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オーバーツーリズムの最前線から──メキシコ市住民が叫ぶ「ここは私たちの街だ」

オーバーツーリズムの最前線から──メキシコ市住民が叫ぶ「ここは私たちの街だ」

2025年07月06日 01:15

はじめに──深夜のコロニア・コンデサで何が起きたのか

2025年7月4日午後9時過ぎ、メキシコ市の人気エリア・コンデサとローマは、週末のにぎわいとは程遠い緊張に包まれた。昼間に始まった「観光客・デジタルノマド反対デモ」が、夜には高級ブティックのガラスを粉砕し、通りすがりの観光客を追い回す暴徒へと変貌したのである。mymotherlode.com



1. デモが暴徒化するまでの48時間年表

  • 7/3(木)深夜:SNSで「#CDMXNoSeRenta(CDMXは貸さない)」が急浮上。

  • 7/4(金)12:00:大学生グループを中心に300人規模の平和行進スタート。

  • 17:30:一部マスク姿の集団が合流し、バールの窓を石で破壊。

  • 19:00:米国大使館前で警官隊とにらみ合い。

  • 21:05:ローマ地区で最初の放火、観光客のバッグがひったくられる。
    警察発表では“逮捕者17人、負傷者11人(観光客3名を含む)”とされるが、市民メディアの集計では負傷者は倍に上るとの指摘もある。apnews.comtravelandtourworld.com


2. 「デジタルノマド」が引き金──家賃は3年で2倍

パンデミック以降、米国を中心としたリモートワーカーが流入。Airbnb物件は2020年から2024年で約190%増、同じ期間にコンデサ地区の平均家賃はペソ換算で2.1倍に跳ね上がった(不動産調査会社Tinsa試算)。travelandtourworld.com


ミシェル・カストロ(19歳・学生)
「家族は三世代ここで暮らしてきた。でも今や“1ベッド 1,400USD/月”なんて価格は、普通のメキシコ人には払えない」mymotherlode.com


3. 路上のリアルボイス──怒りと恐怖が交錯するSNS

X(旧Twitter)

  • @Mariana_CDMX

    「店を壊すのは許せない。でもAirbnbばかりで近所のパン屋が消えたのも事実。#CDMXNoSeRenta」

  • @Nomad_Dave

    「メキシコが好きで来たのに“Gringo Go Home”と叫ばれた。悲しい。」

  • @VecinoRoma

    「観光税では不十分。短期賃貸の日数制限を!」

炎上したハッシュタグは24時間で約28万件の投稿を記録し、国外からも「観光公害(overtourism)の典型例だ」との批判が相次いだ。


4. 観光都市 vs. 生活都市──専門家に聞く“二重構造”

都市社会学者エレナ・ガルシア教授は、「短期滞在者が急増すると地価と生活インフラのコストが連動して上昇し、税収は増えても福祉や交通の持続性はむしろ悪化する」と指摘する。同教授は、

  1. Airbnbの営業許可を年間180日までに制限

  2. “デジタルノマド税”を導入し、市営住宅基金へ回す

  3. ホテル向け課徴金の一部を地元商店街支援に充当
    といった多層的規制が不可欠だと語った。


5. バルセロナ、パリ、ローマ──世界に広がる“観光アレルギー”

欧州の観光都市でも、2023~25年にかけて「観光客立ち入り制限デモ」が相次いだ。バルセロナでは港湾クルーズ客に1人当たり5€の“オーバーツーリズム課徴金”を課す条例が成立、パリでは五輪を前にAirbnbの営業日数上限を90日に縮小した。メキシコ市は後追いする形だが、既に“焼け石に水”との声が強い。apnews.com


6. 当局の対応と市民の不信

事件翌日、クラウディア・シェインバウム市長は「破壊行為は許せないが、住民の住宅問題は急務」と表明。だがデモを鎮圧した警察隊には「過剰防衛で催涙ガスを使った」との批判も。市議会では「観光警察」創設案や、短期賃貸プラットフォームへのリアルタイムデータ提出義務化などが審議入りした。


7. 経済インパクト──観光収入10%減の試算も

旅行業界団体は「SNS動画が拡散され、北米市場を中心に予約キャンセルが急増」と報告。7~8月期のホテル稼働率は前年比で最大10ポイント低下する恐れがある。実際、主要OTAでは“メキシコシティ 安全”が急上昇検索ワードとなった。


8. 住民発イノベーション──“ツーリズム・コーポ”モデル

コンデサの一部住民は、観光客と共有オフィスを“組合方式”で共同保有し、利益を地域に還元する「ツーリズム・コーポ」構想を提案。

  • 仕組み:ノマドが払う利用料の30%を地域基金へ

  • 狙い:家賃上昇を“利益還元”で相殺し、共存を実現
    実証段階ながら、サステナブル・ツーリズムの新モデルとして注目される。


9. 今後のシナリオ

シナリオAirbnb規制観光需要住宅価格住民満足度
A:強力規制日数上限90日▲5%▼15%◎
B:緩やか課税追加課税のみ▲0%▼5%○
C:現状維持なし▲3%▲10%×


専門家は「シナリオB+地域還元策」が最も現実的とみる一方、住民団体は“即時A”を要求。対立の火種はくすぶり続ける。


10. まとめ

暴徒化した7月4日の映像は、観光都市メキシコ市の光と影を世界に突き付けた。観光収入と住民生活をどう両立させるか――その問いは、バルセロナやパリだけでなく東京の浅草や京都にも通じる普遍的課題である。「旅人を歓迎しつつ、まちを守る」。その仕組みづくりは今、待ったなしだ。



参考記事

メキシコシティでの大量観光急増に対する抗議が、観光客への嫌がらせや器物損壊に発展
出典: https://www.mymotherlode.com/news/latin/4070904/protests-against-surge-mass-tourism-in-mexico-city-end-in-vandalism-harassment-of-tourists.html

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