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缶切り不要時代の落日:デルモンテ破綻が示す食品業界の世代交代

缶切り不要時代の落日:デルモンテ破綻が示す食品業界の世代交代

2025年07月04日 01:35

1. 破産申請の概要――デルモンテが選んだ「延命」の選択肢

2025年7月1日午前9時、デルモンテフーズは米連邦破産裁判所ニュージャージー支部にチャプター11を申請したと発表した。同社は1892年の創業以来、パイナップルやコーン缶詰の代名詞として世界に流通網を築いてきたが、ここ数年の売上低迷と巨額の在庫圧縮コストが経営を直撃した。申請書によれば資産・負債はいずれも10億~100億ドル、債権者数は最大2万5,000社に上る。CEOグレッグ・ロングストリート氏は「事業の存続と従業員保護を最優先に、スピーディーなスポンサー選定を目指す」とコメントしている。reuters.com



2. 資金繰りのカギを握るDIPファイナンス

デルモンテは9億1,250万ドルのDIP(Debtor-in-Possession)ローンを確保し、加えて既存債権者グループから1億6,500万ドルの新規融資枠を獲得した。裁判所は申請当日に暫定承認を出し、在庫の再パッケージ費用や従業員給与の支払いに充当できる見通しだ。米ブルームバーグによると、金利はSOFR+800ベーシスポイント、満期は手続き完了後12か月以内とされる。bloomberg.com



3. 売上減少の背景――健康志向とプラントベースの台頭

売上はピークの2019年度(35億ドル)から2024年度(23億ドル)にかけて約34%縮小した。PBSの分析は**「若年層が“缶より冷凍”を選ぶ構造転換」**を指摘し、CBS MoneyWatchは「インフレ下で生鮮の値上がりが一服したのに対し、缶詰は物流コスト高が転嫁しきれなかった」と報じる。pbs.orgcbsnews.com



4. “#RIPDelMonte”が教える消費者心理

破産の報は瞬く間にX(旧Twitter)やRedditに拡散した。

  • 郷愁派:「子どもの頃のランチはデルモンテのピーチ缶だった。時代が終わった」(米カリフォルニア州在住ユーザー)

  • 健康志向派:「缶詰は糖分とナトリウムが多過ぎる。消えるのは必然」(r/StockMarket)

  • インフレ疲れ派:「値段3ドル越えたら誰も買わん」(r/news)

投稿件数は申請当日だけで7万超と推定され、関連ハッシュタグは48時間で1億3,000万インプレッションに達した(同社モニタリングツール調べ)。



5. 農家と下請けを襲う「突然の雨」

デルモンテと契約するカリフォルニア・セントラルヴァレーのトマト農家は約300戸。出荷単価の引き下げ要請に加え、今季の作付面積を最大25%削減するとの通知を受け「資金繰りの目途が立たない」と悲鳴を上げる。ウォールナットクリークの本社ビル(賃借面積約7,200㎡)についても、同社は破産法に基づき賃貸契約の解除を申請した。costar.com



6. 同業他社の動向――買収レースの火蓋

食品業界アナリストは買い手候補として、

  1. 自社ブランドの棚を即拡張したい大手小売(Walmart傘下のSam’s Clubなど)、

  2. 生鮮や冷凍を強化する米国プライベートエクイティ(Berkshire Partners、TPGなど)、

  3. 東南アジア市場を狙う多国籍食品メーカー(タイのチャルーン・ポーカパン、フィリピンのJollibee Foods)
    を挙げる。手続きは**「ストーキングホース方式+オークション」**になる公算が大きく、最短で2025年12月、長ければ2027年初頭までかかるとの見方がある。bloomberg.com


7. 「保存食」のイノベーション欠如とブランドエクイティの毀損

デルモンテは2018年から“バジル香るカットトマト”“Joyba ボバティー”など新領域を模索したが、市場シェアは微増にとどまり、粗利率は30%→18%へ低下。パッケージデザインも90年代版のリフレッシュが進まず「若者に刺さらない」まま陳列棚の下段に追いやられた。



8. 投資家視点――非上場企業でも浮かび上がるリスクプレミアム

デルモンテの社債(24年11月満期・クーポン7.75%)は、申請前日に額面100ドル→28ドルへ暴落。破産申請後は取引停止となった。DIPローンが優先弁済となるため、一般債権は回収率10~15%との試算がある。



9. アジア事業は「通常運転」でも油断は禁物

フィリピンなど海外子会社は対象外とされたが、缶詰原料の糖漬けパインアップルを本社へ輸出する構造は同じ。親会社再建の行方次第で取引条件が変動するため、現地工場では「内販シフト」を検討中だという。reuters.com



10. 今後のシナリオと時間軸

フェーズ主要イベント時期の目安リスク要因
DIPローン確定裁判所が本承認2025年7月下旬金利上昇で追加借入困難
基幹資産売却「ストーキングホース」入札開始2025年9月買い手不足
債権者投票再建計画の可決2025年11月反対派形成
退出 or 清算計画実行2026年以降市況悪化



11. まとめ――デルモンテ破産が映す“缶詰の世紀”の終わりと始まり

デルモンテの破綻は、**「常温保存=安心」**という価値観が、冷凍・レトルト・プラントベースなど多様なオプションに溶け込む中で賞味期限を迎えたことを示す。だが同時に、非常食・防災食としての缶詰は依然ニッチ需要を持つ。もし買収先がサステナブル包装や減糖シロップで再発明に成功すれば、缶詰は再び食卓に戻ってくる可能性もある。デルモンテの再生劇は「缶切りいらず」の新章を開けるだろうか――。


参考記事

139年の歴史を持つ缶詰果物・野菜の会社、デルモンテが破産保護を申請
出典: https://www.chicagotribune.com/2025/07/02/del-monte-bankruptcy/

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