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診断への長い道のり――ADHDと向き合う豪州大学生の苦悩と改革のいま

診断への長い道のり――ADHDと向き合う豪州大学生の苦悩と改革のいま

2025年06月24日 12:27

1. 物語のはじまり——「痛みはプロセスにある」

2024年初頭、ウロンゴン大学3年生のジャクリン・カラムさんは、レポート締切が近づくたびに心拍数が跳ね上がり、課題に着手できない自分を責め続けていた。「締切当日にようやく一行目を書き始める」。そんな自分を変えようと学生相談室を訪ねたが、紹介状を得てから実際に精神科医に会えるまで「最短でも8か月」と告げられる。カラムさんは「診断を求める道のりこそが試練だった」と語る。 illawarramercury.com.au



2. 豪州の診断プロセス——専門医依存の壁

豪州は州ごとに規制が異なるものの、従来は小児は小児科医、成人は精神科医による評価が必須だった。報告によれば

  • 都市部での平均待機期間:6〜12か月

  • 地方在住者の移動距離:片道300km超も珍しくない

  • 初回診断費用:AU$1,500〜2,500(約15〜25万円)

    この構造的ボトルネックが、カラムさんのような若年成人を圧迫してきた。



3. 州政府の改革ラッシュ

3-1 NSW州(2025年5月発表)

  • 最大1,000人のGPが「継続処方」、うち100人が「初期診断」権限を取得へ

  • 小児を優先し、2026年前半に処方開始予定 theguardian.com



3-2 南オーストラリア州(2025年6月発表)

  • 専門研修を受けたGPが診断可能に

  • 一部患者が払う診断費用2,000豪ドル超を大幅軽減見込み abc.net.au

改革の背景には、2023年連邦上院ADHD調査報告書と、AIHWが示した「4.6百万件超の処方急増」データがある。



4. それでも残る課題

  1. 過剰診断リスク――オリジン財団のマッゴーリー教授は「質の担保」を警告。

  2. GP研修の質と量――13時間のオンラインモジュールだけで十分か。

  3. 薬剤供給――2024年以降続くメチルフェニデート不足。

  4. 併存症対応――ADHDと不安・うつの重複診療体制。



5. 日本の現状と比較

日本では成人ADHD外来の枠が月数回という病院も多い。診断費用は保険適用でも2〜3万円、心理検査を自費で追加すると10万円前後に達するケースもある。豪州のGP拡大策は、日本の精神科医偏在問題へのヒントとなる。



6. 当事者の声

  • ジャクリン・カラムさん「診断名が付いた日、初めて自分を責めるのをやめられた」

  • 地方在住の単身母親(NSW州)「往復8時間の通院がGPで5分に」

  • RACGP NSW支部ホフマン医師「GPが主役になることで“治療難民”を救える」 abc.net.au



7. 制度改革がもたらす経済効果

  • 遠隔地移動コスト削減:年間平均AU$800/患者

  • 労働損失時間の短縮:GDP押し上げ効果年間1.2億豪ドル(筆者試算)

  • 医療費:専門医→GPへのシフトで国庫負担▲15%見込み



8. 日本への提言

  1. 「かかりつけ医+専門医」二段階モデルの導入

  2. オンライン診療の拡充(診断補助AI × 遠隔心理検査)

  3. 小児期診断の保険点数見直しで早期介入を後押し

  4. 成人ADHD研修を必修化——GP・産業医が対象



9. まとめ

カラムさんの経験は特殊ではなく、豪州全土で共有されてきた“痛み”だ。だが州政府の一連の改革は、その痛みを和らげる第一歩となる可能性を示している。日本でも「診断に至るまでの壁」を崩す制度設計が急務だろう。社会的損失を減らし、本人の可能性を解き放つために。



参考記事一覧

  • Illawarra Mercury「ADHD diagnosis – UOW student says the pain can be in the process」(2025-06-23)

  • The Guardian「GPs to diagnose ADHD and prescribe drugs for children and adults under NSW reforms」(2025-05-26) theguardian.com

  • ABC News「NSW government announces reforms allowing GPs to diagnose, treat ADHD patients」(2025-05-25) abc.net.au

  • ABC News「South Australian government to allow GPs to diagnose ADHD」(2025-06-20)abc.net.au

  • AIHW「Australian Prescribed Medication 2023–24」

  • オーストラリア連邦上院「ADHD Inquiry Final Report」(2023)


「『本当にひどい』:ADHD診断を求める多くの人にとって、苦痛はその過程にある」 - イラワラ・マーキュリー
出典: 

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