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AIが“非対称な拡声器”になる日 ― AIは武器そのものではない。でも“武器化”は驚くほど簡単になった

AIが“非対称な拡声器”になる日 ― AIは武器そのものではない。でも“武器化”は驚くほど簡単になった

2025年12月16日 07:42

AIの民主化が渡してしまった「非対称な拡声器」

2025年12月14日付でMarketBeatに掲載された記事(配信元はAP)は、過激派組織がAIを“試し始めている”段階でありながら、今後のリスクが拡大していく可能性を強く示した。ポイントは単純で、AIが“強い組織をさらに強くする”だけでなく、“弱い側でもそれなりの影響力を持ててしまう”方向に働くところにある。金も人も限られる集団が、生成AIで「見栄えのするコンテンツ」と「多言語・大量発信」を手に入れれば、プロパガンダは“制作能力”ではなく“拡散の設計”で勝負できてしまう。 マーケットビート


AP記事では、親IS系のオンライン空間で「AIを活動に組み込め」と促す投稿があったことにも触れている。ここで怖いのは、AIが“高度な軍事技術”としてではなく、スマホ感覚の「道具」として語られている点だ。つまり、参入障壁の低下が、脅威の裾野を広げる。 AP News



いま起きている“実験”:深層偽造、翻訳、そしてサイバー

記事が挙げる中心的な懸念は、生成AIが「それっぽい画像・動画・音声」を量産し、勧誘や攪乱に使われ得ることだ。実際、過去の紛争やテロ事件の文脈で、AI生成コンテンツが怒りや分断を煽り、現実の悲劇を覆い隠すように流通した例が指摘されている。ここで重要なのは、偽物が“完全に信じられる品質”である必要はない、という点だ。タイムラインの早い段階で視界を埋め尽くし、「第一印象」を奪うだけで十分に効果が出てしまう。 AP News


さらに、過激派がAIで音声を合成したり、メッセージを多言語に高速翻訳したりしているという指摘もある。翻訳は地味だが効く。“言語の壁”という自然な摩擦が消えると、宣伝は国境を越えて同時多発的に走り出す。 AP News


そしてサイバー面。記事は、生成AIがフィッシング(なりすまし)や悪性コード作成の一部自動化を後押しし得る点にも触れている。生成AIは「攻撃の熟練」をショートカットし、作業の手間を減らす。特に合成音声・合成動画を使った“本人っぽさ”は、組織内の承認プロセスを崩すのに使われやすい。 AP News



「まだ洗練されていない」—それでも危険が増す理由

AP記事内では、こうしたAI利用が現時点では国家級アクター(中国、ロシア、イラン等)ほど高度ではなく、「より洗練された用途は当面“aspirational(願望・志向)”」という見立ても示されている。だが同時に、AIが安く・強力になれば、危険は無視できないレベルで増えるとも述べられる。 AP News


この“二段構え”が現実的だ。今日の脅威が「未熟」に見えても、明日の脅威は「運用が上手い」かもしれない。AIは武器そのものというより、拡散・説得・自動化のエンジンだ。いったん運用ノウハウが共有され、テンプレ化されると、模倣は一気に加速する。


実際、研究コミュニティでは以前から、生成AIが暴力的過激主義に悪用され得る可能性(宣伝、訓練、計画支援など)と、モデルへの“抜け道”の問題が議論されてきた。APが報じた動きは、その延長線上で「現実の運用」に近づいているサインと読める。 Combating Terrorism Center at West Point


一方で、プラットフォーム側の観測では「AIは便利だが“決定的ゲームチェンジャー”とは限らない」という評価もある。例えばGoogleの脅威インテリジェンスは、国家系の脅威アクターのAI利用を分析しつつ、AIが役立つ場面はあるが、誇張も避けるべきだと示している。だからこそ、恐怖で煽るより、「効くところに備える」発想が要る。 Google Cloud



政策と企業連携:追いつくべきは「技術」より「運用」

AP記事では、米議会での提案として、国土安全保障当局による年次評価を義務づける法案や、AI開発企業が“悪用の兆候”を共有しやすくする枠組みの必要性が語られている。要するに、「AIモデルを賢くする」だけではなく、悪用のシグナルを拾い、連携して塞ぐための制度設計が焦点になっている。 AP News


ここで難しいのは、言論・表現の自由、監視強化への懸念、企業秘密、国際的な法域の違いが絡むことだ。だから“万能の規制”は作りにくい。現実解は、おそらく次の寄せ集めになる。


  • 合成コンテンツの検出・表示(ラベリング)を、UI/UXとして実装する

  • 大規模な悪用パターン(大量生成・大量投稿・ボット連携)を行動ベースで抑える

  • 研究者・企業・政府間で、悪用の観測データを共有できる回路を増やす

  • 何より「危機時の検証(verification)」を早く回す仕組みを作る



SNSの反応:LinkedInのコメント欄で目立った論点

この記事が共有されたSNS空間では、「AIの危険性」という大きな主語よりも、**“摩擦が消える箇所”**に注目が集まっているのが印象的だった。


  • 翻訳が過小評価されている
    「言語の壁という自然な摩擦が消えると、過激化のスピードが変わる」という趣旨のコメントが見られた。技術的には地味でも、社会的には効く――という直感だ。 LinkedIn

  • 脆弱性はモデル性能より“ガバナンスの遅れ”
    「能力そのものより、運用・統治が追いつかないことがリスク」という反応が複数あった。拡散の速さが“正しさ”に勝つ瞬間をどう潰すか、という問題意識。 LinkedIn

  • 危機の最中に“落ち着いた語り口の偽物”が刺さる
    混乱時に、もっともらしいナレーションが人を誘導する怖さを指摘する声もあった。映像や声が“権威っぽさ”を帯びた瞬間、検証より感情が先に動く。 LinkedIn


ここで強調したいのは、SNSの多くの反応が「AIが全部悪い」ではなく、**“検証と表示の設計”や“危機時の情報流通の作法”**へ議論を寄せている点だ。恐怖より、対策の具体に近い。



個人ができる:拡散時代の“被害最小化”チェックリスト

最後に、読者側で効く対策を整理しておく。派手ではないが、危機時ほど効く。

  • 速報で回ってきた画像・動画は、最初の5分は信じない(まず保留)

  • 「一次情報はどこか?」を探す(公式発表、複数の信頼媒体)

  • 切り抜き動画は、前後文脈が欠けている前提で見る

  • “それっぽい声”ほど疑う(合成音声のコストは下がっている) AP News

  • 怒り・恐怖を煽る投稿ほど、拡散の前に深呼吸(感情は拡散の燃料)



まとめ:AIの「悪用」は、技術問題であり同時に社会運用の問題

MarketBeat/APの記事が示したのは、「過激派がAIで突然スーパーパワーを得る」という単純な物語ではない。むしろ、AIによって手間が削られ、拡散が加速し、検証が置き去りにされるという、情報環境のねじれが危険だという話だ。 AP News


そして、そのねじれを正す鍵は、モデルの性能競争だけではなく、ラベリング、共有、検証、教育といった“地味な運用”にある。AIが社会に深く入った以上、「善意だけを前提にしない設計」に移れるかどうか。そこが、2026年以降の分かれ目になるのだと思う。 Combating Terrorism Center at West Point



参考記事

武装勢力がAIを試験的に使用しており、そのリスクは今後増大すると予想されています。
出典: https://www.marketbeat.com/articles/militant-groups-are-experimenting-with-ai-and-the-risks-are-expected-to-grow-2025-12-14/

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