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満月とスマホの狭間で:消えゆく“月経”と月のリズム - 月と女性の周期に見えたわずかな糸口

満月とスマホの狭間で:消えゆく“月経”と月のリズム - 月と女性の周期に見えたわずかな糸口

2025年09月30日 00:16

1. 「月の時計」は本当に壊れつつあるのか

月は潮を動かし、古来“人の営み”にも影響すると語られてきた。だが実証は難しく、迷信と科学がぶつかる典型的テーマでもある。そんな論争に新しいデータが加わった。2010年を境に、女性の月経周期と月の位相の“ゆるい同期”が弱まったというのだ。背景には、LED照明とスマートフォンに代表される夜間の人工光がある可能性が高い。Earth.comはこの研究を「テクノロジーが月との結びつきを断ち切りつつある」と紹介した。Earth.com


2. 研究の中身:いつ、誰を、どう見たか

論文は米科学誌Science Advances(オンライン先行公開は2025年9月24日、正式掲載は9月26日)。著者らは過去24年の個人単位の長期月経記録を中心に、2010年以前と以後で月との同期の出現率を比較した。結果、LEDやスマホが広く普及する以前には満月や新月に重なりやすかったが、2010年以降は主に1月にだけ同期が残るという傾向が示された。著者らは「相関は示せたが因果関係は未確立」と明記している。PubMed


補足として、海外メディアの解説では176人の記録(約1.1万件)を最大70年にわたり集計したとされ、規模の大きさが注目を集めた。ただし観察研究であるため、個々の光環境や生活要因の詳細までは十分に追えていないことも指摘されている。EL PAÍS English


3. なぜ人工光が“月の糸”を切るのか——メカニズム仮説

夜の光は視交叉上核(体内時計の中枢)に信号を送り、メラトニン分泌や睡眠・覚醒タイミングをずらす。LEDは青色成分が強く、網膜のメラノプシン感受性と重なるため、影響が大きい。研究チームは、人工光で周期が短くなることで月の約29.5日のリズムとの“偶然の一致”が外れやすくなる、とも示唆する。要するに、月の光そのものを“かき消す”だけでなく、生体のタイムキーピングを別方向へ押し流すのだ。Earth.com


4. 月は他にも人を揺らすのか:睡眠と気分の研究から

月経だけではない。満月前には就床が遅れ、睡眠時間が短くなるという所見が、アルゼンチンの先住コミュニティから米大都市まで一貫して観察された(2021年)。より古い研究では、満月時の深い睡眠(デルタ波)が減り、総睡眠時間が約20分短いなど生理指標の変化も報告されている。PMC UW


精神科の領域でも、双極性障害の気分エピソードが満月や新月の近くで切り替わるという長期観察がある。ただし対象は限定的で、すべての人に当てはまるわけではない。**“反応しやすいサブグループがいる”**というのが妥当な読みだろう。PMC


5. 1月だけに残る同期?——重力カレンダーの仮説

今回の論文がユニークなのは、1月にだけ同期が残りやすいという点だ。地球が太陽に最接近し(近日点は1月初旬)、太陽と月の直線配置による潮汐力が強まる。著者らはこの「重力のピーク」が、人の“月時計”をわずかに引き込むのではないかと推測する。SNSでも「グラビティが1月に最大?」と話題になり、潮汐と季節天文学の解説が共有された。PubMed


6. 専門家とメディアの評価:熱い注目、冷静な但し書き

科学メディアや大学の広報は**「人工光が月との同期を弱める」**というポイントを強調した。一方、サイエンス・メディア・センターの専門家コメントは、観測データの限界(個々の照度情報の不足など)を指摘し、因果の断定に慎重だ。つまり“示唆は強いが、結論はまだ弱い”。このバランス感覚は、一般読者にとっても重要なガイドラインになる。EurekAlert!


7. SNSの反応:共感、実用、懐疑が三つ巴

Redditの科学系コミュニティでは、

  • 「偶然だと思っていたが、ちゃんとした雑誌に出たのは興味深い」

  • 「自分の周期は新月近くに来ることが多い」

  • 「相関であって因果ではない」
    といった声が“ベスト”コメント帯に並んだ。スレッドでは、近日点・大潮・春潮の解説を交えて1月の重力ピークに納得する流れも見られた。一方で「大多数には当てはまらない」「データの取り方にバイアスがあり得る」といった懐疑も根強い。つまり**“面白いが、生活を変える根拠としては弱い”**というのが総体の空気だ。Reddit

海外メディアの報道には、データ量の大きさへの賛辞とともに、方法論上の限界(個人差・文化差・環境光差)を添えるものが多かった。この“表現の節度”は、SNSの誇張的バズをやや冷ましてくれる。El País


8. それでも私たちが取れる行動

因果は未確立でも、夜の光を減らすことは睡眠・気分・目の負担の面でリスクが少なく、メリットが見込める。実践的なチェックリストを挙げる。

  • 寝る2時間前から画面輝度を下げる/ナイトシフトを常時ON

  • 就寝時の天井灯“消し忘れ”をゼロに(間接照明・赤みの強い電球色へ)

  • スマホは顔から離す(メラノプシンへの刺激低減)

  • 満月前の数日(睡眠が短くなりがち)にだけ早めの就床を予約

  • 屋外の月光を楽しむ“暗い夜”を意識的に作る(光害の少ない場所で)

満月や新月のカレンダーを眺めつつ「今日は月に優しい夜を作る」と決める。根拠が強い弱いを超えて、夜を暗くすること自体が現代人の健康戦略になりうる。PMC


9. 誤解しないためのQ&A

Q1:全員の月経がかつて月と同期していたの?
A:いいえ。 “平均”の話ではなく、一部の人に見られる傾向という理解が適切だ。PubMed

Q2:月の重力が直接周期を操る?
A:不明。 可能性は示唆されるが、直接の因果は示していない。人工光の影響と**重力ピーク(1月)**の“合わせ技”で観察されやすい、という仮説にとどまる。PubMed

Q3:睡眠や気分は月で変わる?
**A:平均としては小さいが、**満月前の“短眠”傾向やサブグループでの気分同期が報告されている。個人差が大きい。PMC


10. 結び——月の静けさを取り戻す

今回の成果は、「月の影響」を一気に証明するものではない。だが、文明の光が強くなるほど、自然の“かすかな信号”は見えにくくなるという逆説をはっきり示した。バズワードに飲まれず、暗い夜を取り戻す。その行為自体が、私たちの体に残る“月の時計”を確かめる一番の実験になるのかもしれない。Earth.com


参考記事

テクノロジーが月の周期との人間のつながりを断ち切っている - Earth.com
出典: https://www.earth.com/news/technology-is-breaking-the-human-connection-to-moon-cycles/

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