「推し活」がつなぐファンと地域 ― 聖地巡礼・“推し”ゆかりの地を訪ねて

「推し活」がつなぐファンと地域 ― 聖地巡礼・“推し”ゆかりの地を訪ねて

目次

  1. 推し活×聖地巡礼とは何か

  2. 世界に拡がる“OSHIKATSU”カルチャーの統計

  3. 「物語の舞台」で地域が輝くメカニズム

  4. 主要事例研究
    4-1 沼津市×ラブライブ!サンシャイン!!
    4-2 飛騨市×君の名は。/呪術廻戦
    4-3 山梨・静岡×ゆるキャン△
    4-4 鎌倉・江ノ電×SLAM DUNK
    4-5 熊本・阿蘇×鬼滅の刃

  5. 地域振興を成功させる7つの戦略

  6. 課題:オーバーツーリズムとマナー、持続可能性

  7. 未来展望:デジタルパス、AR/XR、Web3連携

  8. 外国人ファン向け実用ガイド

  9. まとめ


1. 推し活×聖地巡礼とは何か

「推し活」とは、特定の作品・キャラクター・アイドルなど〈推し〉を応援する行為全般を指す言葉だ。ライブ参戦やグッズ購入が代表例だが、近年とくに注目されるのが“推し”ゆかりの土地を訪れる聖地巡礼である。作品世界を肌で感じる体験は“没入消費”とも呼ばれ、従来型観光とは異なる行動原理でリピーターを生み出す。badge-man.net

2. 世界に拡がる“OSHIKATSU”カルチャーの統計

こうしたデータは、推し活が若年層のみならず多世代・多国籍へ浸透し、地域経済に計り知れないインパクトを与えていることを裏付ける。


3. 「物語の舞台」で地域が輝くメカニズム

  1. 感情移入による高付加価値消費

  2. SNS拡散→UGC(ユーザー生成コンテンツ)効果

  3. ロングテール型の誘客:作品のライフサイクルを超えて訪問が続く

  4. 地域ブランド強化:地元産品とのコラボが“推し土産”に成長

  5. 住民・ファン協働:案内ボランティアやスタンプラリー運営

これらは、行政・商店街・鉄道会社・ファン団体など多主体が連携することで最大化される。MDPI

4. 主要事例研究

4-1 沼津市×ラブライブ!サンシャイン!!

2016年放送のアニメ以降、年間訪問客数は放送前比で1.4倍に。市内には英語・中国語併記の“聖地マップ”やAqoursラッピングバスが走り、スタンプラリーは延べ90万人を動員した(2025年5月市観光戦略課発表)。


4-2 飛騨市×君の名は。/呪術廻戦

映画公開後、JR高山駅の外国人乗降客は対2015年比で+60%。地元商店は“さるぼぼ×三葉”コラボ商品を展開し、物販売上が前年比1.8倍になった。ダイヤモンド・オンライン


4-3 山梨・静岡×ゆるキャン△

大井川鐵道・川根本町では“キャンプ×鉄道”体験がヒット。外国語音声ガイドやWi-Fi整備が評価され、TripAdvisorのレビュー平均は4.7★を維持。sanpoyosi-diet’s blog


4-4 鎌倉・江ノ電×SLAM DUNK

“例の踏切”は平日でも1時間に200人が撮影待ち。江ノ電は安全確保のため警備員を増員し、路肩に多言語マナー看板を設置した。湘南人アメーバブログ(アメブロ)


4-5 熊本・阿蘇×鬼滅の刃

2024年のコラボキャンペーンで、阿蘇くまもと空港の国際線利用者がキャンペーン前比32%増。地震被災地の観光復興に大きく貢献した。

5. 地域振興を成功させる7つの戦略

  1. 公式ライセンスの取得とガイドライン策定

  2. 多言語サインとキャッシュレス環境整備

  3. ロケ地×地元産品コラボ(日本酒、スイーツ、工芸品)

  4. スタンプラリーやデジタルパスで回遊促進

  5. ファン参加型イベント(清掃活動、地域祭り共催)

  6. 住民向け説明会と教育で軋轢を最小化

  7. 防災・安全計画(避難ルート、混雑緩和策)

6. 課題:オーバーツーリズムとマナー、持続可能性

鎌倉や飛騨では、撮影待ちによる交通渋滞や生活道路の混雑が問題化。観光庁は2025年3月、聖地巡礼向け新ガイドライン案を公表し、多言語マナー啓発と入域制限(タイムスロット制)導入を検討している。訪日ラボ

7. 未来展望:デジタルパス、AR/XR、Web3連携

  • NFTスタンプラリー:二次流通で地域通貨として利用

  • ARグラス:現地でキャラが現れるライブアクション

  • メタバース+リアル連動:遠隔地ファンへの擬似巡礼体験

  • 生成AIによる多言語案内ボットなど、技術革新はファン体験を拡張し続ける。space-j.com

8. 外国人ファン向け実用ガイド

項目ポイント
交通JR PASSが使えない私鉄・第三セクター路線に注意(例:伊豆急行)。事前にICカード残高を確認。 note(ノート)
エチケット私有地・通学路での長時間撮影禁止/ゴミは必ず持ち帰る/撮影前に周囲へ一声。
宿泊地域限定クーポンを活用すると最大30%割引。Airbnbより公式観光サイト掲載の町家民泊が安い場合も。
言語サポート沼津・飛騨など主要聖地では案内所に英中韓ボランティア常駐。営業時間を公式HPで要確認。
持続可能な旅グリーンシーズン(平日・閑散期)を狙うと混雑回避&地域貢献に。

9. まとめ

推し活と聖地巡礼は、ファンが物語と自分を接続する“儀式”であり、地域が世界とつながる“窓”でもある。外国人旅行者にとっては、日本文化への理解を深める体験であり、地域にとっては持続可能な経済資源となり得る。課題を乗り越え、ファン・地域・作品が三位一体となるエコシステムを築くことで、“推し”の力はこれからも新たな旅のかたちを描き出していくだろう。



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