メインコンテンツにスキップ
ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア ロゴ
  • 記事一覧
  • 🗒️ 新規登録
  • 🔑 ログイン
    • English
    • 中文
    • Español
    • Français
    • 한국어
    • Deutsch
    • ภาษาไทย
    • हिंदी
クッキーの使用について

当サイトでは、サービスの向上とユーザー体験の最適化のためにクッキーを使用しています。 プライバシーポリシー および クッキーポリシー をご確認ください。

クッキー設定

クッキーの使用について詳細な設定を行うことができます。

必須クッキー

サイトの基本機能に必要なクッキーです。これらは無効にできません。

分析クッキー

サイトの使用状況を分析し、サービス向上に役立てるためのクッキーです。

マーケティングクッキー

パーソナライズされた広告を表示するためのクッキーです。

機能クッキー

ユーザー設定や言語選択などの機能を提供するクッキーです。

薬局は「薬の販売所」から「地域の健康相談窓口」へ:提供可能サービスの拡大をめざすドイツの動きと日本への示唆

薬局は「薬の販売所」から「地域の健康相談窓口」へ:提供可能サービスの拡大をめざすドイツの動きと日本への示唆

2025年09月16日 23:41

1. ドイツでの制度改革案の内容

1.1 主な提案内容

  • 健康情報の提供
    薬局を訪れた市民が、予約なしで対面で健康情報(Gesundheitsinformationen)を聞けるようにする。薬剤師など薬局スタッフが、病気の予防や健康管理に関して専門的なアドバイスを行う。 Aktiencheck

  • 予防サービスの拡充
    心血管疾患(Herz-Kreislauf-Erkrankungen)の早期診断テスト(Früherkennungs-Tests)が薬局で提供可能にする。つまり、例えば血圧、コレステロールなどの簡易チェックやリスク評価が薬局で行えるようにすることが検討されている。 Aktiencheck

  • ワクチン接種機会の拡大
    薬局で予防接種を行う能力を拡充すること。これまで限定的だった予防接種の場を広げ、市民がより身近な場所でワクチンを受けられるようにする。 Aktiencheck

  • 報酬制度(Apotheken-Vergütung)の見直し
    こうした追加サービスを薬局が提供するためには、薬品調剤・販売だけではなく、予防・相談・検査などのサービスにもきちんと報酬が支払われる制度にする必要がある。現在、調剤報酬や薬局運営費などの補償があるが、これを拡大し、サービス提供に見合った対価を実現させることが提案されている。 Aktiencheck



1.2 現時点での見通し・制限

  • 報酬の引き上げは、短期的には今年中には実施されない見込みである。まだ制度設計や財源確保などの検討段階で、まずは来年以降に実施方向で準備を進めるとのこと。 Aktiencheck

  • 保険制度(Gesetzliche Krankenversicherung)への負担も考慮されており、現在のところ追加のコストを保険側に強く求める形ではなく、慎重な姿勢をとっている。 Aktiencheck



2. 背景:なぜ今このような提案か

ドイツでこのような薬局機能強化の声が出てきている背景には、以下のような社会・医療の変化や課題がある。


  • 高齢化・慢性疾患の増加
    高齢者人口の増加に伴い、心血管疾患、糖尿病、呼吸器疾患など慢性疾患の予防/管理がますます重要になっており、外来医療機関の負担軽減も求められている。

  • 医療アクセスの問題
    地域によっては医師のアクセスが悪い、あるいは診察までの待ち時間が長いという問題がある。薬局は比較的身近で、営業時間も比較的柔軟なので、地域住民にとって重要な接点となり得る。

  • 予防医学・セルフケア志向の高まり
    市民の健康意識が高まり、「予防可能な病気を防ぐ」「早期発見」を希望する声が強くなってきている。

  • 保険制度・公共支出の抑制
    医療費の抑制、健康保険制度の持続可能性が重視されており、医療コストの上昇を抑えるために、予防・早期介入の強化を図ろうという政策意図がある。



3. 期待される効果

この改革が実現すると、以下のような効果が期待される。


  • 医療機関の負荷軽減
    軽度な病状や予防相談・健康チェックなどは、医師ではなく薬局で対応できることが多く、その分医療機関の診療リソースを重症患者や緊急性の高いケースに集中させられる。

  • 住民にとっての利便性向上
    予約なしで相談できる場所が増えることで、健康不安の早期対応や、予防接種などの機会を逃さずに済むようになる。

  • 疾病の早期発見・予防の強化
    心血管疾患など重症化する前にリスクを把握できれば病気の進行を抑えられ、結果として医療費の削減・患者の生活の質の維持につながる。

  • 薬局の役割の拡大・プロフェッショナル化
    薬剤師の業務範囲が拡大し、薬の調剤・販売に加えて、健康相談・予防医療・簡易検査など専門性が強まる。これにより薬局の社会的信頼・責任・価値も向上する。



4. 日本での状況と比較・示唆

ここで、日本の制度や実際の薬局の機能・現場との比較をし、このドイツの政策が日本でどのように応用可能かを考えます。



4.1 日本の薬局・薬剤師の現状

  • 日本でも薬局・ドラッグストアは非常に身近な医療関係施設であり、薬剤師は調剤・薬の説明・服薬指導などを行っている。

  • また、最近では地域包括ケアや在宅医療、かかりつけ薬剤師・薬局制度など、薬局が地域健康ケアに関わる取り組みが増えている。

  • 予防接種の一部は薬局で行われる例もあるが、地域や制度によって限定的で、すべての薬局で普及しているわけではない。

  • 健康相談(生活習慣病、アレルギー、自己診断など)を行う薬局もあるが、法制度・保険制度の枠組み、報酬の問題などから行動しづらいケースが多い。



4.2 ドイツの提案から日本が学べること

  • 予防医療・早期診断を薬局で提供するモデルは、日本でも拡大可能。たとえば血圧・血糖値・コレステロールなど簡易検査が薬局で受けられるように制度上認め、薬局が測定機器を備え、薬剤師にその診断・結果説明の研修を義務付ける。

  • ワクチン接種の拡充も日本で注目されており、実務上の課題(冷蔵保存、接種後の対応など)をクリアすれば、薬局での予防接種体制を整備することは住民サービスを大きく向上させる。

  • 健康相談・情報提供について、薬局がもっと地域住民の日常的な健康窓口になること。予約なしで相談できる「健康ステーション」として機能すれば、健康意識の底上げにもつながる。

  • 報酬制度・保険制度との関係性の整備が非常に重要。薬局が追加サービスを提供するには、そのコストをどう補うか、薬剤師やスタッフへの負担をどう報いるかが制度的にきちんと定義されていなければならない。



5. 実現に向けての課題・検討点

政策として薬局サービスの拡大を図る際に、日本で考慮すべき主な障壁と、それをどう乗り越えるかを下記に整理します。


課題内容対応・克服の方向性
法制度の整備薬事法、医薬品・医療機器等法、保健所の許認可制度など、薬局が検査やワクチン接種を行うことを認める法規制を整備する必要がある。省庁間の調整(厚生労働省・都道府県・保健所等)、地方自治体の条例整備。モデル地区での実証実験を通じてノウハウを蓄積する。
報酬・財政の問題薬局が追加サービスを提供するためにはコスト(機器・人員・時間・研修)がかかる。これをどう保険・公的制度が補うかが鍵。保険診療報酬への追加項目設定、予防・検査・相談業務に対する報酬制度の導入。補助金や交付金の利用。
人的資源・教育研修薬剤師や薬局スタッフが予防・検査・ワクチン接種などの技術や知識を持っている必要がある。加えて倫理・情報提供能力も重要。大学・専門学校でのカリキュラム改定、継続教育(研修制度)の整備、資格制度の明確化。講習・認定制度の普及。
施設・設備の整備検査機器・薬剤保管設備(ワクチンなどの冷蔵保存)・プライバシー確保の相談スペースなど、物的インフラの整備が必要。補助金・助成制度を活用する。薬局の規模・地域特性に応じた対応。既存施設の改修や新設のための設計指針の策定。
地域差・アクセスの公平性都市部・過疎地で薬局数・薬剤師数が異なるため、実施可能性に地域差が出る。高齢化や医師不足が特に進んでいる地域では薬局の機能強化が喫緊の課題。地域医療構想との連携、過疎地域・離島など特別地区への重点支援、テレヘルスなど遠隔支援の活用。
住民・医療従事者の理解・信頼新たな役割を薬局に期待する一方で、「本当に薬局でやっていいのか?」「医師の仕事を侵害するのではないか?」という懸念がある。住民側も薬局の相談・検査能力に信頼を持てるかが課題。情報公開、コミュニケーション、医師・薬剤師間の協力関係の構築。パイロットプロジェクトで成果を示す。住民への啓発活動。



6. ケーススタディ・先行例

日本や他国で、薬局の機能拡大に成功している例をいくつか挙げて、その要因を考える。


  • 日本国内のかかりつけ薬剤師・薬局制度
    患者が定期的にかかりつけの薬剤師・薬局を指定し、薬歴管理、服薬指導、過誤防止などを担う制度。これにより患者との継続的関係ができ、健康相談などのベースがつく。制度運用上は報酬設定など改善の余地あり。

  • 海外の薬局での予防接種モデル
    アメリカ、カナダなどでは薬局でインフルエンザワクチン等が一般的に接種可能。これにより接種率が上がり、高齢者や働く人々が便利にワクチン接種できている。これを日本でも応用可能性あり。

  • 簡易検査を提供する薬局
    血糖値、血圧、コレステロール、BMIなどをチェックする健康ステーション型の薬局。予防・生活習慣改善プログラムと組み合わせて結果をフィードバックすることで、住民の健康行動が改善したという報告もある。



7. 日本での実現のための道筋提案

ドイツの例と日本の現状を踏まえて、日本で薬局サービス拡充を進めるためのステップを以下のように提案します。

  1. パイロットプロジェクトの実施
    特定の自治体や地域で、薬局が健康情報提供・簡易検査・ワクチン接種などを包括的に提供するモデル事業を設け、その成果・課題を検証する。

  2. 報酬制度の見直し・新設
    保険診療報酬や国・自治体の補助制度に、「薬局による予防・健康相談・簡易検査・ワクチン接種」等の新たな報酬項目を設定する。

  3. 薬剤師・薬局スタッフの教育・研修強化
    大学・専門教育機関で予防医療・検査・ワクチン接種・コミュニケーション能力などのカリキュラムを充実させる。また、既存薬剤師向けの継続教育制度の整備。

  4. 施設・設備基準の策定
    プライバシー確保スペース、検査器具、保存設備(ワクチン用冷蔵庫など)などの最低基準を定め、薬局がそれを満たせるよう助成或いは段階的実施を制度化する。

  5. 制度・法律の調整
    医薬品医療機器等法、薬事法、医師法等の関連法令を必要に応じて改正し、薬局が検査やワクチン接種など医療行為に近い業務を安全に行えるよう法的枠組みを整える。県・市町村レベルの許認可制度との調整も必要。

  6. 住民・医療関係者への周知と信頼構築
    薬局の新しい役割について住民に周知し、薬剤師・医師間での明確な役割分担を示し、相互協力体制を築く。パイロット地区で成功例を示すことが信頼向上に資する。



8. 留意点・リスク

制度改革にはメリットだけでなく慎重に考えるべきリスクもあります。


  • 安全性の確保:薬局で行う検査・ワクチン接種等は医療行為に近いものがあるため、誤診・副反応対応など医療安全の観点から明確なガイドラインと責任体制が必要。

  • 過負荷・質の維持:薬局スタッフの負担増加リスク。特に小規模薬局では人手・時間・設備の制約が大きく、サービスの質が低下する恐れも。

  • コスト増と保険財政への影響:予防サービス・検査・相談が増えれば保険支出が膨らむ。費用対効果をしっかり測定し、無駄を防ぐ制度設計が必要。

  • 役割の重複・混乱:医師・保健所・薬局など、どこが何を担うかの曖昧さがあると住民・関係者双方に混乱を生む。明確な役割分担と協力体制が重要。



9. 結論

ドイツにおける薬局のサービス拡大の提案は、薬局を「薬を売る所」から「予防・健康管理の拠点」へと再構築しようとするものであり、日本にとっても極めて示唆に富む。高齢化・医療資源の地域差・住民の健康意識の高まりなどを背景に、日本でも薬局サービスの拡充は既に必要性を帯びている。実現には法制度・報酬制度・人的資源・施設整備など多角的な準備が必要だが、制度設計を丁寧に行い、モデルを作りつつ段階的に進めれば、住民の健康維持・医療アクセスの改善・医療制度の持続可能性の向上に大きく貢献できるだろう。



参考記事

薬局がより多くのサービスを提供できるようにするべき
出典: https://www.aktiencheck.de/news/Artikel-Apotheken_sollen_mehr_Leistungen_anbieten_koennen-19014703

Powered by Froala Editor

← 記事一覧に戻る

お問い合わせ |  利用規約 |  プライバシーポリシー |  クッキーポリシー |  クッキー設定

© Copyright ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア All rights reserved.