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レアアース戦争ふたたび — 中国の輸出管理と“100%関税”を巡る米中チキンレース

レアアース戦争ふたたび — 中国の輸出管理と“100%関税”を巡る米中チキンレース

2025年10月12日 01:00

10月9〜10日(現地)、中国はレアアース関連の輸出管理をさらに強化した。新たな告示は、特定の希土類元素や磁石素材を含む“デュアルユース”物品の海外輸出に、中国政府の許可を義務づける。注目は、国外で製造された製品であっても、中国由来のレアアースや磁性材料を含めば管理対象になり得るという域外適用に近い枠組みだ【mofcom.gov.cn】。


対象にはホルミウム、エルビウム、ツリウム、ユウロピウム、イッテルビウムなどが追加され、半導体・先端AI・軍事関連の最終用途は個別審査とされた【Reuters】。中国側は目的を「国家安全と国際的な不拡散義務の履行」と説明し、人道目的向けの輸出は条件付きで免除されるとしている【InfoMoney】。


この動きに対し、トランプ米大統領は10月10日、「大幅な関税引き上げ(100%関税案を含む)」を示唆。さらに、2週間後に韓国で予定されていたAPECでの習近平国家主席との会談を見送る可能性に言及し、「会う理由はない」と投稿した【Reuters】。報復色の強い発言は瞬時に市場心理を冷やし、米株式市場はテック主導で急落したと伝えられている【ニューヨーク・ポスト】。


なぜ“レアアース”が急所なのか

レアアースは電気自動車用モーター、風力発電、スマホ、光ファイバー、レーダー、精密誘導兵器、半導体製造装置、さらには高性能永久磁石の原料など、広範な戦略産業の根幹を支える。採掘シェアに加えて精錬・分離・磁石加工で中国の寡占度が極めて高いことは、これまでも対中依存の弱点として指摘されてきた【ガーディアン】。今回の新規制は、素材そのものだけでなく加工技術・設備まで管理対象を広げ、さらに**“中国産を含む”完成品**にブレーキをかけ得る点で、供給網に新たな摩擦を生む。


APEC前夜の駆け引き

タイミングは象徴的だ。韓国でのAPEC首脳会議を目前に、北京は資源カードを切り、ワシントンは関税カードで応酬する構図になった。専門機関は、レアアースと磁石の追加規制が米国の防衛サプライチェーンに「新たな脅威」を与えると分析する【CSIS】。英国のシンクタンクも「西側はレジリエンス構築を急ぐべき」という警鐘を鳴らす【chathamhouse.org】。


市場の初期反応

米主要株価指数は急落し、中国依存の強い半導体・EV関連が売られる一方、米レアアース関連には思惑買いが入ったとの報道が並んだ【ニューヨーク・ポスト】。短期的にはボラティリティ増大、中期的には**“中国以外”の精錬・磁石生産能力の増強**に投資資金が向かう可能性が高い。


SNSの反応:Xと微博の温度差

 


X(旧Twitter)では、経済メディアや投資家アカウントが「供給網の脆弱性」と「代替能力の不足」を懸念する投稿が相次いだ。ニュースを伝える主要アカウントのポストは瞬時に拡散し、“massive tariffs”というフレーズがトレンド化【X (formerly Twitter)】。一方、中国の微博では「交渉カードとして当然」「対等の競争条件づくり」といった擁護的・ナショナリスティックな論調が目立つ。官媒系の告知投稿は高いエンゲージメントを得ており、**“未经许可不得为境外稀土开采提供实质帮助(許可なしに海外採掘を実質支援するな)”といったスローガン的ハッシュタグも拡散した【weibo.com】。中国の著名コメンテーターも「米国に痛手を与えた」**と強い表現で支持し、国内向けの求心力を高める効果がうかがえる【zaobao.com.sg】。


産業インパクト:どこが詰まるか

  • 半導体:新規則は14nm以下のロジックや256層以上のメモリなど先端域を名指しで審査対象とする。材料・装置・スパッタリングターゲットなどの供給が遅延すれば、装置稼働率や歩留まりに波及【mofcom.gov.cn】。

  • 高性能磁石(NdFeBなど):EVモーター、風力発電のパワートレインや発電効率に直結。域外生産でも中国由来比率で網がかかる可能性があり、原材料トレーサビリティの整備が急務【セキュリティと新技術センター】。

  • 防衛・宇宙:レーダー、誘導兵器、核制御材などで希土の重要性が再確認され、在庫積み増しやサプライヤー多角化が進む公算【Reuters】。


政策シナリオ:エスカレーションの分岐

  1. 関税の段階的発動:トランプ政権が100%関税を“脅し”から“実弾”へ移行すれば、消費財・中間財の価格上昇とテック投資の遅延が重なる【The Washington Post】。

  2. 限定的妥協:APEC前後に免除枠(医療・災害)を拡大し、軍民転用懸念の強い区分に注力する“細い妥協線”。中国の告示はこの余地を残している【mofcom.gov.cn】。

  3. 長期のデカップリング加速:米欧日が精錬・再資源化・磁石加工の国内回帰に踏み切り、コスト上昇と環境規制の板挟みで産業再編が進む。政策投資は増えるが、完全な中国代替には長い時間がかかるとの見方が強い【m.weibo.cn】。


何が「新しい」のか

レアアース規制は過去にもあったが、今回は**(1)対象元素の拡大**、(2)技術・設備・用途のきめ細かな線引き、(3)域外生産物への波及という三層で“締め付け”が進化した。国際法的な議論は残るものの、実務上はサプライヤー・調達部門の負担増が確実だ。証跡管理、COO(原産地)判別、**「中国由来含有率」**の算定など、コンプライアンス・オペレーションの再設計が迫られる。


企業への実務アドバイス(チェックリスト)

  • BOMとサプライチェーンのMap化:磁石・ターゲット材・フラックスなどレアアース近傍部材を優先的に棚卸し。

  • 原産地・含有率のトレーサビリティ:域外適用の可能性に備え、サプライヤー宣誓と監査ルートを確保。

  • 代替素材・設計:非レアアースモーターやリサイクル材の活用、在庫のセーフティレベル再設定。

  • 規制ウォッチ:個別審査対象(先端半導体・AI・軍事)の定義変更と、医療・災害免除の運用実績をトラッキング。


結び——これは「短距離走」ではない

今回のやり取りは、単なる報復合戦ではない。資源(レアアース)×技術(半導体・AI)×安保(不拡散)が一体化した長期戦の幕開けだ。APEC前夜の緊張は、むしろ交渉カードの再配列に過ぎない。中長期で問われるのは、誰が“加工・精錬・磁石”という地味で重い実力を積み上げられるか。サプライチェーンの再構築は、政治の見出しより遅く、しかし確実に市場の地形を変えていく。
(参考:政策・事実関係は中国商務部告示、主要国際メディア、シンクタンク分析、SNS上の各種投稿に基づく)【mofcom.gov.cn】



参考記事

中国、トランプ氏の標的となったレアアースの管理は国家安全保障を守るためと発言
出典: https://www.infomoney.com.br/mundo/china-diz-que-controle-de-terras-raras-alvo-de-trump-protege-seguranca-nacional/

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