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「バズる」の罠 ― 政治家の感情ツイートは誰を動かし、誰を遠ざけるのか : 政治コミュニケーションの最適点

「バズる」の罠 ― 政治家の感情ツイートは誰を動かし、誰を遠ざけるのか : 政治コミュニケーションの最適点

2025年10月17日 00:24

はじめに――“バズ”の向こうにある現実

選挙のたびにタイムラインが熱を帯びる。強い言葉、怒り、嘲笑。確かにそれは拡散を生み、「見たことある」を増やす。しかし、それは本当に支持の輪を広げているのだろうか。最新の査読研究は、長年の“肌感”をデータで裏づけた――感情的ポストは反応を稼げても、フォロワー(=潜在的支持基盤)を増やす決定打にはなりにくい。しかも、聴衆が多様であればあるほど逆風になりうるという。Phys.org


研究の要点――「感情は伸びる、でも人は増えない」

Information Systems Researchに掲載された本研究は、2018年の米国上院議員のX(旧Twitter)投稿7万件超を対象に、感情表現とエンゲージメント(RT、いいね等)、さらにフォロワー純増の関係を定量分析した。結論はシンプルだ。

  • 感情的な言語は、短期のエンゲージメントを押し上げる。特に怒り・憤りなどのネガティブ感情は反応が増えやすい。

  • だがフォロワー増には寄与しない。フォロー行動は、トピックなど実質的要因に左右される。

  • 聴衆の政治的多様性が高いほど、感情的メッセージの効果は減衰し、場合によっては逆効果を招く。
    研究チームは、この領域で“感情性はフォロワー獲得に効かない”こと、および“ステークホルダー多様性”の概念を導入した初の成果だと位置づける。Phys.org


なぜ「フォロー」は増えないのか――心理とプラットフォームの力学

感情は拡散を生む。これは他の研究でも一貫して観測されてきた。たとえば、憤り表明は社会的強化が働くと再生産されやすい(“道徳的怒り”が強化学習的に増える)こと、覚醒度の高い感情が伝播性を高めることなどが示されている。Science


しかし、拡散の瞬発力と“つながり”の持続性は別物だ。多くのユーザーは政治エリートをそもそもフォローしておらず、フォローしている層も同調バイアスが強い――この基礎事情は、エモーショナルな刺激だけでは越えにくい。Science


さらに今日のSNS環境は分散している。X以外にBlueskyやThreadsへ専門コミュニティの移動が進み、特に学術・ニュース分野ではBlueskyでの“質の高い関与”が観測される。つまり、単一プラットフォームでのエンゲージメント増が、横断的なフォロワー増(ひいては支持基盤の拡大)に直結しにくい土壌なのだ。The Guardian


「多様性」が鍵――なぜ逆効果が起きるのか

研究の新規性は、聴衆の政治的多様性に光を当てた点にある。均質な支持者コミュニティであれば、強い言葉は“結束の拍手”を呼ぶ。一方、意見スペクトラムが広い場では、強い言葉ほど非支持層の抵抗や反感を刺激しやすい。結果、総体の関与は鈍り、フォロー(=継続的接触の窓口)も開かない。これは、ネガティブ感情の伝播性や“対立の社会的報酬”を示す先行研究とも整合的だ。Phys.org PMC


SNSの反応――初期拡散のスナップショット

本稿執筆時点(2025年10月17日)で、研究成果はPhys.orgやEurekAlert!、Scienmag、Mirage Newsなどの科学・PRメディア経由で広がっている。Scienmagの掲載ページでは“65 SHARES”が表示され、プレス発表としては堅調な立ち上がりだ。一方で、Phys.orgの記事自体の共有は限定的で、大規模炎上や極端な分断反応は確認しづらい。Science


また、プラットフォーム状況として、科学・ニュース系コミュニティの一部がBlueskyでの議論を重視する近時の潮流も無視できない。こうした“拡散の場の多様化”は、単一のエモーショナル戦術の効き目を弱め、むしろ受け手の多様性を意識したメッセージ設計の重要性を高めている。The Guardian

小括:実務の現場でしばしば語られてきた「エンゲージメント≠成長」の経験則が、今回の査読研究で裏打ちされた形だ。Phys.org


実務インサイト――“勝てる投稿”から“つながる投稿”へ

政治・行政・企業広報を問わず、次の状況では“低〜中エモーショナル+高情報価値”が有利になる。

  • 幅広い層に届けたい局面:政策・制度紹介、新規層開拓、反対派含むタウンホール告知など。

  • クロスプラットフォーム運用:XのみならずBlueskyやThreadsに並行展開する場合。The Guardian


具体的な設計レシピ

  1. トピック先導:フォローはトピック等の実質に反応する。導入で“何が分かる・何が変わる”を一文明示。Phys.org

  2. 感情は“スパイス”:怒り・嘲りの濫用は多様な場で逆効果。必要なら“関心喚起→内容提示→建設的行動”の三段構成に。Phys.org

  3. 反応目標の分離:拡散(RT等)と成長(フォロー)はKPIを分ける。拡散狙いの投稿と、新規層向けの“フォローに値する”常設コンテンツを別設計に。

  4. 共感のベクトルを調整:怒り(高覚醒・負)頼みではなく、安心・期待(中覚醒・正)など多様な情動を試験。Frontiers

  5. 多様性適応:聴衆の異質性が高いほど、具体的情報・Q&A・参考リンクで“推測の余地”を減らす。

  6. フィードバック設計:怒り表明は強化されやすい。運用チーム内の評価指標から“怒り偏重の内発報酬”を外す。Science


ケースで考える――“怒り”はいつ役立つのか

感情が常に悪いわけではない。コミュニティ内の結束や既存支持層の動員には効く(=単一陣営イベントの参加喚起など)。しかし“支持の地平を広げたい”とき、強い言葉は刃となる。多様な場における“逆効果”は今回のデータで明示された。Phys.org


留意点――本研究の限界と外挿

  • 時期・対象:データは2018年の米上院議員のX投稿。米国外や他職種、他プラットフォームへの外挿には注意。Phys.org

  • プラットフォーム変動:APIやアルゴリズム、ユーザー組成の変化が速い。特に2024〜25年はBluesky台頭などエコシステムが流動。The Guardian

  • 感情の文脈依存:選挙期、危機広報、政策論争などで最適値は揺れる。先行研究でも、覚醒度・文脈により拡散性の方向が変わる報告がある。Frontiers


それでも“誠実さ”は勝つ――結びに代えて

拡散は一瞬、フォローは関係だ。データは、短期の刺激が長期の信任にはならないことを教える。多様な聴衆に向けて扉を開きたいなら、感情の熱量を少し下げ、情報の解像度を上げよう。バズの先に、静かで強い支持が生まれる。Phys.org


参考記事

研究によると、政治家による感情的なツイートは必ずしもフォロワーを増やすわけではなく、多様なオーディエンスには逆効果をもたらすこともあるとされています。
出典: https://phys.org/news/2025-10-emotional-tweets-politicians-dont-backfire.html

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