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自然は想像以上に速い - たった数年で形が変わる:パンデミックが示した「人間のいる自然/いない自然」

自然は想像以上に速い - たった数年で形が変わる:パンデミックが示した「人間のいる自然/いない自然」

2025年12月17日 00:12

1) 「人がいない街」は、自然にとって何だったのか

2020年、世界は突然“静か”になった。移動制限、キャンパス閉鎖、観光の消滅。人間にとっては危機だったが、生き物にとっては巨大な「実験条件」が立ち上がった。科学者たちはこの期間を Anthropause(アンソロポーズ:人間活動の一時停止) と呼び、野生動物の行動・分布・繁殖がどう変わるかを追ってきた。 Nautilus


ただ、今回話題になったのは「行動」だけではない。鳥の“身体の形”そのものが変わった、しかも元に戻ったという報告だ。 SMC España


2) 主役は、都市に住み着いた“身近な鳥”

研究対象は dark-eyed junco(ダークアイド・ジャンコ)。北米で広く見られる小鳥で、都市でも観察される。ポイントは、この鳥が“都市生活”に適応してきた過程を長期的に追える集団があったことだ。 ウィキペディア


都市の鳥は、食べ物も環境も「野生」と違う。人が落とす加工食品、ゴミ箱、屋外で食べられる食事の残り——そうした資源が、都市の生き物の生存戦略を変える。実際、ジャンコでは、コロナ以前に都市個体のくちばし形状が周辺の非都市個体と異なり、それが**人間由来の食資源(加工食品の残りなど)**と関係している可能性が示唆されていた。 ウィキペディア


3) ロックダウンが引き起こした「くちばしの巻き戻し」

Science Media Centreの解説によれば、この研究はロサンゼルス都市部の集団を対象に、ロックダウン前・最中・後をまたいでデータを比較し、くちばしのサイズと形が“速く”“可逆的に”変化したことを示した。 SMC España


特に象徴的なのが、Anthropause期に生まれた個体のくちばしが、非都市(野生環境)の個体に近い形へ寄った点だ。ところが、キャンパス活動などが戻って人間の存在感が復活すると、数年のうちに“都市型”の形へ再び戻ったという。 SMC España


サンプル数も小さくない。解説では、成鳥626羽、雛(ひな)1,067羽といった規模の測定が言及されている。 OUP Academic


4) 何が“くちばし”を動かしたのか:進化か、可塑性か

ここで重要なのは、「短期間で形が変わった=すぐ進化した」と決めつけないことだ。研究が示すのは、あくまで形態が環境に応じて変わり、戻りもするという現象であり、そのメカニズムには複数の可能性がある。


  • 発達段階の可塑性(phenotypic plasticity)
    雛の成長期に、食べ物の種類(硬さ・粒度・栄養構成)が変われば、採食器官であるくちばしが“育ち方”を変える可能性がある。人の活動が減れば、加工食品の残りや廃棄物にアクセスしづらくなり、食性が野生寄りに戻る——そう考えると、Anthropause期の“巻き戻し”は説明しやすい。 SMC España

  • 集団構成の変化(移入・移出、繁殖成功の差)
    人の往来が減れば、都市内外の移動や捕食圧、営巣の成否も変わる。どの個体が増え、どの個体が減ったかでも平均形態は動く。

  • (もしあるなら)選択による変化
    ただし、数年スケールで“戻る”ことまで含めると、遺伝的な固定だけで語るのは慎重であるべきだろう。だからこそ、この研究の面白さは「都市の環境が、体の形にまで効くかもしれない」という事実の提示にある。 SMC España


5) 私たちは「都市の食物網」を過小評価してきた

都市はコンクリートの塊ではなく、巨大な“給餌装置”でもある。ゴミの出し方、屋外飲食の量、清掃頻度、ゴミ箱の構造、そして人の密度。こうした要素が、鳥にとっての主食・副菜・デザートを形作る。


Wikipediaのまとめには、都市個体のくちばし形状の違いが「キャンパスの人間が食べる加工食品の残り」を中心とした食性と関係している可能性、そしてロックダウン期に非都市個体に近づき、解除後に戻ったことが記されている。つまり、私たちの“日常の食べ方・捨て方”が、野生動物の身体設計にまで影響し得るということだ。 ウィキペディア


6) SNSの反応:驚き→倫理→“餌付け”議論へ

この手のニュースがSNSで拡散するとき、反応はだいたい3段階で深まっていく。


(1)まず驚く:「そんなに早く変わるの?」
「人が減るだけで身体の形まで?」という純粋な驚きは、Anthropause全般の話題でも繰り返されてきた。 Nautilus


(2)つぎに刺さる:「じゃあ普段の街は、どれだけ生き物を変えているの?」
“戻った”という事実は、人間の影響が一方向ではなく、日々の生活に密着していることを突きつける。ここで多くの人が、自分の生活(外食、ゴミ、ペット、庭)と野生の線を引き直し始める。


(3)そして議論へ:「餌付けは善か悪か」
Redditなどでは、鳥の健康や感染症、そして「餌台が行動や身体的特徴(くちばし形)に影響する」という話題が、実体験とともに語られやすい。あるスレッドでは、鳥の病気拡散リスクや、餌台が鳥を“集めすぎる”問題に触れつつ、**「beak shape! Really!」**と驚きを交えたコメントが見られる。 Reddit


同じ流れで「鳥に良いことをしているつもりでも、実は人間側の満足が中心では」という自己批判的な視点も出てくる。 Reddit


ここが重要だ。今回の研究が示唆するのは、「餌付けをやめよう」という単純な結論ではない。むしろ、都市の資源設計(ゴミ管理、屋外飲食、緑地設計)こそが野生動物を形作るという、より大きな論点だ。 SMC España


7) じゃあ私たちは何を変えられるのか

都市と野生の境界は、法律や地図よりも「人間の行動」で引かれている。

  • ゴミ箱が開いているか閉じているか

  • 食べ残しが路上に残るか回収されるか

  • 緑地が“通路”なのか“生息地”なのか


こうした小さな差が、鳥の採食、繁殖、そして今回のように形態の変化にまでつながるかもしれない。Anthropauseは悲劇の時代だった。それでも、私たちが「影響を与える側」だという事実を、これ以上ないほど分かりやすく可視化した期間でもあった。 SMC España



参考記事

パンデミックによるロックダウンが小鳥のくちばしをどのように変えたか
出典: https://www.nytimes.com/2025/12/15/science/covid-ecology-anthropause-birds.html

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