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台湾有事をめぐる日中“言葉の戦争” ─ ライブ中止、旅行ボイコット

台湾有事をめぐる日中“言葉の戦争” ─ ライブ中止、旅行ボイコット

2025年11月24日 06:53

1. 国連に持ち込まれた「台湾×日本」対立

11月22日、中国は日本との外交摩擦をついに国連の場へと持ち込んだ。
中国の国連大使・傅聡(フー・ツォン)はグテーレス国連事務総長宛ての書簡の中で、日本の高市早苗首相が台湾有事について語った国会答弁を「国際法と外交慣例への重大な違反」と非難し、日本が台湾問題への「武力介入」を示唆したと主張した。InfoMoney


書簡では「もし日本が台湾海峡情勢に武力で介入するなら、それは侵略行為であり、中国は国連憲章と国際法に基づく自衛権を断固行使する」と警告している。Reuters


ブラジルの経済メディア InfoMoney が配信した記事も、この書簡を「ここ2週間でエスカレートしてきた日中の対立の中で最も強い表現」だと伝えており、両国関係が異例の緊張レベルに達していることを印象づけた。InfoMoney


2. きっかけは高市首相の「存立危機事態」発言

発端となったのは、11月7日の日本国会での高市首相の答弁だ。
高市氏は、中国が台湾に対して武力行使を行い、それが日本の平和と安全に深刻な影響を及ぼす場合、「日本の存立が脅かされる事態(存立危機事態)に該当し得る」と述べた。台湾は日本の与那国島から100km強の距離にあり、地理的にも安全保障的にも日本に直結するとの認識に基づく発言だ。InfoMoney


「存立危機事態」とは、2015年の安保関連法制で導入された概念で、日本が集団的自衛権を限定的に行使できる法的スイッチでもある。高市氏の答弁は、そのスイッチが台湾有事でもオンになり得る、というシグナルとして受け取られた。


それまで歴代政権は「個別の事態については仮定の質問には答えない」と曖昧さを維持してきたが、高市氏はその慣行を破り、初めて台湾有事と日本の武力行使の可能性を、法的概念と結びつけて具体的に語った首相となった。Reuters


3. 中国の反撃:歴史と国際法を前面に

中国側は、この発言を単なる「法解釈の説明」ではなく、日本が台湾問題への軍事介入の意図を公然と示したものだと位置づけた。

傅大使の書簡は、

  • 台湾が「中国の一部」であるという従来の主張

  • カイロ宣言・ポツダム宣言に基づき、台湾は日本の敗戦後に中国へ返還されたとする歴史認識

  • 日本は戦後の国際秩序と対中コミュニケにもとづき「台湾は中国の領土の不可分の一部である」という立場を尊重してきたはずだ
    といった論点を繰り返し、現在の日本の姿勢は戦後合意を踏みにじるものだと主張している。Reuters


さらに中国政府や国営メディアは、第二次世界大戦当時の日本軍の侵略行為を想起させる言葉を多用し、「軍国主義がよみがえりつつある」「敗戦国としての自覚を失っている」といった論調で高市政権を批判している。ウィキペディア


この「歴史カード」の強調は、国内世論をまとめる効果と同時に、国際社会に対し「日本の軍事的台頭は危険だ」というイメージを刷り込む狙いも透けて見える。


4. 経済・観光・文化に広がる「見えない制裁」

外交的な非難だけでなく、日中関係のひずみは経済や人の往来、文化交流にも広がっている。

  • 中国政府は自国民に対し「日本への渡航を控えるよう」勧告し、複数の中国系航空会社が日本行き航空券の払い戻し・変更を無料で受け付ける措置を発表。

  • その結果、中国から日本へのツアー予約の大量キャンセルが発生し、中国人観光客に依存する小売・宿泊・観光業への打撃が懸念されている。ウィキペディア

  • 日本海産物の輸入停止や、牛肉輸出再開交渉の棚上げなど、食料品貿易にも波紋が広がった。ウィキペディア


さらに、北京など中国国内では、日本人アーティストのコンサートや日本アニメ映画の上映が相次いで中止または延期されたと報じられている。Reuters


北京はこれらの措置を正式な「制裁」とは呼んでいないが、結果として日本経済に対する圧力となり、企業や地方自治体には「中国依存リスク」をあらためて突きつける形になっている。


5. 日本国内世論:支持と不安のはざまで

では、日本国内はどのように受け止めているのか。

共同通信が高市発言後に実施した世論調査では、中国が台湾に攻撃した場合に日本が集団的自衛権を行使すべきかについて、「賛成」48.8%、「反対」44.2%と、ほぼ真っ二つに割れている。Reuters


一方で、国防費をGDP比2%へ早期に引き上げる高市政権の方針については6割超が支持し、内閣支持率も約70%とむしろ上昇しているというデータもある。Reuters


SNS(Xや日本の掲示板など)では、だいたい次のような二つの潮流が目立つ。

  • 強い姿勢を支持する声
    「中国に曖昧な態度を取り続けてきたからナメられた。言うべきことを初めて言った」「台湾が落ちれば次は沖縄。抑止力として当然」

  • エスカレーションと経済損失を懸念する声
    「観光業や地方の輸出産業が真っ先に痛む」「台湾防衛を口にする前に、国民避難や経済リスクの議論が足りない」

どちらの立場に立つかで、同じ発言が「抑止のメッセージ」にも「火に油を注ぐ挑発」にも見えてしまう点が、この問題の難しさだ。


6. 中国SNS空間:ポスターと“魔女”呼ばわり

中国のSNSでは、国家機関や国営メディアのアカウントが世論形成の中心的な役割を果たしている。

  • 軍系アカウント「China Military」は、「日本が台湾海峡に軍事介入するなら、中国は必ず強烈な反撃をする」と中国語と日本語で書かれたポスター画像を投稿。ウィキペディア

  • 「Jun Zhengping Studio」などのプロパガンダ色の強いアカウントは、台湾情勢への日本の関与を、かつての侵華戦争の写真と並べて描き、「歴史を繰り返させてはならない」と訴える。ウィキペディア


さらに、元『環球時報』編集長の胡錫進氏は、高市氏を「邪悪な魔女」と呼び、今回の発言が「中日両国の世論に新たな憎悪の爆発を引き起こした」とまで書き込んだ。ウィキペディア


一般ユーザーの投稿でも、

  • 「また日本が戦争をしたがっている」

  • 「日本製品を買うのをやめろ」
    といった感情的な書き込みが拡散し、ハッシュタグには「#拒絶日本旅行」「#日本海産物ボイコット」といったキーワードが並ぶと報じられている。ウィキペディア


こうした“ネット愛国主義”は、政府のメッセージと絡み合いながら、一種のオンライン世論戦として展開している。


7. 台湾と国際社会のまなざし

当の台湾にとっては、日中対立の激化は歓迎すべきことばかりではない。

台湾の頼清徳総統は、中国の対日措置を「インド太平洋の平和と安定への打撃」と批判し、中国に「自制」を求めた。一方で、野党・国民党の指導者らは、高市発言を「無謀な冒険主義」と評し、日本を巻き込んだエスカレーションに懸念を示している。ウィキペディア


SNSでは、台湾の与党支持層を中心に、

  • 「台湾が倒れれば日本も危ない。日本のはっきりした姿勢は心強い」
    と日本への感謝を示す投稿が見られる一方、

  • 「台湾が大国の力比べの前線にされている」という諦めと不安
    も根強い。

アメリカや欧州のオンライン世論は、

  • 「中国による経済的威圧の典型例だ」と日米同盟にシンパシーを寄せる声

  • 「日本も歴史に向き合い、自制的であるべきだ」と警告する声
    に分かれ、台湾海峡をめぐる緊張が、世界的な価値観の対立の縮図になりつつあることを示している。ウィキペディア


8. なぜここまでエスカレートしたのか

今回の危機が瞬く間に燃え広がった背景には、少なくとも三つの要素がある。

  1. 国内政治の事情

    • 高市首相にとって、防衛力強化と対中強硬姿勢は支持基盤に訴える重要テーマであり、姿勢を後退させにくい。Reuters

    • 一方の中国にとっても、台湾問題は「譲れない核心的利益」であり、日本の発言を放置すれば国内のナショナリズムが逆に政府を批判しかねない。

  2. 歴史認識と記憶の衝突

    • 中国は常に「日本の戦争責任」を想起させつつ、日本の安全保障政策を批判してきた。今回も、国営メディアの社説は「敗戦国」「軍国主義」といった言葉を前面に出し、歴史の物語を外交カードとして再活用している。ウィキペディア

  3. SNS時代の世論の加速

    • 数十年前なら首脳発言は新聞やテレビを通じてゆっくりと解釈されたが、今は切り取られた動画や引用が瞬時に各国のタイムラインに流れ、怒りと不安を増幅させる。

    • 政府も、ポスター画像や短いクリップでメッセージを投下し、「外交の第三戦線」としてSNSを当然のように使っている。ウィキペディア


9. これから見ておくべきポイント

今後の展開を考えるうえで、注目しておきたい論点は次の通りだ。

  • 国連の場でどこまで議論が広がるか
    今回は中国が一方的に書簡を送った形だが、今後、日本や他国がどのような応答をするかで、問題の「国際化」の度合いが変わる。Reuters

  • 経済的圧力がどこまで続くか
    中国の旅行ボイコットや輸入規制が長期化すれば、日本企業はサプライチェーンや市場の多角化を一層迫られる。逆に短期間で収束するなら、今回の危機は「見せしめ」としての性格が強かったことになる。ウィキペディア

  • 日本国内世論の変化
    今のところ高市政権の支持率は高いが、もし景気悪化や安全保障リスクが具体的に意識されるようになれば、「強い発言」のコストが厳しく問われる可能性もある。Reuters


10. おわりに──「言葉の戦争」を現実の危機にしないために

今回の一連の出来事は、「一つの国会答弁が、どこまで国際政治を動かしうるか」を示す象徴的なケースになった。

高市首相の発言は、日本の法制度上はあくまで「可能性の説明」にすぎない、という解釈も成り立つ。しかし、中国側はそれを「台湾問題への軍事介入の宣言」と捉え、歴史問題とセットで国連にまで持ち込んだ。そこにSNS空間での炎上と経済・文化のボイコットが重なり、危機は連鎖的に拡大している。InfoMoney


現時点で、日中双方とも実際の軍事行動に踏み出す兆候はなく、「言葉の戦争」の段階にとどまっている。しかし、誤解や感情的なエスカレーションが積み重なれば、偶発的な衝突のリスクは増していく。


台湾海峡をめぐる緊張は、日本だけの問題でも、中国だけの問題でもない。
東アジア全体、さらには世界の安全保障構造と深く結びついたテーマだ。


だからこそ、SNSのタイムラインで流れてくる派手な言葉に振り回されるのではなく、

  • 誰が

  • どの立場から

  • どんな文脈で
    発言しているのかを、一つひとつ丁寧に見ていく視点が、これまで以上に重要になっている。


参考記事

中国、台湾を巡る日本との対立を国連に持ち込み、防衛を約束
出典: https://www.infomoney.com.br/mundo/china-leva-disputa-com-japao-sobre-taiwan-para-onu-e-promete-se-defender/

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