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気候介入の影響で世界の食糧が危機に?—タンパク質低下の懸念 : 気候をいじると食卓が変わる

気候介入の影響で世界の食糧が危機に?—タンパク質低下の懸念 : 気候をいじると食卓が変わる

2025年11月10日 08:31

地球を“冷やす”介入に、食の“痩せる”リスク

11月8日(米国時間)にPhys.orgが伝えた最新研究によれば、太陽光の一部を宇宙へ跳ね返す気候介入(ソーラー・ジオエンジニアリング)の代表案、成層圏エアロゾル介入(SAI)が、世界の主食作物に含まれるタンパク質の割合を下げる可能性が示された。対象はトウモロコシ、コメ、コムギ、ダイズの4作物。研究チームは気候・作物モデルを組み合わせ、栄養面の副作用を評価している。 Phys.org


何が起きるのか:CO₂と温度の“デカップリング”

ポイントは、CO₂と気温の関係がSAIで切り離されることだ。モデルでは、CO₂濃度の上昇は4作物すべてでタンパク質濃度を低下させる一方、気温上昇はタンパク質濃度を押し上げる傾向が確認された。SAIは地球を冷やすため、この“温度による相殺”が効かなくなり、相対的にタンパク質が減る方向へ働く――という説明だ。リード著者のBrendan Clark氏は、SAIは気候変化の影響を完全に打ち消す“万能薬”ではないと強調する。 Phys.org


シナリオと手法:ARISE-SAI-1.5×CLMcrop

研究は、ARISE-SAI-1.5という代表的な数値実験(SSP2-4.5で“実効1.5℃”に保つ制御注入)を使い、**CLM(CLMcrop)**で2060〜2069年の各国レベルのタンパク質変化をマッピングした。ARISE-SAI-1.5は、2035年から成層圏(約21.5km)にSO₂を4緯度帯で注入し、制御アルゴリズムで気温を1.5℃付近に維持する設計だ。 Phys.org cesm.ucar.edu


最も影響を受けるのは誰か:地域の不均一性と公正

減少幅は地域差が大きく、栄養不良やタンパク質不足が深刻な国ほど打撃が大きい恐れが示唆された。これは温度・日射・降水・大気化学の変化が地域ごとに違うためだ。著者らは現地実験やモデル改良の拡充を政策判断の前提とするよう訴える。 EurekAlert!


「収量」と「栄養」は別物――既存知見との整合

SAIが収量に与える影響は作物・地域で“勝ち負け”が分かれるという先行研究がある一方(Nature Food 2023)、**栄養(質)**については評価が遅れてきた。本研究は、量が増えても質が落ちる可能性にスポットを当てた点が新しい。なおトウモロコシについては、SAI下での生産の振る舞いを検討した最近の研究(Earth’s Future 2025)もあり、作物モデルや前提によって利害が入り組む現実が浮かぶ。結論は単純化できない――だからこそ“リスク対ベネフィット”の総合評価が必要だ。 ScienceDaily


食卓・現場への含意:タンパク質“密度”をどう守る?

  • 育種・品種選定:タンパク質含有の遺伝的ばらつき活用、品質指標(必須アミノ酸プロファイル)も加味。

  • 施肥と土壌管理:窒素利用効率(NUE)の改善や、“希釈効果”(CO₂増で炭水化物が増え相対的にタンパク質%が下がる)への対策。

  • 作付けシフト:畑作・稲作の組み合わせや豆類の比重を上げることで、食事全体のタンパク供給を補完。

  • サプライチェーン:原料タンパク%の低下は飼料・加工にも波及。品質基準や価格設計の再調整が要る。
    栄養は収量と違って見えにくいKPIだが、国際貿易と栄養政策の接点に躍り出る。 SpringerLink


研究の限界とこれから

本研究はモデルに依存しており、微量栄養素やアミノ酸組成の地域差、農家の適応行動(施肥・品種・播種期)などまで完全には織り込めていない。著者らが述べる通り、**圃場実験の拡充と“多モデル比較”**が鍵になる。政策の現場では、ガバナンス(誰が・いつ・どれだけ注入するのか)、越境影響、合意形成のプロセスが問われる。 EurekAlert!



SNSの反応ピックアップ

 


  • Alan Robock(共同著者)
    「成層圏エアロゾル気候介入は作物の栄養価を下げうる――ERLに掲載」
    (研究のDOIを添えて告知) X (formerly Twitter)

  • Geoengineering Info(解説アカウント)
    「1.5℃維持のSAIでは、トウモロコシとコメのタンパク質が低下、コムギとダイズは影響限定的――地域差が大きい」 X (formerly Twitter)

  • 大学・広報
    Rutgersの学部ニュースやEurekAlert!も、**“栄養不良が深刻な地域ほど影響が大きい恐れ”**と要点を整理して配信。 SEBS NJAES News

※SNS上にはSAIを“万能薬”視する声と、“副作用が大きすぎる”とする警戒の両極が並ぶ。今回の成果は、収量だけでなく栄養を政策判断のスコアに入れる必要を可視化したと言える。



研究の位置づけ(補足)

  • 一次報道:Phys.org(2025年11月8日)。Rutgers提供、査読誌Environmental Research Letters掲載研究の解説。 Phys.org

  • 元論文:Clarkら「Stratospheric aerosol climate intervention could reduce crop nutritional value」(ERL, 2025, DOI:10.1088/1748-9326/ae1151)。

  • 実験設計の背景:ARISE-SAI計画(NCAR/CESM)と、その1.5℃制御シナリオの仕様。 cesm.ucar.edu


結論

温暖化を少しでも抑えることは人間と生態系にとって不可欠だが、**“どう抑えるか”**で食の質が変わり得る。冷却の代償としてタンパク質密度が落ちれば、特に脆弱地域の栄養政策に跳ね返る。気候介入を議論するなら、収量だけでなく栄養をKPIにする――それが今回の研究が突きつけた現実だ。 Phys.org+1


参考記事

気候介入が主要な世界の食糧作物のタンパク質含有量を低下させる可能性
出典: https://phys.org/news/2025-11-climate-intervention-protein-content-major.html

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