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ハワイの鳥たちを守る誇り:「先住知は保全の敵」ではなく「鍵」だった — ハワイの湿地から学ぶ協働の科学

ハワイの鳥たちを守る誇り:「先住知は保全の敵」ではなく「鍵」だった — ハワイの湿地から学ぶ協働の科学

2026年01月15日 17:39

1)「先住民が鳥を絶滅させた」という物語は、なぜ強いのか

島の生きものが消えるとき、私たちは“分かりやすい犯人”を欲しがる。銃を持った外来の開拓者か、外来種を持ち込んだ近代社会か——。だがハワイの水鳥をめぐっては、もっと根深い犯人像が長く流通してきた。「最初に島へ来た人びとが、鳥を狩り尽くした」。この説明は、半世紀近く“科学的事実のように”教えられてきたという。


今回、その前提に真正面から異議を唱えた研究が出た。結論は挑発的で、同時に冷静だ。「先住ハワイアン(Kānaka ʻŌiwi)が水鳥を乱獲して絶滅させた」と断じるだけの科学的証拠は見当たらない。むしろ、絶滅は単独犯ではなく、気候変動・外来種・土地利用の変化が複合して起きた可能性が高い——という。


ここで重要なのは、研究が“無罪判決”を出したいわけではない点だ。狙いは、雑に単純化された歴史を、データで組み替えること。さらに言えば、保全の世界に潜む「人間はどこへ行っても自然を破壊する」という固定観念そのものを、いったん疑うことだ。


2)データが示す「絶滅のタイミング」は、一直線ではない

研究が最初にやったのは、通説の骨格(=人が来て狩って消えた)を“時間”で検査する作業だった。古生態学の証拠、つまり化石や堆積物などから、「その鳥がいつまで存在していたか」を丹念に整理する。すると、直線的なストーリーがぐらつく。


ポイントはタイミングのばらつきだ。絶滅した水鳥18種を見たとき、すべてが「人の到来直後」に消えたわけではない。人が来る前から記録が途絶えている種が相当数ある一方、ポリネシア時代に消えた可能性のある種もあり、さらにヨーロッパ人到来後まで目視記録が残る種もいる。


つまり「到来=一斉絶滅」という図は、少なくとも水鳥では雑すぎる。

ここで誤解してはいけないのは、「じゃあ人間は関係ないんだね」という反転でもないことだ。研究が示すのは、ポリネシア時代に起きたかもしれない絶滅についても、原因は一枚岩ではなく、人為要因と非人為要因が絡む“複合要因”だった可能性が高い、という現実的な見立てだ。


3)新しい説明:「レジームシフト(体制転換)型の絶滅」

今回の研究の面白さは、否定(乱獲犯人説の弱さ)で終わらず、代わりの見取り図を出したことにある。提示されたのが「レジームシフト(体制転換)型の絶滅」という考え方だ。


湿地は、ただじわじわ悪化するだけではない。複数の圧力が重なって“閾値”を超えると、生態系が別の状態へガクンと移行することがある。水量、植生、塩分、外来捕食者、病原体、土地利用の変更——こうした要因が同時に作用すれば、湿地はある日を境に「鳥が暮らせる場所」から「鳥が暮らしにくい場所」へ質的に変わってしまう。
その結果として起きるのが、見かけ上の“突然の消失”だ。これが「体制転換としての絶滅」という発想である。


この説明は、犯人を一人に絞るより、現場の感覚に近い。保全の現場では、単独の原因より「悪い条件が重なったとき」に急に状況が崩れることのほうが多いからだ。


4)“鳥が最も多かった時代”の再評価:先住の湿地管理という視点

研究がもう一段踏み込むのは、ここからだ。現在は絶滅危惧にある水鳥が、むしろヨーロッパ人到来直前、湿地管理が社会の基盤だった時期に「最も豊富だった可能性が高い」と指摘する。


この逆転が示すのは、「人間がいたから減った」ではなく、「どう人間が関わったかで増えも減りもする」という当たり前だが見落とされがちな事実だ。


そこで焦点になるのが、loʻi(ロイ)と呼ばれる湿地農耕生態系(タロイモ畑など)だ。湿地を“自然から切り離して保護する対象”としてだけ扱うのではなく、生活と結びついた管理の仕組みとして再構築する。鳥の回復は、生態系の修復であると同時に、コミュニティとの関係修復でもある——研究はそう語っている。


5)SNSの反応:科学の話なのに「信頼」の話になっていく

このテーマは、論文の中だけで完結しない。SNS上でも反応が広がるのは、結局これは「生態学」だけではなく「責任の物語」だからだ。


(1)専門コミュニティの反応:まずは要点共有、そして“仮説の筋”に注目
バードウォッチャー系フォーラムでは、論文情報がかなり早く要約され、どの仮説を比較したのか、絶滅タイミングの内訳はどう整理されたのか、といった“事実関係の整理”が淡々と共有されていた。議論が過熱するというより、「この整理は今後の研究の土台になる」という受け止めが強い印象だ。


(2)メディア/職能SNSの反応:保全は「先住知を統合せよ」という方向へ
職能SNSでは、記事の要点が「乱獲の証拠なし」「気候変動・外来種・土地利用変化の複合」「先住知の統合が重要」という形で短く拡散されていた。研究内容そのものより、「協働型の保全」へ背中を押す材料として読まれている。


(3)反応が“科学”から“関係性”へズレていく理由
この話題が刺さるのは、過去の解釈が、現在の意思決定に影響するからだ。先住コミュニティが「絶滅の加害者」とされ続ければ、協働の前提となる信頼は傷つく。逆に、証拠に基づいて誤った前提を取り下げれば、協働のスタートラインが整う。


研究が提示したのは、新しい原因説だけではなく、「どんな前提で歴史を読むかが、保全の未来を変える」という、かなり政治的ですらある論点だった。


6)日本の読者にとっての示唆:「犯人探し」を降りた瞬間、保全は強くなる

この研究から学べるのは、ハワイ固有の話にとどまらない。
絶滅や劣化を説明するとき、私たちはしばしば“単純な物語”を採用する。単純な物語は理解しやすいが、誤ると長く残る。そして、誰かを不当に傷つけ、協働を壊し、結果的に保全の成果も遠ざける。


だからこそ必要なのは、(1) データで検証すること、(2) 複合要因を前提に組み立て直すこと、(3) その上で、地域の知と実践を「外側」ではなく「中心」に置くことだ。


“自然を守る”は、自然だけを見ても達成できない。自然と人の関係を、どう編み直すか。ハワイの湿地をめぐる議論は、その難題に真正面から挑んでいる。



注(本文の事実関係の根拠:閲覧できた公開情報)

  • 研究が「先住コミュニティの乱獲に科学的根拠はない」とし、絶滅要因として気候変動・外来種・土地利用変化の複合を挙げている点。

  • 「人間=不可避のエクサイド」というバイアスが保全の物語を形作ってきた、という研究者コメント。

  • 絶滅水鳥18種の整理(到来前に記録が途絶えた種が多い等)と、比較した4仮説(乱獲/伐採/気候変動/移入種)。

  • loʻi(湿地農耕生態系)の復元が水鳥回復に重要だという見解、および「信頼の崩壊」「意思決定からの排除」に関するコメント。

  • 職能SNS(LinkedIn)で、記事要点が上記の形で共有されていること(投稿本文・反応数の一部)。



参照URL

  • University of Hawaiʻi System News(同内容のニュースリリース):https://www.hawaii.edu/news/2026/01/13/bird-extinctions-debunk/

  • BirdForum(論文情報・要旨共有スレッド):https://www.birdforum.net/threads/drivers-of-waterbird-extinction-in-hawai%CA%BBi.477401/

  • LinkedIn(Phys.org投稿):https://www.linkedin.com/posts/phys-org_myth-of-native-hawaiians-causing-bird-extinctions-activity-7416961126166593537-ju6G

  • EurekAlert!(関連マルチメディア/DOI記載):https://www.eurekalert.org/multimedia/1110212

参考記事

「ハワイ先住民が鳥の絶滅を引き起こした」という神話、研究により誤りと判明
出典: https://phys.org/news/2026-01-myth-native-hawaiians-bird-extinctions.html

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