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交渉の刃、規制の砲 ― 米豪合意は中国の供給支配を崩せるか:中国の“磁石”規制とトランプ政権の豪州シフト

交渉の刃、規制の砲 ― 米豪合意は中国の供給支配を崩せるか:中国の“磁石”規制とトランプ政権の豪州シフト

2025年10月22日 17:40

導入:比喩が映す非対称

オーストラリアのビジネス紙面は、米豪の新合意を「トランプはナイフを持ち込んだが、中国はバズーカを持ってきた」と喝破した。比喩の肝は、米豪が“供給を作る”政策パッケージであるのに対し、中国は“供給を止める/流れを支配する”規制ツールを一発で撃てる非対称性にある、という点だ。記事は中国経済の減速を前提にしつつも、対米貿易戦の中でも基幹素材では優位を保っている現実を指摘する。muckrack.com


何が決まったのか:米豪合意の中身

10月20日(米東部)、トランプ大統領とアルバニージー豪首相は、クリティカル・ミネラル(レアアース等)での協力枠組みに署名。両国で少なくとも各10億ドルを6か月で投じ、合計85億ドル規模の案件パイプラインを動かすと表明した。報道によれば、米EXIMによる22億ドルのLOIや、豪州西部のガリウム精製など具体化しつつある投資が含まれるとされる。狙いは採掘から精製、磁石製造に至る「代替チェーン」を大陸間で立てることにある。AP News Reuters


この合意には“価格床(プライスフロア)”的な仕組みの導入が議論されているとの報道もあり、過去に中国のダンピング的な価格変動で投資を折られてきた非中陣営の鉱山・精錬事業の“銀行起動”を狙う。もっとも、各プロジェクトの最終実行はオフテイク(引き取り契約)と資金の見極めにかかる。Al Jazeera


その瞬間、中国は“弾”を込め直した

同じ10月、中国はレアアースと永久磁石の輸出統制を大幅拡張。注目は二点だ。第一に、磁石や合金など“製品”への適用を拡げ、わずかな中国起源成分や中国技術の関与がある場合でも域外での再輸出に中国の承認を要する“域外適用”を明記したこと。第二に、軍事用途や半導体関連は原則不許可・個別審査へ。これは従来の“鉱石や酸化物の輸出許可”から一段上の“技術と最終用途”管理への移行で、サプライチェーンの上流から下流まで実効支配を強める。AP News


足元の統計でも、レアアース磁石の輸出は9月に前月比で減少。制度の影響が浸透すれば、ライセンス審査の“摩擦”だけで世界の在庫と価格のボラティリティは高まる。Reuters


“ナイフ”と“バズーカ”の非対称を分解する

政策速度:米豪の投資は工場・精錬所が立ち上がるまで数年のリードタイムを伴う。一方、中国の新通達は即時性が高く、通知一枚で輸出の流路を絞れる。Reuters


サプライカバレッジ:採掘量の多寡以上に、精錬・組成・磁石化の“加工”で中国が圧倒。世界の磁石製造の大半が中国に偏っている現実が、規制の効き目を高める。CSIS


域外適用:米国の対中輸出管理が“米起源技術”を根拠に域外企業を縛ってきたのと同様、中国も“中起源成分/技術”を根拠に域外での再輸出を縛る。素材分野における“相互域外化”である。AP News


価格と投資のゲーム:米豪は“価格床”や官の資金で投資のアニマルスピリットを呼び戻すが、中国は価格を上下させる“蛇口”を握る。結果、民間投資家は長期の価格見通しに確信を持ちにくい。Al Jazeera


SNSの反応:評価・懐疑・現実論

 


①「戦略的には正しい」派
政府関係アカウントや地政学系のアカウントは、供給多角化の意義を強調。「中国の支配の危険性がはっきりした今、豪州の役割は大きい」といった論調が目立つ。X (formerly Twitter)


②「でもカネと時間がかかる」派
投資クラスタでは、米豪合意を“投資妙味は薄いが戦略的には筋が良い”と冷静に評価。精錬・環境対応・人材のボトルネックを理由に、成果は中長期とする見立てが多い。Reddit


③「具体の設計が肝」派
Redditの専門サブでは、EXIMのLOIや豪州側の精錬前提、米側の装置投資など“仕組み”の細部に関心が集中。「豪州内での加工を明記」「半年で各10億ドルの初期資金」「ガリウム精製案件」など、一次情報を基にした検討が続く。Reddit


④「政治ショー」派
ニュース性の高いX(旧Twitter)では、署名シーンや発言クリップが拡散。注目度は高い一方、短尺情報に寄りがちで、経済性の議論は分散。X (formerly Twitter)


⑤「バズーカ理論」派
「中国は自由世界のサプライチェーンにバズーカを向けた」という強硬な見立ても回遊。供給網をめぐるパワーの非対称性を端的に映すフレーズとして機能している。The Economic Times


現場で何が詰まるか:三つのボトルネック

  1. 精錬・分離の“化学工場力”
    LRE(軽希土)よりHRE(重希土)で難度が跳ね上がる。日本ですらHREは中国依存が残るとの指摘は根強い。米豪は環境許認可・廃液処理・熟練人材という三重の壁を越える必要がある。Reddit

  2. 磁石サプライの“最後の一マイル”
    最終製品に近い磁石工程こそ中国の牙城。新ルールはここをピンポイントで握る。たとえ豪州で酸化物を作っても、磁石化で止まれば“脱中国”は未完成だ。Reuters

  3. 価格メカニズム
    価格床は投資の背中を押すが、過度な下支えは需要破壊や財政負担の温床にもなる。ボラティリティ制御と過剰保護の線引きが難しい。Al Jazeera


マーケットの肌感

通関統計の変化や許認可の“にじみ”は、短期的に価格・在庫を揺らす。磁石輸出が減速しただけで投資家心理は敏感に反応し、装置・自動車・防衛など川下産業は在庫の積み増しと設計回避(デリスキング)を迫られる。Reuters


6か月で見える景色:評価軸の整理

  • 資金の実弾:EXIMのLOIがプロジェクト・ファイナンスにどう橋渡しするか。Reddit

  • 精錬キャパの実装:ガリウム等の副産物精製は、豪州のアルミ・酸化アルミ産業と親和性が高い。実機着工が鍵。Al Jazeera

  • 規制の拡張速度:中国の制度運用(許可率・審査日数・用途拒否範囲)は市場を揺らす“見えざる政策金利”。AP News

  • 国際協調:日本・欧州・インドなどの“仲間内”調達がどこまで増えるか。South China Morning Post


結論:短距離走の主導権、中国。長距離戦の勝敗は未確定

米豪は“作る力”を増やすための意志と資金を示した。一方の中国は“止める力”“許す力”を制度化してバリューチェーン全体に及ぼす“射程”を広げた。短期の主導権は明らかに後者にある。しかし、域外適用の強化は企業の地政学的リスク回避を加速させ、中長期には投資の“地ならし”になる皮肉も孕む。ナイフとバズーカの対決は、結局“誰がより長く費用を支払えるか”の消耗戦である。muckrack.com Reuters


参考記事

トランプはナイフを持ってきたが、中国はバズーカを持ってきた
出典: https://www.watoday.com.au/business/markets/trump-brought-knives-but-china-brought-a-bazooka-20251021-p5n3zs.html?ref=rss&utm_medium=rss&utm_source=rss_business

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