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AIとジャーナリズムの衝突 - 日本も当事者に:朝日・日経の提訴が示す“生成検索”の危うさ

AIとジャーナリズムの衝突 - 日本も当事者に:朝日・日経の提訴が示す“生成検索”の危うさ

2025年12月25日 23:59

1)「著作権」だけじゃない。争点は“信用”に移った

検索エンジンと新聞社、SNSプラットフォームと出版社――これまでのメディア産業の法廷闘争は、配信の“導線”を握る巨大プラットフォームとの戦いだった。ところが生成AIの登場で、対立軸がねじれ始めた。ニュースを「リンクして送る」のではなく、ニュースを「その場で答えてしまう」。しかも、その答えがしばしば自信満々に間違い、さらに“○○紙によれば”と出典を名指しする。こうして争点は、単なる複製・転載の是非から、**出典の扱いとブランド毀損(信用コスト)**へと移りつつある。 NDTV Profit


NDTV Profitが描くのは、まさにこの変化だ。ニュースルームや著者たちが「自分の仕事が学習に使われた」だけではなく、「自分の名前で誤情報を語らされる」危険を、法的に突き詰め始めている。 NDTV Profit



2)火種①:名物調査報道記者も参戦――“個人訴訟”でAI企業に圧をかける

象徴的なのが、Theranos疑惑を暴いた記者として知られるジョン・キャリルーらが起こした訴訟だ。彼を含む複数の著者が、xAI、Anthropic、Google、OpenAI、Meta、Perplexityなどを相手取り、「許可なく著作物(書籍)を学習に利用した」と主張している。さらにこの訴訟は、集団訴訟ではなく個別訴訟として設計されており、「集団訴訟だと企業が“安く和平”できてしまう」という問題意識が前面に出る。 Reuters


背景には、Anthropicが“海賊版書籍の利用”を巡る集団訴訟で約15億ドル規模の和解に合意した流れがある(配分や弁護士費用を巡る議論も継続)。一部の著者が「それでは抑止にならない」と受け止め、より強い条件を狙って“個人で殴りにいく”構図が見えてくる。 Reuters



3)火種②:NYTの二正面作戦――“著作権”と“商標・誤認”

NDTV Profitが強調するもう一つの焦点は、The New York Times(NYT)絡みの動きだ。NYTは、生成AIが自社記事を材料にしつつ、誤った要約や回答を返すことで読者を混乱させ、ブランド価値(信頼)を毀損すると問題提起している。ここで鍵になるのが、単なる著作権侵害だけではなく、消費者の誤認や商標的な損害(米国ではランハム法の文脈)へ争点を広げる発想だ――“幻覚(hallucination)”を技術的欠陥ではなく商業的損害として捉える。 NDTV Profit


そしてNYTはPerplexityに対しても、記事を無断で大量にコピー・表示したなどとして提訴したと報じられている。生成AIの「回答画面」がニュース消費の主戦場になればなるほど、メディア側は“リンクの有無”ではなく“誤情報と帰属”を武器にしてくる。 ガーディアン



4)火種③:「要約がクリックを殺す」――PenskeがGoogleのAI Overviewsを訴える

戦線は検索にも広がっている。Rolling StoneやBillboard、Varietyを抱えるPenske Mediaが、GoogleのAI Overviews(検索結果上部に出るAI要約)を巡って提訴したとReutersが報じた。Penske側の主張はシンプルだ。要約が検索画面で完結すると、読者は記事本文に来ない。結果として広告・購読・アフィリエイトなどの収益が毀損され、ニュース制作の土台が揺らぐ。 Reuters


ここで重要なのは、生成AIが“コンテンツを盗む/学習する”だけでなく、検索のUI設計そのものが、媒体への流入を構造的に減らすという点だ。著作権の争いが、競争政策・市場支配(独占)論と結びつきやすくなるのも、この領域である。 Reuters



5)日本も当事者に:朝日・日経 vs Perplexity、争点は「技術回避」と「誤回答」

NDTV Profitは、日本でも朝日新聞社と日経がPerplexityを東京地裁で訴えたと触れている。Financial Timesなども、両社が記事の無断コピー・保存や技術的制限の回避、そして誤情報が自社名義で提示されることによる信用毀損を問題視していると報じた。 ファイナンシャル・タイムズ


日本で特徴的なのは、著作権だけでなく**不正競争(フリーライド)**的な論理が入りやすい点だ。AIの回答は“引用”のように見えて、実際には読者のニュース体験をプラットフォーム側に吸い上げる。しかも誤りが混じれば、媒体の信用を勝手に担保にされる。これは「転載したか」以上に、ブランドの安全保障の問題になっていく。 ファイナンシャル・タイムズ



6)BBCも警告:Perplexityに「停止・削除・補償」を要求

英国でもBBCがPerplexityに対し、コンテンツのスクレイピング停止や保存データの削除、補償案の提示を求め、法的措置を検討しているとReutersが伝えた。Perplexity側は反発し、相手の理解不足だといった反論も報じられている。 Reuters


公共放送のBBCがここまで踏み込むのは、単なる収益だけでなく、「公共的情報の信用」がAI要約で毀損される危機感があるからだろう。ニュースを扱うAIが“正しさ”と“出典”の両方で揺らぐとき、そのツケは最終的に社会の意思決定に回ってくる。 ガーディアン



7)「幻覚」が笑い話でなくなる理由――EBU/BBC研究が突きつけた出典問題

この懸念をデータで裏付けるのが、EBU(欧州放送連合)とBBCが関わった研究だ。Reutersは、ニュースに関する質問へのAI回答で欠落・誤誘導・誤った帰属といった“ソーシングの重大な問題”が約3分の1で見られた、と報じている。 Reuters


誤回答そのものも痛いが、メディア側がより恐れるのは「誤りが自社名義で拡散される」ことだ。生成AIが“権威の口調”で語るほど、読者は出典を精査しない。すると、媒体の信頼は一回の誤帰属で大きく毀損しうる。NDTV Profitが指摘する「著作権からブランド損害へ」という流れは、ここに根拠がある。 NDTV Profit



8)それでも「取引は続く」:訴訟とライセンスが同時進行する現実

面白いのは、裁判が増える一方で、ライセンス契約も増えている点だ。たとえばReutersは、Axel SpringerがOpenAIと提携した“節目の契約”を報じている。 Reuters


さらにFinancial Timesは、NYTがAmazonとAI関連の契約を結んだと伝えた。 ファイナンシャル・タイムズ
APも、NYTなどの訴訟が進む中でOpenAIとのライセンス契約に触れられている。 AP News


つまり市場は二つに割れている。

  • 法廷でルールを決めに行く陣営(抑止力・先例づくり)

  • 契約で先に現金化し、交渉力を確保する陣営(短期の防衛と収益)

ただしこの「取引」も、恒久的な解ではない。どこまで学習を許し、どんな引用UIや出典表示を義務づけ、誤情報時に誰が責任を負うのか――本丸は、まだ曖昧なままだ。 NDTV Profit



9)国家が介入する局面へ:インドの“包括ライセンス”構想

さらに一段ギアが上がったのが、国家レベルの制度設計だ。インドではDPIIT(商工省の部局)が、AIの学習に関して**「包括的な強制ライセンス+ロイヤルティ徴収機関」**のような枠組みを提案したと報じられている。企業が個別許諾なしに広範な著作物へアクセスできる代わりに、集中的な徴収・分配で権利者へ補償する発想だ。 The Economic Times


これは、訴訟で一件ずつ白黒をつけるより速い。しかし同時に、「拒否権(オプトアウト)の扱い」や「分配の公平性」「透明性」「国外企業への適用」など、新しい火種も生む。世界が“裁判で線を引くルート”と“制度で一括処理するルート”を同時に試し始めた、というのが2025年末の現在地だ。 The Economic Times



10)SNSの反応:共感は広いが、論点は割れる

ここからは、公開されているSNS(Reddit等)の議論を手がかりに、反応の“傾向”を整理する(※一部コミュニティの投稿で、世論全体を代表するものではない)。


(1)「ようやく本丸に火がついた」派
キャリルーらの提訴を扱うRedditスレでは、「この戦いはいずれ法廷に行く運命だった」「もっと大きな法的闘争の始まりだ」といった反応が見られる。AIの利便性を認めつつも、学習データの扱いが“曖昧なまま商用化だけ進む”ことへの苛立ちが背景にある。 Reddit


(2)「訴訟しても止まらない、結局は契約と技術」派
一方で、訴訟が増えてもAI活用自体は止まらない、という冷めた見方も根強い。だからこそ、出典表示を強化するUI設計、クローラ制御、学習データの由来証明(プロベナンス)など、技術と契約の組み合わせが現実解だ、という議論になりやすい。 Reuters


(3)「検索の要約はメディアの収益構造を壊す」派
Penskeの件を扱うスレや投稿では、「要約がクリックを奪う」ことへの危機感が目立つ。ニュースサイト側から見ると、AI要約が“盗用”かどうか以上に、収益の蛇口(流入)が締まるのが致命傷になる。 Reddit


(4)「でもニュースの誤りは誰が責任を取る?」派
BBCのPerplexity対応を巡るスレでは、コンテンツの無断利用だけでなく、誤情報の拡散と責任分界点に関心が集まる。AIが“ニュースの顔”になるなら、メディア側が強く出るのは当然だ、というトーンが読み取れる。 Reddit



11)次に起きること:勝敗より「標準化」の争いへ

この“著作権戦争”は、どちらが勝つかという単純な話では終わりにくい。むしろ焦点は、以下の標準化に移っていくはずだ。

  • 出典表示の標準:どの粒度で、どこに、どんな形式で出すか(UI/ログ/API)

  • 誤情報時の責任:媒体名を出すなら、訂正導線や補償はどうするか

  • 学習データの透明性:データセットの開示、監査、権利処理の証跡

  • 補償の仕組み:個別契約/包括ライセンス/徴収機関モデルのせめぎ合い


そして皮肉なことに、この戦いの中心には「幻覚」がいる。AIがもっと正確になれば、出典の重要性はさらに増す。なぜなら“それっぽい正しさ”が、最も危険な誤認を生むからだ。NDTV Profitが提示した「著作権→ブランド損害」という視点は、生成AI時代のメディアが守ろうとしているものが、文章そのもの以上に“信用”であることを教えている。 NDTV Profit


参考記事

幻覚やその他の問題:ジャーナリストたちがAI大手に挑む、世界的な著作権戦争の火種
出典: https://www.ndtvprofit.com/technology/how-journalists-are-taking-on-ai-majors-sparking-a-global-copyright-war

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