天井を超える“借金状態”をどこでどう返すか。休養ブロックや強弱の波をあらかじめ組み込んだ年次計画が、結局は総量を伸ばす。Cell


3) 熱でもなく根性でもない:酷暑対応は重要だが、上限そのものは主に“入口(消化・吸収)”の制約で説明される。胃腸のトレーニング(固形・ジェル・電解質の整合)も、ペース戦略と同じくらい“パフォーマンス要素”になりうる。科学.org


SNSの反応:称賛・誤解・そして現実的な再計算

今回のアップデート(2025年)と、2019年から続く「2.5×BMR」論点に対し、SNSではおおむね以下の3つのトーンが繰り返し観察される。

  • 納得派(実務派):「長距離FKTや分割ロングで2.5×BMRの壁を意識して摂取計画を最適化すべき」という現場感覚の共有。レース後半で胃腸トラブルが増える文脈とも整合的だ、という声。Reddit

  • 誤解→修正派:「“妊娠=マラソン”なの?」という比喩の混線に対し、**“長期平均の上限”**を説明して是正するコミュニティ内の解説。Reddit

  • 数字突っ込み派:「2.5×BMR=4,000kcal/日みたいな固定数値化は人によってBMRが違うから危険」という指摘や、長期と短期をごっちゃにしないよう促すコメント。Reddit

また、Cell Pressの公式Xが今回の論文を告知し、専門メディアも**「一年スパンで見れば2.5×前後に頭打ち」という解説で足並みをそろえた。2019年の議論を踏まえつつ、最新の一年追跡データが上限の堅牢さ**を補強した形だ。X (formerly Twitter)

 



「限界」を味方につける:アマチュアの戦術メモ

  • **年単位の“総量目標”**を決めるとき、2.5×BMRの天井を“バックストップ”として置く。

  • ハイライト(ピーク)期は短期赤字を許容しつつ、ビルド→テーパー→回復で平均を2.5×以内に収める意識を。

  • 胃腸耐性の強化(固形とジェルの配分、塩分・水分の同調、レース強度での摂取練習)はペース練と同列の柱。

  • 「走り込み=無限」ではない。上限を知ることは「やらない勇気」の根拠にもなる。


結論

“壁”は悲観ではない。上限を知れば、設計は上手くなる。短期ピークで夢を見つつ、年スケールの平均を2.5×BMR以内に納める。これが壊さずに強くなるための、科学的な「取扱説明書」だ。SciTechDailyCell


参考記事

「人間の体はどこまで耐えられるのか?科学者たちが人間の持久力の究極の限界を発見」
出典: https://scitechdaily.com/how-far-can-the-body-go-scientists-find-the-ultimate-limit-of-human-endurance/

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