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ドイツ裁判所、OpenAIに「著作権NG」判決 歌詞学習はどこまで許されるのか

ドイツ裁判所、OpenAIに「著作権NG」判決 歌詞学習はどこまで許されるのか

2025年11月14日 00:38

1. 「AIは歌詞をタダで覚えてはいけない」――歴史的判決の中身

2025年11月11日、ドイツ・ミュンヘンの地方裁判所が下した判決は、生成AI業界全体をざわつかせました。
OpenAIのChatGPTが、ドイツの人気楽曲の歌詞を無断で学習し、ユーザーの指示に応じてほぼそのまま再現できる状態になっていたことを理由に、同社がドイツ著作権法に違反していると認定されたのです。ガーディアン


訴えを起こしたのは、約10万の作曲家・作詞家・音楽出版社を抱えるドイツの著作権管理団体GEMA。人気アーティスト、ヘルベルト・グレーネマイヤーの「Männer」「Bochum」や、ヘレーネ・フィッシャーの「Atemlos durch die Nacht」など、少なくとも9曲の歌詞が保護対象にもかかわらず、学習と出力の両方に使われていたと主張しました。ガーディアン


裁判所は、

  • モデルの学習過程で歌詞を取り込み、内部に保持していること(「記憶」)

  • そしてユーザーの要求に応じて歌詞を再現してしまうこと(「出力」)

この両方が著作権侵害にあたると判断しました。The Japan Times


OpenAIにはGEMAへの損害賠償支払いと、対象歌詞に関するライセンス料の支払い義務が課されます。明確な金額は公表されていませんが、未払いの使用料や利息、訴訟費用を含めると「数十万ユーロ規模になり得る」と報じるメディアもあります。euronews


TechCrunchも、この判決を「ヨーロッパにおける最初の本格的なAI著作権のランドマーク判決」と位置づけており、OpenAIは「判決には同意しないが、今後の対応を検討している」とコメントしたと伝えています。TechCrunch


2. GEMAのメッセージ:「インターネットはセルフサービスストアではない」

今回の判決で大きく拡散したのが、GEMAのトビアス・ホルツミュラーCEOのコメントです。

「インターネットはセルフサービスストアではなく、人間の創作は無料のテンプレートではない」

という強い言葉は、Reutersをはじめ複数のメディアで引用されました。BWorld Online


さらにホルツミュラー氏は、

「今日は、著作者の権利を保護し明確にする前例を作った。ChatGPTのようなAIツールの運営者であっても、著作権法を守らなければならない」

と述べ、この裁判がクリエイターの生活を守るための勝利だと強調しました。ガーディアン


TechCrunchの記事でも、このコメントが大きく取り上げられ、「音楽クリエイターの生計を守る戦い」として描かれています。TechCrunch


3. では、何が違法だったのか? 法律的なポイントをざっくり整理

法律的には、論点はおおざっぱに言って3つです。

  1. 学習データとして歌詞を無断利用したこと
    ドイツの著作権法においても、EU全体の著作権指令においても、「テキスト・データマイニング(TDM)」を認める仕組みはありますが、それは「権利者がオプトアウトしていないこと」や、「一時的な分析目的」に限定されると解釈されることが多いと、法律専門サイトは指摘しています。Lexology

  2. モデルが歌詞を“ほぼそのまま”覚えていたこと
    本来、学習済みモデルは「パターン」を抽象化して新しい文章を生成することが理想ですが、実務上は一部のデータをほぼそのまま「記憶」してしまう現象(メモリゼーション)が起きます。今回、GEMA側は実際にChatGPTが歌詞をかなり忠実に再現できる例を示し、「これは単なる学習ではなく、作品の保存と再提供だ」と主張しました。Reuters

  3. TDMの“例外”に入らないと判断されたこと
    判決の解説によれば、裁判所は「AIモデルの訓練は、単なる情報抽出ではなく、作品の複製をモデル内部に恒常的に組み込む行為であり、TDM例外の範囲を超える」と判断したとされています。Lexology


要するに、

「歌詞を勝手に大量に読み込んで、モデルの中にほぼ丸ごと保存し、ユーザーに再配布できる状態にするのは、著作権の例外ではない」

と線引きされた格好です。


4. SNSの反応:GEMAを「初めて応援する日」と、AIの“冷や水”を嘆く声

このニュースが出るや否や、X(旧Twitter)、Reddit、InstagramなどのSNSでは、様々な反応が渦巻きました。


4-1. 「GEMAを初めて応援した」という驚き

ドイツでは、GEMAはしばしば「クラブのイベントでまで細かく徴収する」「YouTubeでのブロックが多い」といった理由で、ユーザーから批判の的になる存在でもあります。


ところが、今回の判決に関するRedditのドイツ系コミュニティでは、

「人生で初めてGEMAの味方をしている」

といったコメントがいいねを集めていました。Reddit


一方で、同じスレッド内では、

「とはいえ、GEMA自体も人間の創作にぶら下がって利益を出している組織じゃないか」

といった辛辣な指摘もあり、「AI vs クリエイター」という単純な構図ではなく、「権利ビジネス全体への不信感」もにじみ出ています。Reddit


4-2. 法律クラスタは「記憶と出力の両方を侵害と認定した点」を注視

Xでは、テック法務や著作権に詳しい解説アカウントが、この判決を次のように要約しています。

「ドイツの裁判所は、モデル内部のメモリゼーションと、チャットボット出力の両方を侵害と認めた。AI企業にとってターニングポイント」

という趣旨のポストがシェアされ、海外の法律家やAI研究者の間で議論が広がりました。X (formerly Twitter)


ここで注目されているのは、「モデルの重み(weights)に作品が“埋め込まれている”状態そのものを、どこまで著作権の観点から問題とするのか」という点です。ドイツとイギリスでの判断が分かれつつあるとの分析も出ており、国ごとのスタンスの違いが、オープンソースAIやマルチリージョン展開にどう影響するかが焦点になっています。THE DECODER


4-3. 一般ユーザーの声:「AIにブレーキを」「ヨーロッパからAIが逃げる」

Instagramやニュースメディアのコメント欄では、

  • 「これでようやくAI企業に“ただ乗り”はさせないという前例ができた」

  • 「アーティストの仕事を守るのは当然」

といったクリエイター寄りの声が目立つ一方、

  • 「これでヨーロッパからAI企業が一気に撤退したらどうするんだ」

  • 「イノベーションへの冷や水にならないか?」

といった懸念も根強く見られます。Instagram


全体としては、「権利者保護」「AI規制強化」を歓迎する層と、「過度な規制がスタートアップや研究者の首を絞める」と危ぶむ層の対立構図が、はっきり浮かび上がっていると言えそうです。


5. 世界のAI×著作権訴訟と比べると、ドイツ判決は何が違う?

OpenAIは、今回のGEMA訴訟だけでなく、アメリカを中心に複数の著作権訴訟を抱えています。代表的なのが、

  • ニューヨーク・タイムズによるニュース記事の無断学習を巡る訴訟Reuters

  • Authors Guildなど作家団体によるクラスアクションThe Authors Guild

  • Ziff Davis(PCMagやIGNなどを持つメディア企業)による2025年の訴訟Reuters

さらに、OpenAI以外にも、Anthropicが歌詞利用で音楽出版社から訴えられるなど、AI企業とコンテンツ産業の紛争は世界的なトレンドになっています。ガーディアン


これら米国の訴訟の多くは、**「AIの学習はフェアユース(公正利用)に当たるか」**という抽象的・包括的な議論に重心があります。
それに対して今回のドイツ判決は、

  • 特定の楽曲(9曲)の歌詞

  • それが学習に使われたこと

  • そして実際に「ほぼ同じ形で出力されたこと」

というかなり具体的なファクトに基づいて、「これはアウト」と認定した点が特徴的です。


つまり、

「モデルの学習全体が違法かどうか」
という大きな話ではなく、
「少なくともここで示された具体的な利用形態は違法」
と、一歩狭く、しかし実務上かなり効いてくる線引きがなされた、と言えるでしょう。


6. OpenAIの言い分:「著作権コンテンツなしではAIは作れない」?

OpenAI自身は以前から、「高性能なAIモデルを作るには、著作権で保護されたコンテンツを含む幅広いデータが不可欠だ」というスタンスを公にしています。2024年初頭には、Euronewsの取材の中で、

  • 「著作権付き素材なしに有用なAIをトレーニングすることは事実上不可能だ」

  • 出版社などのサイトに対しては、クローリングを拒否したい場合の「オプトアウト手段を提供している」

といった主張も展開していました。euronews


また、ニュースメディアや出版社とはライセンス契約も結び始めており、「全てが無断利用というわけではない」という防御線も敷いています。とはいえ、今回のドイツ判決は、

「“オプトアウトしていないからOK”というロジックには限界がある」
「歌詞のような高価値コンテンツについては、事前のライセンスが前提になる」

というメッセージを突きつけた形です。


7. これからのAI開発者・企業が押さえるべきポイント

今回の判決を受けて、AI開発に携わる企業やエンジニアが意識すべきポイントを整理すると、ざっくり次のようになります。

  1. 「歌詞」「小説の長文」「新聞記事」など高価値テキストは要注意ゾーン
    公共データと比べ、音楽や文学、報道コンテンツは著作権の保護意識が極めて高く、権利団体や大手メディアが積極的に訴訟を起こしています。今回のケースは、その中でも「歌詞」がどれほどセンシティブかを象徴するものです。

  2. モデルの“丸暗記”をどこまで抑え込めるかが技術的な課題に
    たとえライセンスを取得していても、「ユーザーが完全な歌詞を吐き出させられる」状態はビジネス的にも法的にも扱いが難しい領域です。メモリゼーションを検出・抑制する技術や、特定フレーズのフィルタリングは、もはや“品質”ではなく“コンプライアンス”の問題になりつつあります。ウィキペディア

  3. リージョン別ポリシーの設計が必須になる可能性
    EU、英国、米国、日本などで、AIと著作権の扱いは微妙に異なります。今回のように「ドイツのモデル利用だけ歌詞生成を制限する」など、リージョンに応じた挙動制御が必要になる未来も現実味を帯びてきました。

  4. スタートアップほど、データソースの“健全性”をアピールする必要がある
    「Webを全部スクレイピングしてきました」型の学習は、今後ますます説明責任を問われます。自社データ、パートナーのライセンスデータ、ユーザー投稿データなど、ソースを分けて説明できる体制は、投資家や顧客との信頼にも直結するでしょう。


8. 日本のクリエイターと企業にとっての意味

日本でも、生成AIと著作権を巡る議論は加速しています。EU発のこうした判決は、直接的に日本法を拘束するわけではありませんが、

  • グローバルサービスを展開する日本企業

  • 海外プラットフォームに作品を提供する日本人クリエイター

にとっては、ビジネスリスクと交渉材料の両方になり得ます。

音楽分野で言えば、JASRACやNexToneなど日本の権利団体も、今後AI企業との包括ライセンス契約をどこまで進めるか、世界的な流れを見ながら戦略を練ることになるでしょう。GEMAが勝ち取った今回の前例は、交渉の場で「ドイツではここまで認められた」という強力なカードになります。euronews


一方、日本発のAIスタートアップやSaaS企業にとっては、

  • 「ヨーロッパ居住者のデータを扱うなら、ドイツ判決を無視できない」

  • 「ヨーロッパ向けの歌詞・コンテンツ機能は別設計にする」

といった、少し骨の折れるコンプライアンス対応が現実問題として浮上してきます。


9. 「AIの未来」を決めるのは、裁判所だけではない

最後に、この判決をどう受け止めるべきか。

SNSの議論を見ていると、

  • 「AIの暴走にブレーキをかける正しい一歩だ」

  • 「イノベーションを潰す愚かな規制だ」

という二極化した反応が目につきますが、実際にはもっとグラデーションがあります。


今回の判決は、AI開発の“終わり”を意味するのではなく、

「どこまでが許容され、どこからがライセンス必須なのか」
というラインが、ようやく具体的な事案を通じて形になり始めた、というスタートラインとも言えます。


クリエイター側にとっては、

「AI時代における新しい権利交渉の武器が1つ増えた」


AI企業側にとっては、

「“とりあえず全部クローリングしてから考える”時代は、確実に終わりに近づいている」

というシグナルです。


TechCrunchがまとめたように、OpenAIはこの判決に不服で、控訴も検討しているとされています。TechCrunch
今後、上級審で判断が変わる可能性もありますし、EU全体や各国で新たな立法が進むかもしれません。


しかし、ひとつだけはっきりしているのは、

「AIの便利さ」と「創作者の権利保護」をどう両立させるかという問いから、もはや誰も逃れられない
ということです。


あなたがエンジニアであれ、プロダクトマネージャーであれ、クリエイターであれ、この判決は“遠い国の話”ではなく、自分のプロジェクトの設計・契約・リスク管理に直結するテーマになってきています。



参考記事

裁判所がOpenAIによるドイツの著作権法違反を認定し、損害賠償の支払いを命じる判決を下しました。
出典: https://techcrunch.com/2025/11/12/court-rules-that-openai-violated-german-copyright-law-ordered-it-to-pay-damages/

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