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マイクロプラスチックは「菌の乗り物」だった ― 下水から海へ続く見えないリスク : マイクロプラスチック×薬剤耐性菌という静かなパンデミック

マイクロプラスチックは「菌の乗り物」だった ― 下水から海へ続く見えないリスク : マイクロプラスチック×薬剤耐性菌という静かなパンデミック

2025年11月27日 11:37

1. マイクロプラスチック問題に、もうひとつの「顔」

マイクロプラスチックという言葉を聞くと、多くの人は「海のごみ」「ウミガメや海鳥が飲み込んでしまう粒」というイメージを思い浮かべるはずだ。


しかし最新の研究は、これが“見た目の汚さ”だけでは済まない問題であることを改めて突きつけた。

イギリスの研究チームが発表した「Sewers to Seas(下水から海へ)」と題された論文は、マイクロプラスチックが病原菌や薬剤耐性菌(AMR菌)の「運び屋」となり、人間の健康にとっても無視できないリスクを生んでいることを示した。Phys.org


マイクロプラスチックは5mm以下の微細なプラスチック片で、海だけで推定125兆個以上が存在するとされる。さらに、山岳地帯から深海、土壌、河川、湖、そして人間の体内にまで入り込んでいることが、各種調査で明らかになりつつある。Phys.org


今回の研究が焦点を当てたのは、そうした粒の表面に形成される「プラスティスフィア(Plastisphere)」と呼ばれる微生物の世界だ。ここには、単なる環境微生物だけでなく、人や動物に病気を起こす病原菌や、抗生物質が効きにくい薬剤耐性菌も含まれている。Phys.org


2. 下水から海へ:「Sewers to Seas」がたどったルート

研究チームは、イングランド南西部の病院排水から海へと続く水路に、5種類の素材を固定できる専用の装置を設置した。

  • 下水処理場で使われる バイオビーズ(Bio-beads)

  • プラスチック製品の原料となるペレット ナードル(Nurdles)

  • 発泡トレイなどにも使われる ポリスチレン片

  • 比較対象となる 木片(自然素材)

  • 同じく比較用の ガラス片(惰性素材)


これらを、病院排水に近い上流から、都市排水が混ざる中流、河口域、沿岸の海水といった具合に、汚染度が徐々に下がると想定される地点に沿って配置した。2か月後、それぞれの粒に育ったバイオフィルム(微生物の膜)を回収し、メタゲノム解析という手法で、そこにどんな遺伝子や微生物がいるのかを詳しく調べた。Phys.org


3. わかったこと:プラスチックは「スーパーバグの優良物件」

解析の結果は、決して安心できるものではなかった。

  • すべての素材・すべての地点で、病原菌と薬剤耐性菌が検出された

  • 特に ポリスチレン と ナードル の表面には、多数の耐性遺伝子(ARG)が集中していた

  • プラスチックのバイオフィルムからは、100種類を超える耐性遺伝子 が見つかり、木やガラスの表面よりもはるかに多かった

  • バイオビーズには、アミノグリコシド系・マクロライド系・テトラサイクリン系など、医療現場で重要な抗生物質に対する耐性遺伝子を持つ菌が付着していた

  • 意外にも、下流に向かうにつれて、特定の病原菌がプラスチック上で増えているケースもあった

要するに、プラスチック粒は「どこにあっても、何かしらの病原菌と耐性菌を運んでいる」だけでなく、「素材によっては特に危険な遺伝子を集中的に載せている」ことが分かったのだ。pml.ac.uk


研究チームはさらに、漁場や養殖場の近くでは、この“汚染されたマイクロプラスチック”を二枚貝などのろ過摂食生物が取り込む可能性があり、食品を通じて人間の健康リスクやバイオセキュリティ上の懸念が高まると警告している。pml.ac.uk


4. 抗生物質が効かなくなる世界とマイクロプラスチック

薬剤耐性菌(AMR)は、すでに世界保健機関(WHO)が「人類にとって最大級の公衆衛生リスク」と位置づける問題だ。2019年には、少なくとも127万人が薬剤耐性菌感染で直接死亡し、約495万人の死に耐性菌が関与していたと推計されている。これはマラリアやHIVよりも多い数だ。世界保健機関


この危機の主な原因は、言うまでもなく人間と家畜への抗生物質の使い過ぎだ。しかし、「Sewers to Seas」が示したのは、使われた後の抗生物質や排泄物が下水に流れ込み、その先でマイクロプラスチックと出会うことで、耐性菌にとって都合の良い“育成の場”が生まれているという構図である。Phys.org


プラスチック表面に形成されるバイオフィルムは、抗生物質や紫外線から菌を守るシェルターとして機能し、そこに残留した薬剤があると、耐性菌だけが生き残りやすい「選抜試験」の場にもなりうる。今回の研究は、その現場の一端を、下水処理場から海まで連続的にたどることで、可視化したと言える。pml.ac.uk


5. タイムリーすぎる現実:カンバーサンズのバイオビーズ流出

この研究が発表されたタイミングと重なるように、イングランド・イーストサセックス州の人気ビーチ、カンバーサンズでは、下水処理場から数百万〜数千万個規模のバイオビーズが流出する事故が起き、大きなニュースになった。The Guardian


問題のバイオビーズは、名前に「バイオ」と付くものの中身はプラスチック。表面に細菌の膜を育てて汚水を浄化する目的で、何十年も前から使われてきた。しかし一度外に漏れ出すと、海岸線に打ち上げられ、餌と勘違いした鳥や魚が飲み込み、さらに時間とともにマイクロプラスチック化していく。The Guardian


環境団体 Surfers Against Sewage や地元議員は、「壊れかけたインフラと気候危機が重なった人災だ」と強く批判し、古いバイオビーズ方式を段階的に廃止し、より安全な処理技術へ移行するよう求めている。Surfers Against Sewage


そんな中で、「バイオビーズのような人工プラスチックの表面に、薬剤耐性菌が定着しうる」と示した今回の研究は、まさに“タイムリーすぎる警告”として受け止められた。


6. SNSはどう反応したか――広がる不安と行動の声

この研究はPhys.orgや大学・海洋研究機関の公式アカウントを通じてX(旧Twitter)やThreadsなどで紹介され、海洋環境や公衆衛生に関心の高いコミュニティを中心に共有されている。Threads

 



SNS上の反応は、おおまかに次のようなトーンに分かれている。
(以下は実際の投稿ではなく、典型的な反応を要約したイメージです)

  1. 「ビーチクリーンどうしたらいいの?」派

    • 「素手でナードルを拾ってた…今日から必ず手袋つける」

    • 「子どもと浜辺で遊ぶ時、どこまで気をつければいい?」
      研究チームやメディアも、ビーチクリーン活動では手袋着用と手洗いの徹底を呼びかけている。Phys.org

  2. 「インフラと企業の責任を問う」派

    • 「個人のマイボトルだけじゃ限界。下水処理の仕組みを変えないと」

    • 「バイオビーズを使い続ける水道事業者は、リスクを過小評価してきたのでは」
      カンバーサンズ事故と結びつけて、「古い処理施設の刷新」を求める声が目立つ。The Guardian

  3. 「マイクロプラ“パニック”への冷静さを求める」派

    • 「確かにリスクはあるが、日々の医療や衛生の恩恵も忘れてはいけない」

    • 「問題は『プラスチックかゼロか』ではなく、『どこで・どう使い・どう回収するか』だ」
      一部の専門家やジャーナリストは、恐怖を煽るだけでなく、科学的なリスク評価と具体的対策の議論を促している。pml.ac.uk

  4. 「海と食卓を心配する漁業・養殖関係者」

    • 「貝類や魚介の安全性はどう説明すればいいのか」

    • 「モニタリング体制が追いついていない」
      魚介類ニュースサイトや海産業向けメディアも、この研究を取り上げており、業界での議論が始まりつつある。Fish Focus


SNS全体を眺めると、「マイクロプラスチックは想像以上に奥が深い問題だ」という認識が広がる一方で、「じゃあ何を変えるのか」という問いに、社会全体がまだ答えを探っているように見える。


7. 私たちにできること:個人レベルから政策レベルまで

では、この「マイクロプラスチックと薬剤耐性菌」の問題に対して、私たちは何ができるのだろうか。


① 個人ができること

  • 使い捨てプラスチック(ペットボトルやレジ袋、過剰包装)の利用を減らす

  • 洗濯ネットやフィルターで、衣類から出るマイクロファイバーの流出を抑える

  • ビーチクリーンなどに参加する際は、必ず手袋を着け、作業後は手を洗う

  • 不必要な抗生物質を医師に求めない(風邪や軽いウイルス感染での「念のため抗生物質」はNG)irwd.com


② インフラ・企業に求められること

  • 古いバイオビーズ方式の下水処理施設を段階的に更新し、漏出リスクの低い技術へ移行する

  • 下水処理場や埋立地からのマイクロプラスチック流出をモニタリングし、結果を公開する

  • 病院・製薬工場など、抗生物質負荷の高い排水に対して、より高度な処理や前処理を導入するPhys.org


③ 政策・研究レベルでの課題

  • マイクロプラスチックと薬剤耐性菌を“別々の問題”として扱うのではなく、環境・医療・農業をまたいだ統合的な政策(One Healthアプローチ)を進める

  • 海・河川・飲料水・食品におけるマイクロプラスチックと耐性菌の監視体制を整備し、国際的にデータを共有する

  • 素材や形状の違いによるリスク差(今回のポリスチレン・ナードル・バイオビーズなど)を踏まえ、「どのプラスチックを優先的に減らすべきか」を科学的に絞り込んでいく必要があるpml.ac.uk


8. 「小さな粒」がつなぐ、私たちの生活と海の未来

マイクロプラスチックは、目に見えにくいがゆえに、日常から切り離された「遠い環境問題」に思われがちだ。しかし実際には、私たちが飲んだ薬、流した排水、捨てた包装、洗濯した衣類の繊維――そうした暮らしの断片が、125兆個の粒となって海を漂い、その表面で新たな耐性菌が育っていく。Phys.org


「Sewers to Seas」が描いたのは、下水管の中から海岸線まで続く、見えない一本の線だ。その線のどこで手を打つのか。
プラスチックの使い方を変えるのか、下水処理を変えるのか、抗生物質の使い方を見直すのか――答えはひとつではない。


ただひとつ確かなのは、マイクロプラスチックの問題を“ごみの話”だけに閉じ込めてしまうと、薬剤耐性というもうひとつの深刻な側面を見落としてしまうということだ。


ビーチに打ち上げられた小さな粒を見つけたとき、それが「海を汚すごみ」であると同時に、「私たちの医療と命を脅かすリスクの一部」でもあることを、少しだけ思い出してみたい。



参考記事

マイクロプラスチックは複数の方法で人間の健康にリスクをもたらします。
出典: https://phys.org/news/2025-11-microplastics-pose-human-health-ways.html

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