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ディズニーが香港企業を提訴—ミッキーマウスジュエリーの商標侵害を巡る国際的攻防

ディズニーが香港企業を提訴—ミッキーマウスジュエリーの商標侵害を巡る国際的攻防

2025年07月18日 01:36

1 序章──「パブリックドメイン元年」の祝祭と暗雲

2025年7月16日、ロサンゼルス連邦地裁に提出された訴状が、世界のクリエイティブ業界に衝撃を与えた。原告はウォルト・ディズニー社、被告は香港のRed Earth Group。同社がオンラインブランド「Satéur(サテュール)」を通じて販売する《Mickey 1928 Collection》の指輪・ネックレス・ピアスが「公式品であるかのように消費者を誤認させ、ディズニーの登録商標を侵害している」と訴えたのである。

著作権が切れ公共財化した1928年版ミッキーの自由利用が解禁されてからわずか1年足らず──楽観と混乱が入り混じる“パブリックドメイン元年”は、早くも法廷闘争という現実を突きつけられることになった。AP News


2 1928年ミッキーと商標の残響

1928年の短編『Steamboat Willie』は、サイレント映画末期にアニメと同期音響を融合させた画期的作品で、ミッキーは世界的スターへの第一歩を踏み出した。2024年1月1日、この初期バージョンが米国著作権保護期間95年を満了しパブリックドメイン入りした。だがディズニーは同時に、「ミッキー・マウス」の語句や後年の意匠については多数の商標登録を維持し続けている。実際、2024年以降もディズニーはテーマパーク商品や映像コンテンツで近年版ミッキーを堅持し、ブランドイメージの一貫性を死守してきた。Northeastern Global Newsweb.law.duke.edu


3 訴状の核心──Red Earthは何をしたのか

訴状によれば、Red Earth側は自社ECサイトで「ディズニー愛好家への完璧なギフト」「Steamboat Willieへ最大のオマージュ」といった文言を掲げ、1928年版キャラのシルエットを石留め装飾に組み込み、さらに大量のSNS広告で“公式感”を匂わせたとされる。ディズニーはこれを「商標権を迂回するためにパブリックドメインの文脈を意図的に悪用した“ルース(偽装工作)”」と断じ、販売差止めと損害賠償を求めた。Star TribuneSatéur


4 Satéur──急成長ジュエリーD2Cの光と影

Satéurは2019年創業、モアッサナイト(合成ダイヤ)の低価格ブライダルリングがバイラルヒットし、TVCMなしで年間売上5千万ドル規模に到達した新興D2C企業である。創業者は“ラグジュアリーの民主化”を掲げ、近年はIPコラボ路線に舵を切っていた。しかし公式ライセンス取得コストの高さは課題で、「パブリックドメインIP活用」は投資家向け説明資料でも強調されたビジネス戦略だった──そこにミッキー1928が選ばれたのは必然だったと言える。


5 著作権と商標──似て非なる保護システム

著作権は一定期間後に必ず失効するが、商標は更新し続ける限り半永久的に効力を保つ。ディズニーはミッキーのシルエット、名前、フォント、さらには典型的な赤いパンツ意匠など、多層的な商標バリアを敷設してきた。ノースイースタン大学の法学者ダニエル・マーティン氏は「公共財となったキャラクターでも、出所混同を招けば商標侵害は成立する。商標は“誰のグッズか”という『源表示機能』を守るための制度だから」と指摘する。Northeastern Global News


6 専門家の視点──解禁ビジネスは“地雷原”

コロンビアの知財弁護士フアナ・カヒアオ・レイナ氏は、「著作権の終了を根拠に商用利用を急ぐスタートアップが激増しているが、商標・パブリシティ権・不正競争防止法など複合リスクを計算に入れなければ必ず躓く」と警告。ディズニーの今回の提訴は「見せしめ」というより「新たな公共財時代の指針を裁判所に確認させる意図が強い」と分析する。hklaw.com


7 SNSの沸騰──#SupportDisney vs #FreeMickey1928

今回の報道が流れると、X(旧Twitter)のトレンドには**#Mickey1928**、#FreeMickey1928、#SupportDisneyが同時に浮上した。前者は「公共財を独占するな」「小規模クリエイターのチャンスを奪うな」と怒りを募らせ、後者は「ブランド価値を守らねば文化も雇用も壊れる」と反論。フォロワー12万人の法律系インフルエンサー@IP_Geekは解説スレッドで「商標侵害と著作権フリーは共存しうる矛盾ではない」と平易に図示し10万いいねを集めた。X (formerly Twitter)


8 市場インパクト──“レトロIP商戦”の転換点

Steamboat Willie解禁を契機に、ホラー映画『Infestation 88』やファンアートNFTなど、レトロIPビジネスは百花繚乱の様相を呈している。だが今回の訴訟は「パロディと商品化の線引き」に冷水を浴びせた。アナリストの間では「ディズニー勝訴なら、商標付きヴィンテージIPの商品化コストは跳ね上がり、真に“安全”な公共財ビジネスは文字・楽曲・古典絵画などに再集中する」との見方が強い。Vanity Fair


9 先例比較──“プーさん・ホラー映画”と何が違うか

2022年に公開された『Winnie the Pooh: Blood and Honey』は、パブリックドメイン入後初のホラー改変で世界を驚かせたが、映画は「ディズニー公式を想起させる赤いシャツのくま」をあえて避け、商標リスクをヘッジした。対してSatéurのジュエリーはミッキー型シルエットを“ブランドアイコン”として前面に出し、さらに「ディズニー愛好家向け」とPRした点が命取りになった──今回の訴状はそこを鋭く突いている。


10 展望──和解か全面戦争か

裁判は連邦地裁で来年前半に本格化する見込みだが、ディズニーは“先例作り”を優先するため早期和解より判決獲得を選ぶ可能性が高い。Red Earthはジュエリー全品の意匠変更と追加コストを余儀なくされれば成長戦略が瓦解しかねず、NY証券取引所への上場計画も暗雲が漂う。最終的に示される損害賠償額より、「誰が公共財ミッキーで稼げるのか」というビジネス・モデルの青写真そのものが審議対象になる点こそ、本件の最大の注目ポイントと言えるだろう。



結びに代えて

1928年の古風な笛の音とともに船上で口笛を吹くミッキーは、確かに“みんなのもの”になった。だが現代のマーケットで「そのミッキー」は依然として強大なブランドシンボルである。公共財の自由と企業の商標権、その両者のバランスをいかに保つのか──今回の裁判は、次世代のクリエイターとスタートアップにとって避けて通れない指針となるだろう。


参考記事

ディズニー、違法なミッキーマウスのジュエリーを販売しているとされる香港企業を提訴
出典: https://financialpost.com/pmn/disney-sues-hong-kong-company-it-says-is-selling-illegal-mickey-mouse-jewelry

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