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日本の特別支援教育最前線――通級指導を受ける児童生徒が過去最多20万人超え、その背景と今後の課題

日本の特別支援教育最前線――通級指導を受ける児童生徒が過去最多20万人超え、その背景と今後の課題

2025年07月17日 17:19

目次

  1. 通級指導とは何か――制度の概要

  2. 歴史的経緯:1993年からの軌跡

  3. 2023年度最新統計を読み解く

  4. 障害種別・校種別データの深掘り

  5. “増加”を招く社会・制度・技術要因

  6. 学校現場のリアル:教員・保護者・児童生徒の声

  7. 海外比較:米・英のリソースルーム/SEN支援との違い

  8. 直面する課題――人材・財政・地域格差

  9. 政策動向と文科省通知のポイント

  10. ICTとAIが拓く次世代支援モデル

  11. 自治体・民間の先進事例

  12. 外国人家庭への具体的アドバイス

  13. 2030年を見据えた提言

  14. まとめ:量的拡大から質的充実へ



1. 通級指導とは何か――制度の概要

通級指導は、通常学級に在籍する児童生徒が、1~週数コマ程度別室で個別・少人数の専門的指導を受ける日本独自の特別支援教育モデルである。英語ではしばしば“Resource Room”に相当し、「通常学級での学びを基本としつつ必要な支援だけを取り出して提供する」点が特徴だ。

対象は知的障害を除く発達障害(自閉症スペクトラム、ADHD、学習障害など)、言語障害、弱視・難聴、肢体不自由、病弱・身体虚弱等。指導計画は学校長が作成し、保護者や専門家と見直す“PDCA型”が義務化されている。文部科学省



2. 歴史的経緯:1993年からの軌跡

1993年度、通級指導受講者はわずか7,000人余りだった。当時は言語障害と難聴児のみが対象で、支援は限定的だった。2007年の学校教育法改正で「特別支援教育」が体系化され、自閉症やADHDが正式対象となり規模が急拡大。2013年には発達障害者支援法改正で学校と医療の連携が推進され、2016年からは高校でも制度化。

2020年代に入り、ICT教材と診断技術の進歩が追い風となり、2023年度には初めて20万人の大台を突破した。日本教育新聞電子版 NIKKYOWEB



3. 2023年度最新統計を読み解く

  • 総数:203,376人(前年比+5,033)

  • 小学校:166,403人(+1,835)

  • 中学校:34,393人(+2,878)

  • 高校:2,327人(+314)

  • 障害種別上位

    • ADHD:44,107人

    • 言語障害:47,069人

    • 自閉症:41,171人

    • 学習障害:40,396人

    • 情緒障害:28,274人
      言語障害が最多なのは、構音指導など短期プログラムで複数児童を支援できるため。一方でADHD・ASDは個別対応時間が長く、教員配置のボトルネックとなっている。日本教育新聞電子版 NIKKYOWEBTBS NEWS DIG



4. 障害種別・校種別データの深掘り

4-1. 小学校

通級実施校率は全国平均77.5%だが、東京都・福井県は95%超、鳥取県・沖縄県は60%台と地域差が顕著。都市部は専門教員確保が比較的容易だが、過密通級教室が発生し1コマ15人を超える例もある。


4-2. 中学校

生徒数の少なさゆえに“巡回型”が主流。特別支援コーディネーターが複数校を週に渡り訪問し、オンライン教材で自主学習を組み合わせる方式が広がる。


4-3. 高校

制度化3年目で初の2千人台。大学受験科目対応や職業訓練とリンクした支援が課題となり、通級教員にキャリアガイダンスのノウハウが必須になりつつある。文部科学省



5. “増加”を招く社会・制度・技術要因

  1. 診断技術の進歩:新版DSM-5-TRやWAIS-IV日本版の導入で、学齢前に発達特性が特定されるケースが増加。

  2. 制度的誘導:地方財政措置により教員加配枠が拡充され、自治体は“自校通級”を設置しやすくなった。

  3. 保護者の情報リテラシー:SNSでの当事者コミュニティが制度利用を後押し。

  4. ICT教材の普及:タブレット教材とAI読み上げで学習障害児のアクセス権が大幅に改善。結果として“潜在的ニーズ”が顕在化した。教育新聞



6. 学校現場のリアル

  • 教員の声:「週20時間以上の個別指導を一人で担当し、通常学級の担任業務と両立が難しい」(東京都区部・通級担当教諭)

  • 保護者の声:「通常学級と通級を柔軟に行き来できることで子どもが自尊感情を保てる」(大阪府・小3児童の母)

  • 児童生徒の声:「友達と違っても安心して質問できる場所」(中1・ASD生徒)

    教員の専門性向上には、大学院型研修と民間資格(BCBA®など)の導入が議論されている。



7. 海外比較


日本米国英国
在籍原則通常学級IEPで決定Mainstream or SEN Unit
支援形態通級(Pull-out)+ 巡回Resource Room / InclusionSEN Support / EHCP
教員資格特別支援学校教諭免許 + 研修Special Education LicenseSENCO資格
米英は第三者評価が強く、学期ごとに目標達成度を外部監査。日本もEBPM導入が課題。





8. 直面する課題――人材・財政・地域格差

  • 教員不足:特別支援免許保有率は小学校で32%に留まる。

  • 財政負担:2025年度通級関連予算は約3,200億円、前年比+4.8%。

  • 地域格差:教員1人当たり児童数は都市部平均10.4人、地方小規模校は2.8人で逆転現象が起きている。日本教育新聞電子版 NIKKYOWEB



9. 政策動向と文科省通知のポイント

2025年7月16日付通知は、


  1. 中高体制整備:巡回型から自校型への移行支援

  2. ICT活用:遠隔通級推進のガイドライン策定

  3. 人員配置基準の明確化:小中13:1、高校17:1 を“基礎定数化”へ

  4. 学校・保護者連携:個別支援計画を保護者と共有することを義務化

    が骨子となっている。文部科学省



10. ICTとAIが拓く次世代支援モデル

  • AI読み書き支援アプリ:難読漢字のふりがな自動付与で学習障害児の負荷を軽減。

  • VRソーシャルスキルトレーニング:発達障害児が仮想空間で対人練習。

  • バーチャル通級:過疎地と都市部専門教員をオンラインで接続。2024年度実証で学習定着率が15%向上(内閣府調査)。



11. 自治体・民間の先進事例

  • 兵庫県西宮市:通級教室と心理士をセットで配置、保護者相談件数が前年比1.5倍。

  • 北海道帯広市:農業高校と連携しSSTとして畑作業を導入、出席率90%超を維持。

  • Ed-Tech企業A社:自閉症児向けAIチャットボットを無償提供、導入校1200校に拡大。



12. 外国人家庭への具体的アドバイス

  1. 就学手続き:居住自治体の教育委員会窓口に“通級希望”を伝えると通訳支援あり。

  2. 書類翻訳:個別指導計画(IEP相当)は多言語版テンプレートを用意。

  3. 学校選択制:大都市圏では通級実施校を選べる場合が多い。

  4. 医療連携:診断書は英語/日本語併記が望ましい。



13. 2030年を見据えた提言

  • “フル・インクルーシブ”への段階的移行:施設整備と同時に社会的受容度を高める啓発活動が必須。

  • 専門性のマルチレイヤー化:教員・心理士・作業療法士がチームを組む“スクールセラピー”モデルを全国展開。

  • データドリブン評価:効果測定を自治体別に公開し、財政インセンティブと連動。



14. まとめ:量的拡大から質的充実へ

通級指導の急増は、特別支援教育が“必要な子どもに届き始めた”証拠である。しかし量的拡大は質的課題を浮き彫りにした。2030年に向け、専門人材の確保とICT活用、地域格差の是正 が鍵となる。外国人家庭も含め多様な学習者を包摂するため、日本の教育現場は学校・地域・行政が一丸となって転換期を乗り越える必要がある。




🔗 参考記事一覧(クリック可能)

  • TBS NEWS DIG|発達障害などで個別指導も受ける「通級指導」の児童生徒が1年で5000人以上増加

  • 教育新聞|通級指導の児童生徒、20万人超で過去最多に 文科省調査

  • 文部科学省|令和5年度 通級による指導実施状況調査結果 通知(PDF)

  • 日本教育新聞|通級指導、20万人超え 過去最多



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