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泳げない子どもが増えている?学校の水泳授業が減る理由とその未来

泳げない子どもが増えている?学校の水泳授業が減る理由とその未来

2025年06月11日 00:53

1. いま日本で何が起きているのか

1955年の紫雲丸沈没事故を契機に「命を守る教育」として普及した学校水泳は、70年を経たいま大きな曲がり角に来ている。2021年時点の屋外プール設置率は小学校87%、中学校65%。わずか3年前の2018年と比べ小‐7pt、中‐8ptと急落した。施設そのものを廃止し、授業は近隣の民間プールへ「外部委託」する自治体が増えている。



2. 民間委託モデルの最前線――京都市の試行

京都市立正親小学校は2024年、築60年で亀裂の入った屋外プールを使わず、隣接のスイミングスクールと連携。プロコーチ4名+教員で従来3名→8名体制となり、安全性・技能向上の両面で評価は概ね良好だ。試算では年間約170万円のコスト削減。熱中症指数31超で中止せざるを得なかった屋外授業も、屋内プールなら通年化できる。



3. 「泳げない子」が増えた本当の理由

  • (1) コロナ禍の空白

    2020~23年度は感染対策で人数制限や授業回数を圧縮。高学年でも泳げない子が出た。

  • (2) 教員の専門性と責任の重圧

    採用試験から水泳実技を外す自治体が増加し、指導力のばらつきが拡大。事故時の法的責任への不安も大きい。

  • (3) 老朽化コスト

    1校あたり年間数百万円、40年間で数十億円規模が必要との調査もある。

  • (4) 気候変動と安全管理

    真夏の屋外プールは気温35℃超で水温上昇、熱中症対策が不可欠。




4. 廃止・縮小の広がり――具体例

  • 沼津市(静岡県)…2025年度から17校で水泳実技廃止。理由はプール老朽化と猛暑。

  • 滝沢市(岩手県)…「肌を見せたくない」という生徒の声や欠席増から中学校実技を中止し、座学+民間教室へ。

  • 学習指導要領の例外規定…「適切な水泳場が確保できない場合は実技を扱わないことができる」と明記。




5. データで見る「泳力低下」

埼玉県の2023年度調査では、25mを泳げる小5男子は2019年度の約71%→2023年度は約56%に低下。泳げない児童の割合が有意に増えた。



6. 海外比較:義務化と格差のジレンマ

国・地域

最低目標

実施主体

主な課題

イングランド

小学校卒業までに25m泳げる

全国一律カリキュラム

インストラクター不足、経費高騰

オーストラリア(QLD州など)

水安全プログラム義務付け

公立・私立プール

レッスン費用の自己負担高く低所得層の習得率低い

日本

学習指導要領上は必修(例外あり)

自校プール主体

老朽化・財政難・教員負担

英国政府は補助金でプール利用料を下げる一方、豪州では小6児童の48%が50mを泳げず溺死事故も増加。




7. 民間委託は万能か――メリットとリスク

メリット

  • 専門コーチによる効果的指導

  • 屋内施設で天候依存性が低い

  • プール維持・安全管理費を大幅削減



リスク

  • 受託料・移送費が高い地域はかえってコスト増

  • スケジュール調整で他教科へ影響

  • 低所得世帯が有料教室へ通えず格差拡大



保護者アンケートでは「良い」77%だが、「年5回で泳げるか疑問」という声も。



8. 水難事故防止教育の原点へ

競泳技術より「浮いて助かる」技能を教えるべきとの指摘が多い。着衣泳やペットボトル浮きなど、陸上でもできるシミュレーション型授業でコストを抑えつつ安全教育を継続できる。



9. 政策提言――国内外の好事例をヒントに

  1. 共同利用型プールネットワーク

  2. 専門指導者ライセンス制度

  3. クラウド型遠隔モニタリング

  4. 家計支援バウチャー

  5. 自治体間格差の「見える化」




10. まとめ――「泳げる国」から「泳げない国」へ転落しないために

水泳授業の縮小は財政合理性だけで測れない。海・川・温泉に囲まれた日本社会で水に対するリテラシーを失うことは安全保障と同義だ。教育現場・行政・民間が役割分担を再設計し、専門性・持続可能な財政・公平性を同時に満たす仕組みを再構築する必要がある。





参考記事一覧

  1. 学校からプールがなくなる?小学校が水泳授業を「民間委託」 維持管理費の削減とプロ指導に学校側も期待(関西テレビ 2024/5/20)


  2. 今考える、学校プールと水泳授業の行方(自治体問題研究所 2024/3/9)

  3. 学校における水泳授業の変容:廃止・外部委託の現状と課題(note 2025/5/4)

  4. 沼津市が2025年度から中学校の水泳授業を廃止(日テレNEWS NNN 2025/2/3)

  5. 小学生の「泳ぐ量」減少、泳力低下の懸念(TBS NEWS DIG 2024/7/8)

  6. 令和5年度聞査結果から見える取組の成果と課題(埼玉県 PDF 2024/12)


  7. Did you know swimming and water safety are part of the school curriculum?(UK DfE Blog 2021/7/13)


  8. Nearly half of Australia’s year-6 students can’t swim 50 m or tread water for two minutes(The Guardian 2025/3/17)




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