『砂糖ゼロ=無害』は誤解だった — 飲むたびに肝臓が太る?人工甘味のリアル

『砂糖ゼロ=無害』は誤解だった — 飲むたびに肝臓が太る?人工甘味のリアル

「ゼロ」が安全神話を壊した日——ダイエット飲料と肝臓リスクをめぐる新常識

「砂糖ゼロ」「カロリーゼロ」。健康志向の象徴として広がってきたラベルが、いま静かに見直しを迫られている。2025年10月、ベルリンで開催された欧州消化器病学会(UEG Week)で報告された大規模研究は、「砂糖入り」だけでなく「人工甘味料入り」の清涼飲料も、肝臓の脂肪蓄積をともなう代謝異常関連脂肪性肝疾患(MASLD:旧NAFLD)の発症リスクを押し上げる可能性を示した。対象はUKバイオバンクの12万人超を10年超追跡——日常的に飲む“1本”の選択が、肝臓の将来を左右しかねないというインパクトで、世界のニュースとSNSを駆け巡った。Fox News ueg.eu


研究概要はこうだ。砂糖入り飲料(SSB)を多く飲む群でMASLDリスクが約50%上昇し、低/無糖甘味飲料(LNSSB、いわゆるダイエット飲料)を多く飲む群では約60%上昇。水に置き換えるとリスクが約14〜15%低下するという置換分析も示された。なお、本研究は観察研究であり因果は断定できない点、摂取量が自己申告である点などの限界も明記されている。Fox News


Fox Newsは「ダイエット飲料のほうがリスク上昇幅が大きかった」と報道。要点は、①発表はUEG Week(ベルリン)②対象は12万人超・追跡10年③SSB約+50%、LNSSB約+60%④水への置換でリスク低下⑤まだ査読前の学会発表である——の5点だ。Fox News


この結果は特異な孤立報告ではない。近年、人工甘味飲料の代謝影響を示す研究は積み重なっており、UKバイオバンクのデータを用いた関連研究では、人工甘味・砂糖甘味の双方がNAFLD関連アウトカムに結びつく所見が出ている。UK Biobank サイエンスダイレクト


なぜ「ゼロ」が肝臓に響くのか——考えられるメカニズム

  • 腸内細菌叢への影響:人工甘味料が腸内細菌の構成・代謝を変え、肝臓の脂質代謝や炎症に波及する可能性。Fox News

  • 味覚・摂食行動の変化:強い甘味刺激が報酬系を賦活し、甘味嗜好や総摂取カロリーを押し上げる仮説。Fox News

  • インスリン反応のかく乱:一部研究で人工甘味でもインスリン分泌や糖代謝指標に影響が出る可能性。Fox News

これらはあくまで仮説段階で、複数要因が重なっているとみられる。いずれにせよ「砂糖を人工甘味に置き換えれば万事解決」という単純図式は成立しない。

リスクは“量”と“習慣”の関数

今回のハザード比(SSB約1.50、LNSSB約1.60)は、日常的に缶1本相当(約330g/日)以上という“習慣”が前提だ。毎日ではなく週に数回の少量摂取と、常飲習慣は別物。重要なのは“習慣の修正”である。Drugs.com

置き換え戦略:水が最適解

「砂糖入り→ダイエット」ではなく、「どちらも→水」への置換がもっともリスク低下に寄与したと報告された。ハイリスク行動の“横スライド”ではなく、“下方シフト”が鍵だ。具体的には、昼食時のソフトドリンクを無糖の炭酸水に、カフェのフレーバーラテをストレートコーヒー+無糖ミルクへ、エナジードリンクをハーブティーへ——といった“現実的な置換”が有効だろう。Drugs.com


SNSはどう反応したか——三つの論点

学会発表直後から、Redditの健康系コミュニティやThreadsの投稿で議論が過熱した。概ね以下の3類型に整理できる。Reddit

  1. 「因果ではなく相関」派
    「観察研究で自己申告。健康意識の低さや既往の食生活など交絡が残っているのでは」という指摘。これは学会側も認める限界で、査読論文と追試が必要だ。Fox News

  2. 「砂糖よりマシ」神話の終焉
    「ダイエット飲料は“相対的にマシ”という安心感が崩れた」「ゼロ表記の規制や広告ガイドラインを再考すべき」との声。複数メディアが“ダイエットの方で+60%”を強調した見出しを付け、拡散を加速させた。EatingWell

  3. 実務的アドバイスへの収束
    「結局は“水を増やす”が正解」「無糖の炭酸や無糖茶が現実的」といった置換提案が多数。メディア記事でも水置換の効果が繰り返し紹介され、生活術として定着の兆しがある。メディカルニューストゥデイ


企業・専門家のスタンス

Fox Newsは「米飲料業界団体にコメントを求めている」と記したが、記事掲載時点での回答は示されていない。いずれにせよ、近年の規制・ラベリングや広告表現の国際潮流(高糖飲料税、フロントラベル表示など)を踏まえると、“ゼロ=無害”という積極メッセージはリスクを帯びつつある。Fox News


一方、臨床家向けメディアも「ダイエット飲料の肝関連死亡リスク上昇の所見」「水置換による相対リスク低下」を踏まえ、患者指導での留意点を整理し始めている。Medscape


読者のための“実装ガイド”

  • 毎日飲む1本を見直す:まず“デイリー1本”の習慣があるかを自己点検。あるなら無糖の選択肢へ置換Drugs.com

  • 味覚のならし運転:無糖飲料の味に慣れるまで2〜3週間は必要。フレーバー付き無糖炭酸(無甘味)→プレーン水へ段階的に。

  • 「ごほうび化」を避ける:カロリーゼロの“免罪符”で他の摂取が増える置き換え効果を警戒。

  • 医療者と相談:既存疾患(糖尿病、脂質異常症、肝疾患)や薬剤の有無で最適解は変わる。今回のエビデンスは観察研究であり、個々の治療方針を直接規定しない点を理解して活用したい。Fox News


エビデンスの現在地と次の一手

今回の発表は学会プロシーディング段階(査読前)。今後、論文として詳細が公開され、交絡の厳密な調整、用量反応、サブグループ(BMI、性別、既存の代謝疾患)の検証が注目点になる。並行して、**ランダム化比較試験(飲料置換介入)メカニズム研究(腸内細菌叢・肝脂質代謝)**が前へ進むだろう。過去研究の積み上げと整合している点は、今のうちから生活上の“低リスク選択”をとる合理性を支える。UK Biobank


参考記事

ダイエット飲料に関する大規模な研究が、その健康への影響について疑問を投げかける
出典: https://www.foxnews.com/health/major-study-diet-drinks-raises-questions-health-impact