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保育園倒産が過去最多ペース——少子化とコスト高が迫る〝淘汰の時代〟

保育園倒産が過去最多ペース——少子化とコスト高が迫る〝淘汰の時代〟

2025年07月09日 13:44

目次

  1. はじめに

  2. 倒産・廃業の最新データ(2025年上半期)

  3. 背景① 少子化で需要構造が激変

  4. 背景② 保育士不足と人件費の高騰

  5. 背景③ 物価上昇と固定費圧力

  6. ケーススタディ:中小園の閉園に見る落とし穴

  7. 生き残りモデル:高付加価値化と認定こども園への転換

  8. 政府・自治体の支援策とその限界

  9. 保護者・地域社会への影響

  10. 今後の展望と提言

  11. まとめ




1. はじめに

保育園業界はここ数年、前例のない速度で「縮小均衡」に向かっている。帝国データバンク(TDB)の最新調査は、業界が直面する経営リスクの深刻さを如実に物語る。tdb.co.jp 本稿では倒産・廃業動向を俯瞰しつつ、構造的課題と生き残り戦略を多角的に検討する。



2. 倒産・廃業の最新データ(2025年上半期)

  • 件数の急増—2025年上半期(1〜6月)の倒産・休廃業・解散は22件で、前年同期比7割増。通年では過去最多を更新する可能性が高い。tdb.co.jp

  • 負債規模—1件あたり負債額は平均3,600万円と小規模だが、経営体力が乏しい事業者ほど影響が大きい。prtimes.jp

  • 地域分布—都市圏近郊と人口減少が顕在化した地方で二極化。都市部は競争激化、地方はそもそも需要が細る。

POINT
倒産・廃業は「経営破綻」だけでなく、「自主的な撤退」が約4割を占める。後継者不足と人材確保難が主因だ。



3. 背景① 少子化で需要構造が激変

総出生数は2024年に70万人を割り、2025年はさらに減少が見込まれる。待機児童はピーク時の8万人超から2,944人まで減少し、「待機児童ゼロ自治体」は9割に達した。mhlw.go.jp この結果、園児獲得競争が逆に激化し、園ごとの稼働率格差が拡大している。



4. 背景② 保育士不足と人件費の高騰

  • 保育士有効求人倍率は全国平均で2.77倍(2025年5月時点)。

  • 2023年度は保育園事業者の29.1%が赤字、25.2%が減益。tdb.co.jp

  • 人材獲得のための賃金上乗せは平均月額3.8万円。給与コスト比率は全体で73%に達し、利益を圧迫。



5. 背景③ 物価上昇と固定費圧力

給食用食材費は2021年比で18%上昇、光熱費は23%上昇。入園料・保育料は3〜5歳児の「無償化」で値上げが困難となり、収益性悪化に拍車をかける。prtimes.jp



6. ケーススタディ:中小園の閉園に見る落とし穴

6-1 JPホールディングスの認証園閉園

業界最大手JPホールディングスでさえ、2024年度末に東京都内で複数園を閉園している。jp-holdings.co.jp


6-2 地方小規模園の自主廃業

山間部の定員19名の小規模認可園が、保育士確保が叶わず2025年3月に廃業。定員充足率は50%未満で持続不能となった。

教訓
① 人件費割合80%超は危険水域
② 単園経営ではスケールメリットが出にくい
③ 緊急時の代替保育ネットワークが不可欠



7. 生き残りモデル:高付加価値化と認定こども園への転換

  • 専門プログラム導入—英語・STEM・体操教室など“選ばれる園”への投資。

  • 認定こども園移行—給付単価アップと運営の柔軟性確保。

  • 共同購買・ICT化—連携法人が給食・消耗品を一括購入し10%のコスト削減。勤怠・シフトをクラウド化し、事務を年間600時間削減した事例もある。



8. 政府・自治体の支援策とその限界

  • 処遇改善等加算Ⅱの拡充—2025年度予算で平均月1万円相当の賃上げを継続。ただし原資は国庫補助と利用者負担減免で財政余力が乏しい。

  • こども誰でも通園制度—利用拡大で潜在需要を顕在化するが、制度対応コストが追加発生。

限界
補助は“人件費目的特定”が多く、設備投資やDX費用には回しにくい。自治体間格差も大きい。



9. 保護者・地域社会への影響

突然の閉園で保護者が転園を余儀なくされるケースが増え、通勤時間が片道30分以上延びた家庭が24%にのぼる。特に単親家庭への影響は深刻で、職場離職率の上昇が懸念される。



10. 今後の展望と提言

  1. M&Aとネットワーク化—小規模園を束ねる地域連携型法人を育成し、管理部門を共同化。

  2. DX加速—人員配置最適化AIや紙帳票ゼロ化で年間人件費を3〜5%削減。

  3. アウトカム評価導入—施設評価を“子どもの発達成果”で可視化し、補助金配分の客観性を高める。

  4. ガバナンス強化—財務開示を義務化し、保護者が経営の健全性を事前確認できるスキームを構築。



11. まとめ

保育園倒産・廃業の増加は、少子化とコスト高という二重苦の帰結であると同時に、施設・人材・資金の再配分を進める淘汰プロセスでもある。大規模化・高付加価値化・DXによる効率化を軸に“選ばれ続ける園”が生き残り、地域保育インフラを再設計することが、子育て安心社会の鍵となる。




参考記事一覧(外部リンク・日付順)

  • 帝国データバンク プレスリリース「『保育園』の倒産・廃業、3年連続で増加 2025年は過去最多ペース」(2025-07-09)

  • 帝国データバンク PDF「保育園の倒産・休廃業解散動向(2025年上半期)」 

  • 厚生労働省 白書「子どもを産み育てやすい環境づくり 第1章 待機児童対策」(2024-09) 

  • JPホールディングス「2024年3月期 決算説明会資料」(2024-05-13) 

  • サードニュース「少子化に揺れる保育業界、倒産と廃業が過去最多の可能性」(2025-07-09) 

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