いつものスーパーで支持政党がわかる? 英調査が映した「買い物と政治」の意外な関係

いつものスーパーで支持政党がわかる? 英調査が映した「買い物と政治」の意外な関係

夕食の材料は近所のスーパーで。週末のまとめ買いは少し離れた低価格店で。ちょっとしたご褒美は、好きな食品がそろう店で。

普段、私たちはさまざまな理由で買い物先を選んでいる。その何気ない選択を「支持政党」という切り口で見た英国の調査が、興味深い結果を示した。

英紙インディペンデントが2026年10月5日に伝えたのは、調査団体More in Commonによるスーパー利用者と政党支持の関係だ。同団体の公開一覧には「Preferred Supermarket」と題する調査が掲載され、調査期間は9月24~29日とされている。

ただし、この話は「あなたの行きつけを聞けば、政治思想を当てられる」というものではない。むしろ結果を読み進めるほど、店のイメージだけでは人を分類できないことが見えてくる。


労働党が強い店、保守党が強い店

ユーザー提供の元記事によると、主要スーパーの利用者の間で最も支持された政党は、次のように分かれた。

スーパー利用者の間で首位と報じられた政党
テスコ(Tesco)労働党
アズダ(Asda)労働党
ウェイトローズ(Waitrose)労働党
アルディ(Aldi)労働党
セインズベリーズ(Sainsbury’s)保守党
マークス&スペンサー(M&S)保守党
リドル(Lidl)リフォームUK
モリソンズ(Morrisons)リフォームUK

ここで注意したいのは、「首位」と「過半数」は別だという点だ。ある政党がその店の利用者の間でトップだったとしても、利用者の大部分が同じ政党を支持しているとは限らない。

また、この表は企業自体の政治的立場を表すものでもない。あくまで、利用者側の回答について報じられた傾向である。

元記事はさらに、アルディ利用者では労働党への支持に加え、ルパート・ロウ氏の「リストア・ブリテン」への支持も目立つと指摘している。同じ売り場を歩き、似た商品を手に取っていても、政治への期待まで同じとは限らないのだ。


「安い店なら、この政党」とは言えない

今回の結果で考えさせられるのは、同じ低価格路線のスーパーでも、支持政党の首位が一致していないことだ。

アルディでは労働党、リドルではリフォームUK。同じように食費を抑えたいと考える人たちが、政治では異なる選択をしている可能性がある。

その理由は、この結果だけではわからない。居住地域、年齢、職業、家族構成などが関係しているかもしれないし、店舗の立地によって利用者の構成が違うのかもしれない。

ここから考えられるのは、生活上の悩みが似ていても、その解決を誰に託すかは一致しないということだ。

家計への負担を感じたとき、公的な支援を求める人もいれば、税負担の軽減を重視する人もいる。既存の政治に対する不満を、別の政党への支持として表す人もいるだろう。ただし、これらは結果を読み解くための仮説であり、今回の調査が個々の動機まで証明したわけではない。


SNSでは「政治分析」と「スーパー談義」が入り交じる

SNSにも、スーパーと政治を結びつけた反応が見られる。

 

10月5日付のRedditの保守党系コミュニティ「r/tories」では、「Voting intention by supermarket」という投稿をめぐり、ウェイトローズと自由民主党の組み合わせを面白がるコメントがあった。返信では、店舗の出店先と政党の重点地域を重ね合わせる皮肉も寄せられている。

一方、M&Sをめぐるやり取りは、政治というよりブランドへの愛着を語るものだった。地元に新しい食品売り場ができることへの盛り上がりに驚く人がいる一方、総菜やつまみの品ぞろえを評価する人もいた。

さらに、テスコでも似た商品を買えるのではないかという発言に対して、労働党支持者なのかと冗談めかして返す場面もあった。スーパーの名前が、政治的なイメージを共有する会話の材料になっている。

もっとも、これは特定の政治系コミュニティで確認できた少数の投稿だ。英国全体の反応を代表するものではなく、コメントの面白さと調査上の根拠は分けて受け止める必要がある。

それでも、買い物先が単なる商品購入の場所を超え、暮らし方や好みを語る共通言語になっていることは伝わってくる。


スーパーの名前より、店を選ぶ理由が大切

この種の調査は話題になりやすい。「あの店の客は、やはりあの政党」という見方は、わかりやすく、会話にも使いやすいからだ。

しかし、実際の買い物先は、思想や価値観だけで決まるわけではない。

家から近い。帰宅途中に寄れる。夜遅くまで開いている。駐車場が使いやすい。必要な食品がそこでしか買えない。そうした事情は、買い物先を左右する十分な理由になる。

また、ひとりの人が複数の店を使い分けることも考えられる。日用品は安い店、生鮮食品は近所、特別な日の料理は別の店という場合、その人をひとつの「スーパー派」に分類しても、生活全体は見えてこない。

調査を正確に読むには、利用頻度を尋ねたのか、主な購入先を尋ねたのか、それとも好きな店を尋ねたのかという質問の違いも重要だ。店別の回答者数や支持率の差によっては、順位を大きな違いとして受け止めることにも慎重さが必要になる。

今回は元の集計表の詳細を確認できていないため、各店の支持率や差の統計的な確かさには踏み込まない。


日本に置き換えるなら、問うべきは「どの党?」より「なぜその店?」

日本の読者にとっても、買い物先と暮らしの関係は身近なテーマだ。

価格を重視して店を選ぶのか、産地や品質を優先するのか。近さや営業時間が決め手なのか。それとも、少量で買えることや、調理済み食品の充実が大切なのか。

こうした選択の背景を考えると、食費、働き方、子育て、移動手段といった政策上の課題にもつながっていく。

例えば、同じ低価格店を利用する人でも、家族の食費を抑えたい人と、収入の先行きが不安な人では事情が違う。近所の店を使う人も、その店が好きなのか、遠くまで移動できないのかで意味は変わる。

これは英国の調査から日本について導ける結論ではなく、日本で同様のテーマを考える際の視点である。今回の結果を、そのまま日本のチェーンや政党に置き換える根拠はない。

それでも、スーパーの売り場から政治を考えることには意味がある。抽象的な景気の話よりも、「いつもの食材を買い続けられるか」「仕事帰りに無理なく買い物ができるか」という問いのほうが、暮らしの実感に近いからだ。


買い物かごは、思想を見抜く道具にはならない

今回の調査が面白いのは、スーパー別の違いを示すと同時に、単純な分類の難しさも浮かび上がらせている点だ。

同じ価格帯の店でも、支持される政党は違う。同じ店の中にも、異なる政治観を持つ人がいる。SNSでは店名を使った冗談が飛び交うが、その冗談を目の前の買い物客に当てはめることはできない。

隣の人が同じ値引き商品を選んだからといって、同じ政党を支持しているとは限らない。しかし、出費を抑えたいという思いなら、共有しているかもしれない。

店名から相手の思想を当てようとするより、なぜその店に来て、何に困り、どんな暮らしを望んでいるのかを考える。買い物と政治を結びつけるなら、そこから始めるほうが、社会の姿をより丁寧に捉えられるはずだ。



出典URL

  1. The Independent: スーパー利用者ごとに首位となった政党と、アルディ利用者の支持の分散について。
    https://www.independent.co.uk/bulletin/news/uk-supermarket-political-party-voting-poll-b3061701.html

  2. More in Common:調査データの公開一覧。 「Preferred Supermarket」の掲載と調査期間(2026年9月24~29日)を確認。個別の集計表の詳細は未確認。More In Common
    https://www.moreincommon.org.uk/polling-tables/

  3. Reddit「r/tories」:スーパー別の投票意向についての投稿。 本文のSNS反応は、10月5日付のコメントとして確認できた内容を要約したもの。特定コミュニティの少数の反応であり、世論全体を示すものではない。reddit.com
    https://www.reddit.com/r/tories/comments/1wyg1jy/voting_intention_by_supermarket/