医師が警告するサプリメントの真実:グミ感覚がいちばん危ない。サプリの落とし穴と“安全側”の選び方

医師が警告するサプリメントの真実:グミ感覚がいちばん危ない。サプリの落とし穴と“安全側”の選び方

「健康のために何かしたい」。その気持ちが、運動や睡眠より先に“瓶”へ向かう時代だ。ターメリック、ビタミンD、コラーゲン、緑茶抽出物——棚やタイムラインには、効きそうな言葉が並ぶ。ところが医師たちが口をそろえて言うのは、サプリは「効く・効かない」の前に「安全か」「中身が確かか」を考える必要がある、という現実だ。


記事によれば、米国では過半数の人が少なくとも1種類のサプリを摂っており、高齢になるほど種類が増える傾向がある。60歳以上では、毎日4種類以上という人も少なくないという。ここでいうサプリは、ビタミンやミネラルだけでなく、ハーブや植物由来成分を含む幅広いカテゴリーだ。


医師がまず伝えたい「サプリは“食品の延長”ではない」

医師が最も警戒するのは、“手軽さ”が判断を鈍らせる点だ。グミやカプセルはお菓子のように見える。しかし高用量の成分は、体内で薬理作用を持ち得る。しかも製品の品質にはばらつきがあり、ラベル表示と実際の含有量が一致しない可能性も指摘されている。


さらに厄介なのが「相互作用」だ。処方薬・市販薬とサプリの組み合わせによって、薬の効き方が変わったり、副作用リスクが上がったりすることがある。サプリ側が“自然由来”をうたっていても、体の中で起きるのは化学反応であり、気分の良いストーリーではない。


医師がすすめる「飲む前の4(〜5)つのルール」

記事に登場する専門家の助言は、派手な断言ではなく「安全側に倒す」ための具体策だ。重要ポイントを整理すると次の通り。


1)推奨量を超えない——“多いほど効く”は危険

「1粒で良いなら2粒はもっと良い」は、サプリでこそ起こりやすい誤解だという。医師の現場では、たとえばターメリック(ウコン)などを高用量で摂り続け、肝機能障害につながった例が語られる。食品に使われる成分でも、抽出物を濃縮したサプリは別物になり得る。特に“複数製品で同じ成分を重ねて摂ってしまう”と、本人の意識より簡単に過量に到達する。


2)成分表が長い製品を避ける——まずは“単一成分”

いろいろ入っていればお得、とは限らない。成分が多いほど、体調変化が起きたとき原因の切り分けが難しくなる。さらに問題なのは、成分が列挙されていても“それぞれの含有量が不明”なケースがあること。医師は「含有量が明記されない製品は避けるべきだ」と強く述べている。


結局、何かを試すなら「単一成分」「含有量が明確」「推奨量が守れる」——この3点が“最低ライン”になる。


3)第三者認証を確認する——「作りの確かさ」を買う

サプリは医薬品ほどの事前審査がないため、品質の担保は自衛が基本になる。そこで勧められるのが第三者機関の認証(品質試験や監査)だ。ポイントは「広告文」ではなく、パッケージ上で確認できるかどうか。もちろん認証は「効く」ことの証明ではない。しかし少なくとも「表示どおりの成分・量か」「汚染物質が混じっていないか」といった“入口の安全性”に近づける。


4)“茶色い袋”で医師に見せる——処方薬も一緒に

もっとも実務的で、効果が大きいのがこれだ。飲んでいるサプリをまとめて袋に入れ、受診時にそのまま見せる。できれば処方薬・市販薬も同じ袋に入れる。医師は実物のボトルを見て、ブランドや配合、含有量を確認できる。相互作用や重複摂取のリスクも見つけやすい。


専門家は「あなた個人に合わせて研究した会社は存在しない」という趣旨の言葉で、サプリの本質を言い当てる。私たちは“自分の体で検証”してしまっている。ならば、その検証に医療者を同席させるのが合理的だ。

(※記事では上記に加え、SNSの体験談を鵜呑みにしない、公的情報源で調べる、といった姿勢も強調されている。)


なぜ不安が消えないのか:「研究」と「規制」のズレ

サプリをめぐる議論が荒れやすいのは、制度設計と消費者の直感がずれているからだ。多くの人は「店で普通に売られている=国が効き目や安全を確認した」と感じやすい。ところが制度上は、医薬品のような“販売前の有効性・安全性の承認”が必須ではない。結果として、情報の非対称性が大きい市場になりやすい。


さらに研究面でも、成分の吸収率や製品の品質差、併用薬、生活習慣の影響が絡み、明快な結論が出にくい。そこへSNSの体験談が加わると、「効いた/効かなかった」の声が拡散し、“自分にも起きるはず”という錯覚を強める。医師が提案するチェックリストは、こうした不確実性を前提にした「転ばぬ先の杖」だ。


SNSの反応:医師の注意喚起に共感、業界は“文脈不足”を指摘

今回の記事はSNSでも話題になり、反応は大きく二方向に分かれた。


医師・医療機関側の反応
医療機関の投稿では、「サプリ業界は本質的に規制が薄く、摂取は“賭け”になり得る」「科学に基づく医療者は一般にサプリを推奨しない」といった強い表現が引用され、注意喚起が広がった。特に“茶色い袋”で受診する提案は、「現場感がある」「それなら今日からできる」と評価され、拡散のフックになった。


業界団体側の反応
一方でサプリ業界団体は、「年間23,000人が救急搬送」という推計が“怖さだけ”で一人歩きしていると反論した。推計に使われたデータが古いこと、全国の実数ではなく限られたサンプルからの推計であること、内訳に子どもの誤飲や高齢者の嚥下トラブルが含まれること、利用者数の規模を踏まえると割合は小さいこと——など、数字の受け取り方に注意を促した。


この対立は「どちらが正しいか」というより、「消費者に必要な情報の粒度が違う」ことを示している。医師は個人を守るために最悪ケースを重視する。業界は全体のリスク比で語り、過度な恐怖を抑えたい。だからこそ私たちは、恐怖でも楽観でもなく、“判断の道具”を持つ必要がある。


ここから先の「いちばん現実的な行動」

最後に、記事の内容を“行動”に落とす。

  • 目的を言語化する:何を改善したいのか。検査で不足が確認できているのか。

  • 製品はミニマルに:単一成分、含有量が明確、第三者認証が確認できるものから。

  • 追加は1つずつ:体調変化が起きたとき原因を追えるように。

  • 推奨量を守る:複数製品で同成分が重複していないかも見る。

  • “袋で受診”:サプリも薬もまとめて医師に見せ、相互作用の観点を入れる。


サプリは、欠乏がある人や特定状況では助けになる一方、万能薬ではない。大切なのは、瓶に期待を預ける前に、「中身」「量」「組み合わせ」を確認し、必要なら医療者の目を通すこと。結局それが、最短で“安全側”に寄せる方法なのだ。



出典URL

  1. NYT記事:NYT「What Doctors Want You to Know About Supplements」(2026/01/23)の内容を中国語で掲載しているページ(推奨量、成分表、第三者認証、“茶色い袋”などの具体的助言と各専門家コメントの要約・引用)
    https://www.familydoctor.cn/news/yisheng-xiwang-liaojie-guanyu-shanshi-buchong-shixiang-319665.html

  2. SNSでの拡散例(医療機関側):UC Irvine School of MedicineのLinkedIn投稿(記事を紹介し、医師コメント「賭け」「科学ベースの提供者は推奨しない」等を引用)
    https://www.linkedin.com/posts/uc-irvine-school-of-medicine_what-doctors-want-you-to-know-about-supplements-activity-7420536479522889729-ZGu4

  3. SNSでの反論例(業界団体側):Council for Responsible Nutrition(CRN)のLinkedIn投稿(「23,000件推計」の文脈、データ期間、推計の性質、内訳、利用者規模、規制の存在について反論)
    https://www.linkedin.com/company/council-for-responsible-nutrition

  4. 「23,000件推計」の一次研究:救急外来データからサプリ関連有害事象による年間推計を示した論文(2004–2013年データに基づく推計)
    https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMsa1504267

  5. 米国FDAの消費者向け説明(制度の前提):サプリは医薬品のように販売前承認(安全性・有効性の事前審査)を受けないことがある、という制度面の解説
    https://www.fda.gov/food/dietary-supplements/information-consumers-using-dietary-supplements

  6. NIH(米国国立衛生研究所)ODSの消費者向け説明:ラベルの見方、安全性、品質、医療者に相談する重要性など、サプリ利用の基本ガイド
    https://ods.od.nih.gov/factsheets/WYNTK-Consumer/