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“買う”の主役が人間からAIへ? 小売りの祭典で加速したエージェント型コマース

“買う”の主役が人間からAIへ? 小売りの祭典で加速したエージェント型コマース

2026年01月18日 10:49

1. 小売りの“未来”が集まる場所で、主役になったのはAIだった

小売業界の巨大イベント「NRF(Retail’s Big Show)」は、最新の店舗機器やECの裏方テックが集まる“業界の見本市”だ。そこで描かれていた未来は、驚くほど一枚岩だった。


キーワードは「AI」。接客、販促、検索、決済、在庫、物流、そして実店舗での“人の動き”の解析まで、あらゆる工程がAIに置き換わるか、AIを前提に再設計されている。


象徴的なのが、来場者を足止めする仕掛けとしてのホログラム接客だ。ピンクのスーツ姿の「Mike」と呼ばれるホログラムが、マイクの前で質問を受け付け、生成AIで応答する。会話にはわずかな間があるが、現場の説明は割り切れている。「自然な対話」ではなく、客を引き寄せる“きっかけ作り”として機能すれば十分だという発想だ。


ここで見えてくるのは、AIが「人間の代替」ではなく「客の行動を動かす装置」として設計されている現実である。


2. 「検索して買う」から「AIが買う」へ──エージェント型コマースの狙い

今回のNRFで、より大きな流れとして存在感を放ったのが“エージェント型コマース”だ。要するに、ユーザーが複数のサイトを行き来して比較し、カートに入れて決済するのではなく、AIが会話の中で候補を並べ、条件調整し、購入まで進める世界観である。


この実現の鍵として打ち出されたのが、Googleが推すオープンな標準「Universal Commerce Protocol(UCP)」だ。AIエージェントと小売側のシステムが共通言語でやり取りできるようにし、チャットやAI検索の画面のまま購入まで完了できる、という構想が語られている。


ポイントは“標準化”だ。標準が整えば、店ごとにバラバラなUIを人間が学習しなくてもよくなる。AIが最短経路で「在庫」「価格」「配送」「支払い」「返品」まで捌けるようになる。便利になる可能性は確かにある。


しかし同時に、主戦場が「店舗のサイト」から「AIの画面」に移る意味も重い。


これまで小売は、トップページ、商品一覧、レビュー、導線、ポイント制度などを通じて、体験と関係性を自前で設計してきた。エージェント型コマースは、その“店の顔”を剥がし、商品情報と取引機能だけをAPIとして差し出させる方向に働く。店は、AIに選ばれるための「データ供給者」へ近づく。便利さの代償として、主導権がどちらに移るのかが問われている。


3. 便利の皮をかぶった“気味悪さ”が混ざる瞬間

AIショッピングが不気味に見えるのは、「やらなくていいことまで、できてしまう」時だ。
たとえば、注文時の提案やクーポン適用、食事制限に合わせたおすすめ──ここまでは歓迎されやすい。ところが、同じ仕組みが行き過ぎると、生活の周辺情報まで吸い上げるインセンティブが生まれる。


象徴的に語られていたのが、チャット経由でピザを注文するデモの一幕だ。複数人で食べる前提の提案をするために「人数は何人?」と聞く。ここまでは普通。だが次に出てくるのが「面倒なら、みんなの写真をアップロードして数える」という発想である。


たしかに“入力は楽”になる。だが、それは「写真を渡す理由」をこちらが発明してしまった瞬間でもある。便利さは、しばしばデータ収集の導線として現れる。


4. 生成AI時代の“見つけられ方”が変わる:SEOの次は何が来るのか

NRFの文脈で現実味が増していたのが、「検索エンジン対策の次は、生成AI対策」という話だ。
従来のSEOは、検索結果の上位にリンクを出す戦いだった。だがAI検索やチャットが一般化すると、ユーザーはリンクを踏まずに結論だけ受け取る。企業側は「AIの答えの中で、自社が推される状態」を作りたくなる。


そこで登場するのが、AI内での露出や言及を監視・計測するサービスだ。どのチャットで、どんな質問の時に、競合に比べて自社商品が出たか。そうした“可視化”が売り物になる。


ここに、広告・PR・商品データ整備が混ざり合う。つまり、AIショッピングの時代は「検索順位」ではなく「回答の中の順位」「候補に入る確率」を巡る競争になる。


消費者にとっては、便利さの裏で“誘導の新しい形”が強化されるリスクもある。


5. 実店舗は「身体データの採掘場」になりうる

オンラインのデータ戦争だけではない。NRFでは、実店舗を“データ化”する技術も前面に出ていた。
展示の中には、店舗前や売り場で人の視線や滞在、属性推定をリアルタイムに計測し、看板や表示を最適化できるというものがある。デモでは来場者の顔が枠で囲われ、年齢層や性別といった推定が付与される。映像自体はすぐ破棄し、残すのはメタデータだけだ、という説明もある。


ここで問題になるのは「保存しないから安心」では終わらない点だ。
たとえ映像が消えても、推定属性と行動ログが蓄積されれば、広告配信や販促の設計に十分使える。そして“使える”以上、使われる可能性が高い。店内は、商品を見る場所であると同時に、こちらが無言で差し出すシグナル(年齢、関心、迷い、比較、購買意欲)を吸い上げる場所へ変質していく。


日本の小売りを考えると、ここは他人事ではない。防犯カメラや人流解析はすでに一般化しつつあり、「顧客体験の改善」という名目で導入が進む。


ただし“改善”の中身が、値引きのタイミングやサイネージの最適化だけに寄ると、顧客は「歓迎されている」のではなく「読まれている」と感じる。便利さが“監視の感触”を超えた瞬間、反動が来る。


6. 対比としての“AIなし”──結局、人は手触りを覚えている

会場で異彩を放っていたのが、AIを売りにしない展示の存在だ。例えば、ブランドの課題から逆算して袋や包装を設計し、触感や再利用性、贈り物のような高揚感を作る。


技術の話ではなく、「人が持ち帰る体験」を中心に据える。そうしたアプローチは、派手さでは負けても、購入の記憶に残る。


私たちはAIチャットの応対を忘れても、気に入って使い回した袋や、丁寧な梱包の気分は意外と覚えている。AIが強いのはスケールだが、記憶に残るのは必ずしもスケールではない。


7. SNSの反応:期待と警戒が、ちょうど半分ずつある

今回の潮流は、SNSでも賛否がきれいに割れているのが印象的だ。


期待派: “比較・探索”の革命に見える
技術者コミュニティでは、UCPのような標準化が進めば「小さな店を横断して探せる自作検索が作りやすい」「特定カテゴリだけの“自分用マーケットプレイス”が可能になる」といった前向きな声がある。巨大プラットフォームに依存しない選択肢が増える、という期待だ。


懐疑派: “オープン”でも結局は大企業の庭になる
一方で、「仕様がオープンでも、実際に使える鍵や契約は結局巨大企業だけでは」という疑いも強い。さらに、決済や送客の入口を握ったプレイヤーが“通行料”を取る未来を警戒する声も出ている。
要するに、標準化が“解放”ではなく“支配の形を変えるだけ”になるのでは、という不信だ。


現場派: “デモは派手、でもROIが語れない”
業界側のSNS(LinkedInなど)では、会場の熱気に対して冷静な投稿が目立つ。「みんなAIと言うが、戦略を説明できない」「結局は成果指標(売上、粗利、LTV、返品率など)に落ちないと採用されない」という指摘である。


また、消費者体験としては「LLM内の購入導線は、今のECサイトより遅く不正確に感じる。会話で服を買うより、絞り込み項目を数回クリックした方が速い」という声もある。AIは“比較・発見”には強いが、“大量のチェックアウト”を担うにはまだ弱い、という評価だ。


そして根強い不安:監視と広告が“完成”しすぎる未来
最終的に多くが引っかかっているのは、AIショッピングが「ユーザーのため」より「売る側の都合」で完成していく恐れだ。会話はデータになり、データは広告になり、広告はさらに会話に混ざる。便利さが増えるほど、こちらの意思決定は静かに誘導されやすくなる。


8. これから小売に必要なのは「AI導入」ではなく「選ばれ方の設計」

NRF 2026が突きつけたのは、「AIを入れるかどうか」ではなく「AI時代にどう選ばれるか」という問いだ。
小売・ブランドがやるべきことは、派手なチャット導入だけではない。


  • 商品データの整備:AIに理解される情報設計(属性、在庫、配送、返品条件、保証)を磨く

  • 体験の再定義:サイトや店舗でしか得られない“触感”“安心”“信頼”を強化する

  • 透明性の確保:実店舗の計測やパーソナライズが“監視”に見えない説明と選択肢(オプトアウト)

  • 広告との距離感:会話に混ざる広告が信頼を削るラインを超えない運用


AIコマースは、便利さを約束する。だが、同時に“売り方”を加速させる装置でもある。
未来の買い物が本当に歓迎されるかどうかは、技術の性能ではなく、「どれだけこちらの気持ちを置き去りにしないか」で決まるのだと思う。



参照URL

  • The Verge:GoogleのUCPとGemini/AI検索の購入導線(buy buttons、提携先、標準化の狙い)
    https://www.theverge.com/news/860446/google-ai-shopping-standard-buy-button-gemini

  • Google公式ブログ:NRF 2026でのGoogle発表のまとめ(UCPを含む“agentic commerce”関連の告知への導線)
    https://blog.google/innovation-and-ai/infrastructure-and-cloud/google-cloud/nrf-2026/

  • AP通信:Geminiのショッピング機能拡大(小売連携やチャット内購入の流れを外部視点で補強)
    https://apnews.com/article/f1679240ba93d40b90a97348b73039d3

  • Financial Times:AIショッピングでのパーソナライズ広告や収益化の動き(“便利さ”と“広告”の結合)
    https://www.ft.com/content/957c7438-b2e0-4605-a276-caa8a7ec363c

  • Hacker News:UCPへの技術者コミュニティ反応(有用性の期待/実質は大企業優位では、などの論点)
    https://news.ycombinator.com/item?id=46586413

  • LinkedIn:NRF 2026の“熱狂と混乱”への業界反応(ROI不在、LLM内購買体験への懐疑、Amazonのレバレッジ等の指摘)
    https://www.linkedin.com/posts/ecommercestrategyconsulting_hype-and-confusion-reign-and-nrf-2026-heres-activity-7417181239633190914-QQc0

  • Reddit(r/startup):UCPを“プロトコル戦争”として見る投稿(標準化の意味や勢力図の見立て)
    https://www.reddit.com/r/startup/comments/1qc6j5p/my_observations_on_googles_universal_commerce/ 


参考記事

私は小売業の未来を見ました。それはすべてAIです。
出典: https://www.theverge.com/tech/863365/national-retail-federation-show-shopping-commerce-ai

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