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クレジットカード会社の規制強化がオタク文化を直撃──Steamまで広がる“金融検閲”の現在地とその影響

クレジットカード会社の規制強化がオタク文化を直撃──Steamまで広がる“金融検閲”の現在地とその影響

2025年07月21日 22:37

1. 規制強化の発端──カード会社が“ブランド保護”を最優先へ

2025年4月、VisaとMastercardは加盟店規約を改定し、ポルノ・近親相姦・未成年の性的描写・ヘイト表現などを含むデジタル商品を「高リスクカテゴリー」と明記した。違反が疑われる加盟店に対しては最短24時間でサービス停止が可能となり、PayPalやStripeなど主要決済代行各社も追随する形で内部ポリシーを更新した。Otaku USA Magazineエンガジェット

“ブランド毀損リスク”という論理

カード会社は法規制ではなく「自社ブランドを守る民間契約」という建付けで審査を強化しており、公的な透明性確保の枠外で運用される。そのため、クリエイター側が基準の詳細を把握できず「何がNGか分からない」といった不安が絶えない。note(ノート)



2. Steamガイドライン改定──第15項で一斉削除

Valveは7月16日、開発者向け文書「Steamworksドキュメンテーション」に新たに第15項を追加。〈決済事業者・カード会社・銀行などの規則に抵触する可能性のあるコンテンツ〉を配信禁止事項に指定した。AUTOMATONITmedia


削除数は“数百本規模”

実際にSteamDBが確認しただけでも、近親相姦や一部の過激なフェティッシュ要素を含むタイトル約350本がリスト非公開または販売停止となった。開発者の中には売上の8割をSteamに依存していたケースもあり、運営資金が途絶したとの証言が相次ぐ。GamingOnLinux4Gamer



3. “金融検閲”という概念

「金融検閲(Financial Deplatforming)」とは、国家による法的禁止ではなく、民間金融インフラが決済を拒否することで結果的に表現や商取引を封じる行為を指す。2013年の米司法省「Operation Choke Point」が発端となり、銃器・大麻・アダルト産業・暗号資産などが標的とされてきた。Axiosアメリカ合衆国下院金融サービス委員会


クラウドファンディングと同人誌も標的

日本では2019年以降、PAY.JPやSBペイメントなど国内決済代行が同人誌即売会向けサービスを停止した事例が複数確認されている。対象は成人向けだけにとどまらず、ボーイズラブやフェミニンな表現も含まれ、事実上のLGBTQ+排除につながるケースも報告された。note(ノート)



4. 影響分析──推定8000億円市場の失速

矢野経済研究所によると、日本のオタク系コンテンツ産業(同人誌・二次創作・アダルトゲーム・美少女フィギュア等)は2024年時点で推定市場規模約8000億円。決済停止により年間売上の5〜15%が失われるとの試算もある。クリエイターは海外のダウンロードストアや仮想通貨決済に移行するが、手数料増加やファン離脱で収益性が低下している。



5. 当事者の声

  • 同人ゲーム開発者A氏:「突然アプリが非公開になり、問い合わせても『決済業者の基準に抵触』としか返答がなかった。明確なガイドラインがないので再設計も難しい」

  • 海外パブリッシャーB社:「規制対象は“近親相姦”と言われるが、創作上の設定すら許容されない。表現文化に対する理解が欠如している」

  • BLサークル主宰C氏:「性的マイノリティの創作が“ハイリスク扱い”されるのは差別的だ」



6. 法制度とコンテンツ規制の狭間

日本では刑法175条(わいせつ物頒布)や児童ポルノ禁止法が存在する一方で、成年向け表現自体は合法。にもかかわらず、グローバル基準を掲げるカード会社に従うために国内企業が過剰遵守(コンプライアンス・チリング)を起こし、結果として法的に問題のない作品まで排除される構図だ。


EU・英国の動向

欧州ではDigital Services Act(DSA)が2024年に全面施行され、プラットフォームに対し透明性報告義務を課すが、決済代行までは直接規制しておらず“空白”が指摘される。



7. 回避策──代替決済と自家通販

  1. 暗号資産決済:BTCやUSDTでの受け皿を用意する事例が急増。ただし価格変動と確定申告の複雑化が課題。

  2. 同人向け海外プラットフォーム:DLsite英語版やItch.ioなどが「成人向け可」を維持。ただし英語UI必須とレベニューシェア率が高い。

  3. 銀行振込・代引き復活:国内ではレトロな決済手段を再評価する動きも。



8. クリエイター・ファンが取るべきアクション

  • 複数決済手段の確保:Stripe・PayPalだけに依存しない。

  • ガイドライン監視ツールの導入:Steamガイド更新を自動通知するBotが有志で公開。

  • 業界団体への参加:日本同人コンテンツ協会(仮称)が発足準備中。


9. 表現の自由を守るために

金融インフラを介した表現封鎖は、実質的に国境を越える私的検閲であり、民主的統制の外側にある。業界・学術・法曹・ユーザーが連携し、

  1. 透明性の確保──カード会社に対しNG項目の公開と異議申し立て手続きを要求

  2. 公共的議論の場──国会図書館や文化庁主催の公聴会

  3. 規制影響評価──文化損失額や海外流出額を定量化し政策提言



10. 結論

Steamまで広がった金融検閲は「オタク文化」に留まらず、音楽、映像、ジャーナリズムといった他のクリエイティブ分野へも波及する可能性が高い。公共の議論を欠いたまま民間企業の恣意的基準が文化の存亡を左右する現状は、表現の自由と多様性を重んじる国際社会の課題であり、日本のファン・クリエイターも無関心ではいられない。今後は透明性と説明責任を確立しつつ、代替決済インフラと国際的な擁護ネットワークを構築することで、文化的エコシステムを守り抜く必要がある。




🔗参考記事一覧(クリック可能リンク)

  1. PC Gamer – Steam introduces new rule prohibiting certain kinds of adult-only content

  2. Engadget – Steam now bans games that violate the rules and standards of payment processors and banks

  3. AUTOMATON – Steamにて「配信すべきではないコンテンツ」が拡大

  4. ITmedia – 決済業者の基準に違反するゲーム禁止 新ルール

  5. 4Gamer – Steam,決済事業者などの基準に反するコンテンツを禁止

  6. Otaku USA – Steam Says It Can Turn Down Games If Credit Card Companies Find Them Offensive

  7. Axios – House GOP hears crypto firms on Operation Choke Point 2.0

  8. note – クレジットカード規制がオタク業界を襲う!「金融検閲」の深刻な構造


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