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スターバックスの試練:時価総額1.1兆円が消えた理由 ― スタバ炎上と顧客離れの方程式

スターバックスの試練:時価総額1.1兆円が消えた理由 ― スタバ炎上と顧客離れの方程式

2025年07月08日 03:01

1.「世界一のコーヒーチェーン」に何が起きているのか

コーヒー1杯を“ライフスタイル”に昇華させ、40 ,000超の店舗網と年間売上高360億ドルを築いたスターバックス――その絶頂物語は、どうやら転換点を迎えている。独紙 Frankfurter Allgemeine Zeitung(FAZ)の人気経済シリーズ「Was kostet die Welt?」は、2025年夏、スターバックスが**「2008年金融危機以来で最も厳しい局面」**に置かれていると警鐘を鳴らした。記事は「36 billion US-$の売上、130 ,000通りのカスタマイズ」という華やかな数字の裏側で、客離れ・コスト高・ブランド疲労が同時進行している実態を描き出す。faz.net


2.数字が語る失速

売上の“見かけ”は横ばいだが、既存店売上(同店成長率)が4四半期連続マイナスという深刻なトレンドが走っている。1月決算の速報では既存店▲4.6 %、営業利益▲26 %と、赤字転落こそ免れたものの市場予想を下回った。新CEOブライアン・ニコルは2月末、過去最大規模となる本部人員1,100名の削減と数百ポジションの凍結を決断し、「店舗待ち時間4分以内」のために組織を“スリム化”すると宣言した。reuters.com


3.“メニュー30 %削減”の衝撃――創業者の哲学への回帰

FAZ記事が指摘するブランド疲労の核心は、「130 ,000バリエーション」という武器が、同時にオペレーションの枷になった点にある。ニコルは就任直後からメニュー3割削減とセルフ調味料バー復活、セラミックマグ再導入を打ち出し、「バリスタと客が会話する“第三の場所”」の再構築を掲げる。米誌 The Week は「アプリ注文の利便性が、かつてのコミュニティ感を奪った」とし、顧客離れの半分は“心の距離”に起因すると分析する。theweek.com


4.中国依存のリスクとライバルの猛追

世界戦略の柱だった中国でも暗雲が立ち込める。1日1店舗ペースの出店計画を掲げたが、現地チェーン・Luckin Coffeeが店舗数で逆転。急拡大とロックダウン後の需要鈍化が重なり、ニコル体制の計画は大幅な見直しを迫られている。店舗当たり売上は2年連続マイナス、値引き合戦の中でブランドプレミアムが崩れた。theweek.com


5.「#BoycottStarbucks」が拡散するSNS時代の炎上

数字以上にブランドを傷つけたのがソーシャルメディア発のボイコット運動だ。

  • 2023年10月、労組アカウントが「Solidarity with Palestine」の投稿を行い、その後削除。企業側は商標侵害で提訴、労組も名誉毀損で反訴――ハッシュタグ #BoycottStarbucks が世界的に拡散し、2か月で時価総額110億ドルが蒸発した。en.wikipedia.org

  • 2025年に入るとTikTokで「Starbucks boycott 2025」系動画が1億回再生を突破し、店舗前でリユースカップを掲げて抗議する若年層の短尺映像がバズを連発。生成系AIで “$9 Latte vs $0 Home-brew” と比較するミームも拡散し、価格批判が加速した。tiktok.com

  • Redditでは「高価格+DEI後退+パレスチナ訴訟」の三点セットを理由にボイコットを正当化する投稿が上位に。中には「スタバはBDSリストにすら入っていない」という冷静なカウンター意見も出ており、コミュニティは二極化した。reddit.com


6.顧客の“不満リスト”――高価格だけではない

SNS上で可視化された声を集計すると、不満は①価格高騰、②受取遅延、③味の均一化、④環境対応の中途半端さ――の4類型に収束する。Allrecipesのフードトレンド欄には、**試験導入中の「不透明コンポスタブルカップ」**が「インスタ映えしない」と酷評される記事が掲載され、いいね数よりも怒りのリアクションが上回った。allrecipes.com


7.ブランド価値急落と“信頼”の回復戦略

Forbes Austria によれば、インターブランドの世界ブランド番付でスターバックスは48位→52位へ転落し、Brand Financeでは15位→45位と最大下落を記録。レピュテーショントラッカー「Reptrak」でも4年で14pt低下した。forbes.at


ニコルは「Back to Starbucks」戦略と銘打ち、①店舗オペレーション改善、②過度な季節限定ドリンク依存からの脱却、③従業員エンゲージメント強化――を三本柱に設定。しかし、FAZ記事も指摘する通り、「マーケティングだけでは信頼は戻らない」。経営陣が本気で「人と場」を再優先せねば、回復は数字に先行しないだろう。faz.netforbes.at


8.専門家が見る3つのキーポイント

  1. “第三の場所”リブートの真偽

    • 客席回帰は固定費増リスクと表裏一体。フードメニュー削減で回転率を上げ、コミュニティイベントを仕掛けられるか。

  2. 中国+北米の二正面作戦

    • ローカル競合が強い中国では価格・スピード競争、北米ではブランド体験競争。戦略の二分化が不可避。

  3. 労使関係の再構築

    • ボイコット火種の根底にある“従業員の声”を無視すれば、どんな再建策も足元から揺らぐ。


9.データが示す希望の兆し

株価は2024年末の底から28 %反騰。投資家は「体験重視へ舵を切れば数四半期で改善可能」と楽観する声も。アナリストChris O’Cullは「営業時間拡大と待ち時間短縮の効果は年内に顕在化」と述べる。reuters.com


10.まとめ――“日常の贅沢”の再定義へ

大衆がスターバックスに求めるのは単なるカフェイン供給ではない。「家でも職場でもない居場所」「小さなご褒美」「価値観を共有できる企業」。その原点に立ち返れるかが、再成長の条件だ。SNS時代のブランドは、金銭的・時間的コストと同じくらい「共感コスト」に敏感である。


ニコルCEOの次の一手は、オリーブオイル入りラテのような“話題作り”ではなく、従業員と顧客の目線で「コーヒーを媒介にした対話の場」を再構築することだろう。危機の根は深いが、同時に“熱狂的ファン”が最大の資産であることも変わらない。スターバックスは今、そのファンに「帰ってきてもいい理由」を示すフェーズに入った。



参考記事

スターバックスで何が問題になっているのか?
出典: https://www.faz.net/aktuell/wirtschaft/was-kostet-die-welt/was-laeuft-schief-bei-starbucks-110572729.html

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