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サルにも「親友の輪」─ チンパンジーとボノボの社会的絆:人間と共通する「友達の輪」の秘密

サルにも「親友の輪」─ チンパンジーとボノボの社会的絆:人間と共通する「友達の輪」の秘密

2025年11月02日 00:31

「友達の輪」はヒトだけの特権ではない

2025年10月31日に公開されたPhys.orgの記事によれば、チンパンジーとボノボが、人間とよく似た“同心円状”の友人関係を築いていることが示された。研究チームは、限られた社会的時間(リソース)を誰にどれだけ配分するかという観点から、両種のグルーミング(毛づくろい)行動を解析。結果、濃密なつながりを持つごく少数の相手と、より緩やかな多くの相手という層が現れたという。Phys.org


研究の設計:24群×数理モデル=“社会の物理”

本研究はユトレヒト大学とカルロス3世マドリード大学を中心とする国際共同チームが主導。チンパンジーとボノボ計24群のグルーミングデータを集め、個体が限られた社会的リソースをどのように配分するかを記述する数理モデルで検証した。いわば「社会の物理学」としてのアプローチで、人間のネットワーク研究とも整合的な層構造が両種に見出された。Universiteit Utrecht


ボノボは「広く」、チンパンジーは「深く」

両種の違いは明瞭だった。ボノボはグルーミング時間を比較的均等に多くの個体へ配分する傾向があり、チンパンジーは少数の相手に集中的に投資する。さらに、群れの規模が大きくなるほど選別的になる傾向も確認され、人間のソーシャルネットワーク研究で知られる「集団が大きいほど内輪の濃度が高まる」現象と呼応する。Phys.org


加齢がもたらす“厳選主義”

加齢に伴い人間の交友が絞られる現象は知られているが、チンパンジーでも同様の傾向が観察された。一方、ボノボでは年齢による内輪の“絞り込み”は明確ではなかった。研究チームは、ボノボのより平等的で流動性の高い社会構造が背景にある可能性を示唆している。Phys.org


先行研究との接点:記憶と協力の進化

長期記憶の観点では、ボノボとチンパンジーが「何年も会っていない仲間」を識別できることが実験的に示されており、持続的な社会関係の存在が裏づけられている。今回の“層構造”は、そうした長期記憶の土台の上に組み上がるネットワークの形と捉えられるだろう。また、ボノボが群れ境界をまたぐ協力関係を持ちうるという報告は「広く薄く」つながる彼らの配分戦略と相性がよい。pnas.orgPhys.org


ボノボの“平等性”をめぐるアップデート

ボノボは「平和的」と語られがちだが、近年は攻撃性の再評価も進む。とはいえ、雌同士の連帯が強く、雄への対抗も可能であることが長期野外研究から示され、ネットワークの組成や“誰と強く結びつくか”に影響しうる。今回の「時間配分の平等性」という結果は、こうした社会力学と矛盾せず、むしろ“広域連帯”を支える行動経済に合致する。AP News


人間社会・SNSへの示唆

人間のSNSは、内輪(親密圏)と外輪(緩い紐帯)が共存する設計になっている。今回の研究は、こうした層構造がヒト固有の文化産物ではなく、限られた注意や時間の配分という生物学的制約と認知のルールから自然発生的に生じうることを示した。だからこそ、

  • 内輪を守る深い投資(チンパンジー型)と

  • 広く結ぶ弱いつながり(ボノボ型)
    のバランス設計は、コミュニティ運営やチーム編成、オンライン・キャンペーン設計に応用できる。Phys.org


動物福祉と展示の設計

飼育下の群れでは、限られた時間の“使い方”がウェルビーイングに直結する。個体が選好する相手と十分に関われる場を確保しつつ、過密化で不要な選別圧が高まりすぎないよう群れサイズや展示構造を調整する、といった実務的示唆も得られる。研究チーム自身も、協力・社会学習・情動の理解への貢献可能性を強調している。Universiteit Utrecht


研究の限界と今後

本研究はグルーミングという“社会通貨”に焦点を当てた。今後は採食・遊戯・同盟・葛藤後の和解など複数の社会行動を統合し、層構造の機能的な意味(例えば資源獲得やストレス指標、学習速度への影響)を検証する必要がある。また、個体性(性格の組み合わせ)や記憶の持続時間が層の厚みをどう変えるかも、関連研究と接続して探る価値が高い。PMC



SNSの反応(抜粋/要約)

  • 学術コミュニティの発信:ユトレヒト大学・理学部が公式にプレス記事を共有し、「人類と他の霊長類に共通する社会組織の深い連続性」を強調。LinkedIn

  • 専門ブログの解説(Primatology.net):「彼らは社会世界を層に分ける。親密な絆に最も注意を注ぎ、弱いつながりは同心円状に広がる」と要点を端的に表現。※25語以内引用。primatology.net

  • 拡散の手応え:Phys.orgの当該ページでは78シェアが表示され、一般読者にも一定の関心が広がったことがうかがえる(2025年11月1日JST時点)。Phys.org

  • 海外メディアの二次報道:ロシアのIzvestia英語版などでも紹介され、国際的に話題化。iz.ru

引用は原文の短い抜粋に留め、要約は筆者による再構成です。



なぜ“ヒトっぽい”のか:私見

「誰に時間を割くか」は、個体の寿命・注意・移動距離・紛争リスク・学習機会といった制約同士のトレードオフに支配される。ボノボの“広域分配”は越境的協力や雌の連帯と親和的で、チンパンジーの“集中投資”は同盟の強化や長期的な互恵を支える。いずれも、生態・社会環境に適応した“最適化”と考えると腹落ちする。今回の研究は、その最適化が層構造という形として観測できることを教えてくれる。science.org



出典(主要)

  • Phys.org「Research reveals chimpanzees and bonobos have 'circles of friends,' just like humans」(2025年10月31日)Phys.org

  • ユトレヒト大学プレスリリース(2025年10月24日)Universiteit Utrecht

  • PNASほか、関連する長期記憶・協力研究(参考)pnas.org

  • Primatology.netによる解説(2025年10月31日)primatology.net

  • Izvestia英語版による紹介(2025年11月1日掲載)iz.ru


付記:原著論文

iScience “The physics of sociality: Investigating patterns of social resource distribution among the Pan species”(DOI: 10.1016/j.isci.2025.113507)。プレスリリースから参照可能。Universiteit Utrecht


参考記事

研究によると、チンパンジーとボノボには人間と同じように「友達の輪」があることが明らかになりました。
出典: https://phys.org/news/2025-10-reveals-chimpanzees-bonobos-circles-friends.html

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