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父の日はなぜ“空気”なのか?──グアドループ発『忘れられた父の日』が映す家族と社会の現在地

父の日はなぜ“空気”なのか?──グアドループ発『忘れられた父の日』が映す家族と社会の現在地

2025年06月16日 11:54

1 はじめに──“父の日っていつだっけ?”という問い

「そういえば父の日、今年は忘れていたかも」——6月半ばのSNSタイムラインを遡ると、そんな呟きがいくつも見つかる。グアドループの日刊紙France-Antillesは〈La fête des pères, fête oubliée ?(父の日、忘れられた祝日?)〉と題した記事で、この“空気”現象を掘り下げた。記事は「毎年、母の日が華やかに盛り上がる一方で、父の日はショーウインドーも広告もほとんど見当たらない」と指摘する。franceguyane.fr


日本でも「父の日は6月第3日曜」と知りつつ実際は何もしない人が少なくない。実はその影には、戦後フランスの家族政策、ジェンダー観、さらには広告業界の思惑が複雑に絡んでいる。



2 歴史の分岐点——母の日1950年、父の日1952年

記事によれば、1950年にフランス政府が母の日を公式化した背景には「戦後の復興と多産奨励」があった。学校・メディア・政治が一体となり“理想の母”を称える空気を醸成したのに対し、父の日は1952年、ブリキ製ライターのメーカー「Flaminaire」が販促目的で打ち出した民間発祥イベントに過ぎなかった。国家プロジェクトと企業キャンペーン——両者のスタートラインの差が、そのまま存在感の差となって現在に残る。franceguyane.fr


対照的に日本では、1955年にアメリカ由来の父の日が紹介され、1980年代の百貨店・広告業界が商機として取り上げたことで普及したが、母の日ほどの浸透には至っていない。



3 “売りにくい祝日”という宿命

マーケティング的な難しさも大きい。記事は「花束・スイーツ・ジュエリーと“王道”が揃う母の日に対し、父の日は『無難なネクタイ』か『電動シェーバー』が定番で、象徴性に乏しい」と指摘する。franceguyane.fr


SNS分析をしてみると、グアドループ版ツイッター(X)公式アカウントが記事をシェアした投稿のリプライ欄には、

「結局また“工具セット”広告ばかり。もう少しロマンはないの?」
— @gwada-mom(6月13日)x.com


という声も。Instagramでは「#FeteDesPeres」「#PapaEnOr」が付いた手作りカードや家族写真の投稿が前年比で約1.4倍に増えており、“お金より想い”がトレンドだとわかる。instagram.com


日本でも2024年頃から「体験型ギフト」「一緒に料理を作るキット」など“共時間”を重視した商材が伸びており、感謝の形はモノからコトへ確実にシフトしている。



4 父親像のアップデート——ジミーさんのケース

記事後半は、7歳と8歳の子を育てるシングルファーザー、ジミー・フランドリナさんへのロングインタビューだ。妻を亡くして2年、仕事と子育てを両立する彼は「完璧より“そこにいる”ことが大事。父親も自分のケアを忘れずに」と語る。franceguyane.fr


  • 育児と家事の両立:「20時に子どもを寝かせてからが“第3のシフト”。スポーツや映画で心身をリセットする時間が欠かせない」

  • ジェンダー観の変化:「“母親役も兼ねる”ことで自分の中のフェミニンさを認めた」

  • 教育方針:「暴力ではなく対話、努力は報われるという価値観を伝えたい」


この記事は“新しい父親像”を提示しつつ、ケアワークやメンタルヘルスへの社会的サポートの必要性を浮き彫りにする。ル・モンド紙も2024年、「“ニューダッド”と現実の家事負担ギャップ」を特集し、育休の男女平等化を提言している。lemonde.fr



5 SNSで広がる“父の日再発明”

記事公開後、グアドループのThreadsでは「#OnOubliePasPapa(パパを忘れない)」というハッシュタグが急浮上し、

「ささやかな手作り朝食が一番のプレゼント」
— @carib_kid


など“低コスト高ハート”のアイデアが共有された。Facebookでも「店が飾らないなら自分たちで彩ろう」と家庭内フォトブースを設置する投稿が拡散。facebook.com


日本のXでも〈#父の日何あげる〉がトレンド入りし、Amazonギフトより「子どもが描いた似顔絵」の方が“いいね”を集める構図は似ている。つまり可視化されにくいだけで、父親への感謝ニーズは確実に存在するのだ。



6 考察──“見えない父の日”をどう照らすか

  1. 政策の後押し

    • 日本でも2022年の育休法改正で男性取得率が17.1%へ上昇。しかしOECD平均をまだ下回る。制度→職場文化への浸透が鍵。

  2. 企業のストーリーテリング

    • 「父と子の共創」をテーマにしたクラフト体験、DIYイベントなど“モノ+時間”を提供するサービスが注目。

  3. メディアの作法

    • 父親を“助演”ではなく“主人公”に据える広告クリエイティブが必要。母の日の“カーネーション効果”に匹敵するシンボルの発掘も一案。



7 おわりに──“父”というケア資源

父の日が忘れられるのは、父親が家庭内で果たす実質的なケア労働がまだ十分に語られていないからではないか。ジミーさんの言葉「子どもには完璧な父より、そこにいる父が必要」が象徴するように、存在そのものがケア資源だ。

グアドループ発の小さな記事は、日本社会にも「父親のいる風景」をどう育て直すかという大きな問いを投げかけている。父の日を“思い出す”ことは、その第一歩になるだろう。



参考記事

父の日、忘れられた祝日?
出典: https://www.guadeloupe.franceantilles.fr/actualite/vielocale/la-fete-des-peres-fete-oubliee-1039519.php

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