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歯科医院は「斜陽産業」なのか?――倒産・休廃業が過去最多ペースの“本当の理由”とこれからの勝ち筋

歯科医院は「斜陽産業」なのか?――倒産・休廃業が過去最多ペースの“本当の理由”とこれからの勝ち筋

2025年07月29日 23:00

目次

  1. いま起きていること――数字でみる倒産・休廃業の急増

  2. 「本当の理由」:構造的な6つの圧力

  3. それでも“斜陽”ではない:需要面の実像

  4. 日本の歯科制度(外国人読者向けクイックガイド)

  5. 誤解と事実整理(Q&A)

  6. 生き残る歯科医院の設計図:10の実践

  7. 中長期の展望とリスク

  8. まとめ



1. いま起きていること――数字でみる倒産・休廃業の急増

  • 2024年の医療機関倒産は64件で過去最多。業態別では「診療所31件」「歯科医院27件」「病院6件」。休廃業・解散は722件で、倒産と合わせて“市場から消えた”医療機関は786件に達した。歯科医院の休廃業・解散は118件で過去最多。 テンダービー


  • 2025年上半期(1–6月)の医療機関倒産は35件と、2024年の最多ペースを上回る。内訳は病院9/診療所12/歯科医院14。医療機関の収益悪化と経営者高齢化が背景と分析されている。 テンダービー

ポイント:ニュース見出しで「歯科が過去最多ペース」と読めるが、倒産“件数”の急増と“休廃業”の増加を分けて理解するのが重要。倒産は資金繰り破綻等による法的整理、休廃業は黒字でも承継難・高齢化で閉じるケースが多い。 テンダービー


また、厚労省データによれば2024年6月時点の歯科医院は66,689施設。この10年で約2,100施設減少しており、都市部の過当競争や承継難が効いている。 テンダービー



2. 「本当の理由」:構造的な6つの圧力

2-1 物価・人件費・エネルギー高と、診療報酬の伸び不足

医療機器・材料費、人件費、給食費(病院)、光熱費などが一斉に上昇。しかし保険診療の単価に当たる診療報酬の伸びは追いつかないとの指摘が、倒産動向レポートでも繰り返されている。 テンダービー

2024年度の歯科の診療報酬改定は、賃上げ対応分を除けば実質薄いとの評価が多い。医療従事者賃上げ評価の新設など前向きの要素はあるが、技術料本体の引き上げ余地は限定的という業界側の見方が主流だ。 厚生労働省全国保険医団体連合会 -



2-2 **人手不足(特に歯科衛生士)**と採用・定着コストの上昇

歯科衛生士の求人倍率は2022年度で23.3倍。つまり1人を20院超で取り合う水準で、人件費上昇・採用コスト増・離職リスクが収益を圧迫する。 jdha.or.jp
加えて、勤務実態調査などから定着や働きやすさに関する課題も見える。キャリア設計、教育投資、柔軟な勤務制度の有無が採用力を分ける。 jdha.or.jp



2-3 個人経営中心ゆえの脆弱性:承継難と院長の高齢化

日本の医療機関は中小・個人経営が多く、歯科医院も例外ではない。経営者の高齢化と後継者不在が休廃業を加速。診療所全体で70歳以上の経営者は54.6%、歯科医院でも**25.6%**とされる。 テンダービー



2-4 設備更新・感染対策コスト、コロナ融資の返済開始

ユニットやCT、CAD/CAMなど高額機器の更新サイクルが重なる時期に、電力・材料高のランニングコストが上乗せ。コロナ時の資金繰り支援の返済局面入りも重なり、キャッシュフローが枯れると一気に窮する。倒産要因の中心は「収入減(販売不振)」だが、支出増と同時進行が痛い。 テンダービー



2-5 需要構造の変化:予防の定着と来院頻度の平準化

健診・予防志向は高まり、過去1年の歯科健診受診者は約6割に達した。一方、治療中心からメンテナンス中心へのシフトは単価や点数の設計を見直させ、回転効率とリコール運用をできる医院とできない医院の差を拡大させる。 厚生労働省



2-6 地域間のギャップ:都市部の過密 vs. 地方の人材難

都市部は医院密度が高く価格競争・広告競争に晒され、地方は衛生士・技工・在宅歯科の人材確保が課題。制度は全国一律でも経営難の中身は地域で異なる。




3. それでも“斜陽”ではない:需要面の実像

  • 歯科の国民医療費は3.23兆円(2022年度)で構成比6.9%。対前年度**+2.5%と増加している。人口動態や予防志向の高まりを踏まえれば、需要そのものが縮む「斜陽」ではない。むしろ提供側の構造変化に追いつけるか**が勝負どころ。 厚生労働省

  • 健診・予防受診の伸長(過去1年に受診58.8%)は、慢性疾患管理型のサブスクリプション的モデル(定期メンテ・ハイジーン枠の計画化)と親和性が高い。 日本生活習慣病予防協会

  • 高齢化で訪問歯科・義歯維持管理などのニーズは確実にある。若年層では**矯正・審美(ホワイトニング等)**の自費領域が伸びやすい。

  • 一方、供給過多のエリアや旧来のプロセスを改められない医院は、需要があっても収益化できず撤退に追い込まれる。
    }

  • 総括すれば、市場は拡大・質的転換、供給側は淘汰・再編という二重の力学が働いており、「斜陽」というより**“再編局面”**にある。



4. 日本の歯科制度

  • 皆保険(National Health Insurance / Employees’ Health Insurance):多くの基本的な治療(う蝕治療、根管、義歯等)は保険適用。自己負担は一般に30%(年齢・所得帯により異なる)。

  • 自由診療(self-pay / private care):インプラント、審美矯正、ホワイトニング、セラミックの一部などは保険外。医院ごとに価格差が大きい。

  • 診療報酬(fee schedule):点数表で全国一律。改定は2年に1回。昨今は賃上げ評価を追加する流れだが、物価・人件費上昇の吸収には限界があるとの声が多い。 厚生労働省

  • 事業体の多くは小規模クリニック:承継・M&Aの環境が整いつつあるが、欧米のDSOほどは進んでいない。



5. 誤解と事実整理(Q&A)

Q1. 倒産が増えている=患者が減っている?
A. 直接にはイコールではない。歯科医療費は増加傾向、健診受診も拡大している。倒産・休廃業の主因はコスト上昇・承継難・人材難にある。 厚生労働省厚生労働省



Q2. 「コンビニより歯科が多い」から過当競争で衰退?
A. 医院数は66,689施設(2024年6月)。数の過多はエリアによって事実だが、需要の質が変わるなかの配置最適化の問題でもある。 テンダービー



Q3. 報酬改定で楽になる?
A. 2024年度は賃上げ評価の新設などポジティブ要素はあるが、物価・人件費高に見合うほどの増収を得られないとの評価が多い。医院の努力(プロセス設計・稼働最適化・自費の設計)で差がつく。 厚生労働省全国保険医団体連合会 -



Q4. 2025年も悪化?
A. 2025年上半期の倒産は前年の最多ペース超え。金利環境・返済負担・人件費が落ち着かない限り、再編は続く見込み。 テンダービー



6. 生き残る歯科医院の設計図:10の実践

  1. 予防メンテの“仕組み化”
     ・ハイジーン枠のブロック設計、定期メンテの年2–3回化、SMS/アプリでの自動リコール。
     ・衛生士主導のプロトコル(スクリーニング→リスク分類→介入→再評価)を標準化。


  2. 保険×自費の“ミックス最適化”
     ・保険の土台で継続収益を作り、自費は適応基準・説明フローを明確に。
     ・自費は“モノ売り”でなくアウトカム説明(審美・機能・維持費)と保証設計で信頼を高める。


  3. 単価ではなく“アポイント設計×滞在時間”を磨く
     ・ユニット回転のボトルネック(滞在時間・移動・会計)を数値化。
    ・タスクシフティング(アシスタント配置、スキャン・説明の分業)で医師の診療密度を最大化。


  4. 人材戦略:採用力は“働きやすさ”ד学び”
     ・衛生士は23.3倍市場。教育計画(院内勉強会、外部研修補助)、評価制度(臨床・接遇・貢献)を可視化。
     ・柔軟シフト・時短常勤・保育支援などでライフイベントと両立。 jdha.or.jp


  5. 患者体験(PX)の標準化
     ・初診60分枠(問診・口腔写真・説明・会計)をテンプレ化。
    ・見える化(治療前後写真・リスク説明)+決済の選択肢(キャッシュレス、事前決済)。


  6. デジタル化とデータ活用
     ・レセコン・予約・CRMの連携、未受診者の抽出と自動フォロー。
    ・キャンセル率・来院間隔・自費比率をダッシュボードで可視化。


  7. 原価とエネルギーの管理
     ・材料のABC分析、在庫最適化、電力ピークカット(稼働時間の平準化、機器待機電力の管理)。
    ・リース/減価償却とキャッシュフローの整合。


  8. ブランディングと集患の“質”
     ・エリアの患者像を定義(ファミリー/オフィス/シニア)。
    ・広告はCPAだけでなくLTVで評価。口コミは体験設計で自然発生させる。


  9. 在宅・訪問の拡張
     ・地域包括ケアと連携(居宅介護支援、訪看、老健)。口腔機能管理で介護・医療の架け橋に。


  10. 承継・M&A・グループ化の選択肢
     ・後継者不在なら早めの準備(財務整理、診療の標準化、スタッフ処遇の明文化)。
    ・スケールで購買・採用・研修の効率を高める発想も検討。



7. 中長期の展望とリスク

  • コストサイド:エネルギー・人件費が下がり切らない限り、薄利構造は続く。

  • 政策:賃上げ評価や医療DXは追い風だが、点数引き上げ余地は限られる。医院側の生産性向上が前提。 厚生労働省

  • 需要:高齢化+予防志向の組み合わせでボリュームは底堅い。ただし業務プロセスを組み替えられない医院は淘汰圧力が強い。

  • 競争:デジタルと人材投資を継続できる医院とそうでない医院で二極化。



8. まとめ――“斜陽”ではなく再編のただ中にある

倒産・休廃業が最多ペースで増えるのは事実だが、それは需要の衰退ではなく、コスト高・人材難・承継難といった供給側の構造問題が主因だ。歯科の医療費は増え、健診・予防は広がっている。再編局面を生き抜く鍵は、


(1)予防メンテの仕組み化、(2)保険×自費の最適化、(3)人材への投資、(4)デジタル×オペレーション改善、(5)承継とスケールの活用。


これらを早期に実装する医院は、**“強い中小”**として地域で選ばれ続けるだろう。 厚生労働省厚生労働省




参考記事・出典一覧

  • 帝国データバンク「医療機関の倒産動向調査(2025年上半期)」(2025/7/8) テンダービー

  • 帝国データバンク「医療機関の倒産・休廃業解散動向調査(2024年)(PDF)」 テンダービー

  • 東京商工リサーチ「2024年の医療機関の倒産が過去20年で最多」 TSRネット

  • 東京商工リサーチ「歯科診療所の倒産(2024年上半期)」 TSRネット

  • 厚生労働省「令和4(2022)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」 厚生労働省

  • 厚生労働省「令和4(2022)年度 国民医療費の概況(PDF)」 厚生労働省

  • 厚生労働省「令和4年歯科疾患実態調査(概要)」 厚生労働省

  • 厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要(歯科)(PDF)」 厚生労働省

  • 保団連「2024年診療報酬改定、0.29%では歯科医療の充実困難」 全国保険医団体連合会 -

  • 日本歯科衛生士会「歯科衛生士6つの魅力(求人倍率23.3倍)」 jdha.or.jp

  • 日本歯科衛生士会「歯科衛生士の勤務実態調査 報告書(2024年度調査)(PDF)」 jdha.or.jp

  • 生活習慣病.com「国民健康・栄養調査:過去1年の歯科健診受診58.8%」 日本生活習慣病予防協会

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