AI友達が中学生の日常を変える!?AIに心を開く子どもたち ─ 約5人に1人が親密な話し相手に、米報道

AI友達が中学生の日常を変える!?AIに心を開く子どもたち ─ 約5人に1人が親密な話し相手に、米報道

いつでも返事をくれる相手が、いちばん話しやすい

友達にメッセージを送っても、返事が来るとは限らない。悩みを打ち明ければ、気まずくなるかもしれない。ところが、スマートフォンの中のAIは、夜でも話を聞き、言葉を返してくれる。

そんな会話が、子どもにとって単なる遊びを超えた存在になりつつある。

英紙インディペンデントが2026年9月28日に報じたのは、米国のミドルスクールに通う生徒とAIチャットボットの関係だ。記事によると、ノースカロライナ大学チャペルヒル校の研究者らが、米南東部のある州の22校で、6~8年生2,300人超を調査。12月と、その後の4~5月の2段階で回答を集めた。

約5人に1人が、AIを感情的に親密な話し相手として使っていたという。こうした利用をした生徒は、後の調査で、より強い孤独感を報告しやすかったとも伝えられている。

研究者のミッチ・プリンスタイン氏は、同年代の人間よりチャットボットとの交流を好む子どもが、各教室に2~4人いると説明している。

ただし、この二つの数字は区別しなければならない。「親密な話し相手としてAIを使った」ことと、「人間よりAIを好む」ことは同じではない。約5人に1人が人間の友達を捨てた、と読むのは行き過ぎだ。


「AIを使うと孤独になる」とは、まだ言えない

今回の報道で見落とせないのは、親密なAI利用と、その後の孤独感との関連である。しかし、時間の前後が分かっていても、それだけで因果関係が証明されるわけではない。

もともと孤独を抱えていた子ほどAIを求めた可能性がある。学校や家庭での困難が、AIへの接近と孤独感の両方に影響した可能性もある。逆に、AIとの会話が人と過ごす時間を減らした可能性も検討する必要がある。

今回確認できた元記事には、孤独感の尺度、関連の強さ、分析で考慮した条件、論文の掲載先などは示されていない。そのため、研究結果の詳細は報道の範囲に限って扱うべきだ。米国の特定地域の結果を、そのまま日本の子ども全体に当てはめることもできない。

それでも、人間との交流よりAIとの会話を選ぶ子がいるという報告は、子どもの日常を考えるうえで無視できない問いを投げかける。


「使ったことがある」と「友達を置き換えた」の間

背景を知る手がかりになるのが、米非営利団体Common Sense Mediaが2025年7月に公表した、13~17歳の若者を対象とする別の調査だ。

この調査では72%がAIコンパニオンを少なくとも一度使った経験を持ち、半数超が月に数回以上利用していた。一方、同団体は80%が現実の友情を優先しているとも報告している。

利用が広がっていることは、人間の友人関係が全面的に置き換わったことを意味しない。好奇心で試す、物語の登場人物と会話する、悩みを話すといった行動を、すべて同じものとして数えるべきではない。

ここで注目したいのは、AIコンパニオン利用者のおよそ3人に1人が、重要な話や深刻な問題について、人間ではなくAIに話すことを選んだ経験を持つ点だ。

保護者が宿題の相談だと思っている時間に、子どもは友情や不安について話しているかもしれない。画面を見ている時間の長さだけでは、そこで交わされている会話の意味までは分からない。


気まずさのない会話で、学べないこと

人との関係には、自分の都合だけでは進まない場面がある。相手が疲れていることに気づく。言い過ぎたら謝る。意見が合わなくても話を続ける。

子どもとデジタル環境を扱う団体Children and Screensの専門家討論でも、思春期はこうした社会的・感情的な力を練習する時期だと説明されている。すぐに返事が来ないことや、意見の食い違いは、不快であっても関係を学ぶ機会になり得る。

ここから考えられる懸念は、AIとの会話が快適であるほど、現実の会話にある不便さが、必要以上に耐えがたいものに見えてしまわないか、ということだ。

もちろん、いじめや侮辱まで「成長に必要な摩擦」として受け入れさせるべきではない。子どもに必要なのは、安心できる関係の中で、相手との違いを経験する機会だ。

AIとのやり取りで気持ちが整理され、人に相談しやすくなる場合と、AIだけに話すようになり、人との接点が減っていく場合。この違いを見ることが、利用の有無だけを問うより役立つだろう。


SNSに並ぶ「心配」と「自分にも欲しかった」

今回のインディペンデント記事への直接の反応は、公開情報から十分に確認できなかった。以下は、2025年7月のCommon Sense Media調査を扱ったRedditの公開スレッドで確認できた、関連テーマへの反応である。今回の研究への反応や、世論全体を代表するものではない。

 

一つ目は、対人関係を学ぶ機会が減ることへの懸念だ。人との基本的なやり取りが苦手になるのではないか、という投稿があった。便利な会話相手に慣れた先で、人間との関係をどう築くのかを心配している。

二つ目は、孤独を経験した側からの声だ。ある投稿者は、自分が学校で孤独だったころにChatGPTがあればよかった、という趣旨の思いをつづっていた。AIの危うさを語るだけでは、当時ほかに話し相手がいなかった人の気持ちを取りこぼす。

三つ目は、数字や見出しへの疑問である。「コンパニオン」という言葉が広く使われすぎ、道具としての利用と交流目的の利用が混同されているのではないか、という指摘もあった。ただし、その投稿者の調査解釈が正しいかどうかは、原資料と分けて判断する必要がある。

これらの声が示すのは、同じ「AIの友達」という言葉でも、人によって思い浮かべるものが違うことだ。人間関係から遠ざかる入口を想像する人もいれば、誰にも話せなかった時期の支えを想像する人もいる。


「優しく聞いてくれる」と「秘密を守ってくれる」は別

もう一つ考えたいのが、親密な会話をサービスとして提供する企業の存在だ。

ユニセフの研究部門Innocentiが公開した専門家インタビューでは、AIコンパニオンが個人的な情報を記憶し、親しみのあるやり取りを重ねる一方、機微なデータの収集や説明の不透明さが問題として挙げられている。

人間の友達への打ち明け話と、企業が運営するシステムへの入力は、情報の扱われ方が異なる。名前や学校名だけでなく、家庭の事情や心の悩みも、個人的な情報だ。

親身な返事をすること、正確な助言をすること、入力した内容を適切に扱うことは、それぞれ別の問題である。会話が心地よいほど、この違いは見えにくくなる。

Common Sense Mediaは、リスク評価に基づき、18歳未満にはAIコンパニオンを勧めない立場を示している。これは同団体の勧告であり、あらゆるAIの学習利用が同じ危険性を持つという意味ではない。


大人が聞くべきなのは「何時間?」だけではない

では、家庭や学校では何を話せばよいのだろう。

米国心理学会の解説は、AIと話すときと人間の友達と話すときの感じ方の違いなどを、子どもと話し合うことを提案している。この視点を日常の会話に置き換えるなら、「何を話しているの?」「どんなときに話したくなる?」「人には話しにくいことがある?」といった問いになる。

利用の背景が好奇心なのか、暇つぶしなのか、それとも人に相談しづらい苦しさなのかで、必要な対応は変わる。

AIが人間の友達や専門家と同じ責任を負う相手ではないこと、もっともらしい返事にも誤りがあること、個人的な情報を安易に入力しないこと。こうした基本を共有するとともに、実際に相談できる人を具体的に思い浮かべられるようにしたい。

家族に話しづらければ、先生やスクールカウンセラー、親戚でもよい。対面の大人数の集まりが苦手なら、安心できる少人数の活動から考える余地もある。

AIとの会話に何を求めているかを知ることは、子どもに足りないものを決めつけるためではない。大人や周囲の環境が、どんな安心を用意できていないのかを考えるためでもある。

いつでも返事をくれるAIが身近になるほど、人間の側には、すぐに正解を返せなくても話を聞く姿勢が求められる。画面の中にだけ居場所がある状態をつくらないこと。そのためにできることは、家庭にも学校にも、サービスを設計する企業にもある。


出典URL

  1. The Independent(2026年9月28日)—22校・2,300人超の調査、親密なAI利用と孤独感の関連
    https://www.independent.co.uk/news/world/americas/us-politics/ai-children-middle-school-friends-artificial-intelligence-b3057591.html

  2. Common Sense Media(2025年7月16日)—13~17歳のAIコンパニオン利用経験、相談行動、現実の友情、18歳未満への勧告に関する公式発表。今回報じられた学校調査とは別の調査。
    https://www.commonsensemedia.org/press-releases/nearly-3-in-4-teens-have-used-ai-companions-new-national-survey-finds

  3. Children and Screens(2025年12月)—子どものAIコンパニオン利用と社会的・感情的発達に関する専門家討論および記録。
    https://www.childrenandscreens.org/learn-explore/research/ai-companions-and-kids-what-you-need-to-know/

  4. Reddit・r/Futurology(2025年7月の関連議論)—対人関係への懸念、孤独だった時期にAIが欲しかったという声、調査の言葉遣いへの疑問を確認。一般利用者の投稿であり、事実認定や世論調査には用いていない。
    https://www.reddit.com/r/Futurology/comments/1m9q3m5/72_of_us_teens_have_used_ai_companions_study_finds/

  5. UNICEF Innocenti(2025年7月9日)—AIコンパニオンの設計、親密さ、子どものプライバシーに関する専門家インタビュー。
    https://www.unicef.org/innocenti/stories/risky-new-world-techs-friendliest-bots

  6. American Psychological Association(2025年)—若者のAIへの相談と友人関係についての解説。親子でAIと人間の違いを話し合う視点を参照。
    https://www.apa.org/monitor/2025/10/technology-youth-friendships