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英国の“パブ離れ”は若者のせいじゃない 一 列方式・ノンアル・値上げが変える“社交場”の未来

英国の“パブ離れ”は若者のせいじゃない 一 列方式・ノンアル・値上げが変える“社交場”の未来

2025年10月29日 00:38

1. 「社交場」が揺れている

英国のパブは、近所の掲示板であり、人生の節目を乾杯で共有する“生活インフラ”だった。その数は20世紀初頭に約10万店あったとされるが、1990年6万4000店、2010年5万5400店、2024年には4万5000店まで減った。2025年は**「1日1軒以上が閉店」**のペースとの推計も出ている。雇用や地域経済への波及も大きい。ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト


減少の理由は単純ではない。物価・エネルギー高、事業税や酒税、廃棄物規制や人件費――積み上がった固定費が、売上を飲み込む。業界団体BBPAは政府に減税や事業税改革を訴えるが、現場のマージンは薄いままだ。ガーディアン


2. 「若者の飲酒離れ」は本当に敵か

ここ10~20年で、若年層の飲酒頻度は明確に低下した。ロンドン中心部メリルボーンには、低・ノンアルを前面に出す「ラッキー・セイント」のパブが登場し、店内売上の約15%がノンアルというデータも報じられている。断酒月だった“ドライ・ジャニュアリー”は、もはや年間行動へ。飲酒選好の変化は、もっぱら「敵」ではなく新たな市場でもある。ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト cityam.com


3. コーヒーショップ型「一列方式」という“心理設計”

混雑時の伝統的なパブは、カウンターに客が横並びになり、バーマンが“誰が先か”を見極めてテンポよく捌く。だが、行列に並ぶほうが安心という若者や観光客も増え、**「一列方式(シングル・キュー)」を試す店が現れた。大手チェーンの店舗で掲示まで出した事例もあったが、「これではパブではなく学校の食堂だ」**という常連の反発に遭い、試行撤回に至った店もある。ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト


世論は拮抗している。一列方式が良い:40%、従来方式:39%というYouGovの調査は、価値観の分岐を映し出した。コロナ後に定着した「整列して間隔を取る」という社会的習慣、アプリ注文の普及、“心理的負担の軽減”というUX(体験)発想が、行列を後押しする。ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト


4. 値段という“最後のハードル”

平均一杯5ポンド超という時代に入り、ロンドン中心部では10ポンド近い店もある。気軽な“ラウンド(まとめ買い)”が家計を直撃し、「5人分払って飛び上がる」感覚はニュースでも繰り返し語られてきた。価格上昇は、とりわけ若年・低所得層の足を遠のかせる。ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト


5. SNSは何を映したか:声の束ね方

X(旧Twitter)やRedditを覗くと、論点は大きく3つに収斂する。

  • 文化派(反・一列):「パブはスーパーじゃない」「良いバーマンなら次の客は分かる」と、あの“阿吽の呼吸”を守りたいという声。**「整列は雰囲気を奪う」**との嘆きも目立つ。X (formerly Twitter)

  • 公平派(賛成):「押しの強さに左右されない」「順番争いが減って安心」など、心理的安全性を評価。YouGovデータの拡散もあり、「**40%対39%**で割れている」ことが支持材料になっている。X (formerly Twitter)

  • 実務派(現場の声):バーテンダーからは「一列は長蛇になり動線を塞ぐ」「“誰が次か”を呼び込む方が早い」といった運用論が多い。都市や時間帯、スタッフ数によって“最適解は異なる”という現実的な結論に落ちる。Reddit

Redditのスレッドでは、「コロナ期に行列が常態化した」「若手もスタッフも“旧来の暗黙知”を知らない」という指摘が繰り返され、世代体験の断絶が透ける。Reddit


6. では、パブはどう“再設計”されるべきか

(1) 価格の透明化と“選べる”飲み方
低・ノンアルの拡充、ハーフパイントやシェア対応、ランチ限定価格など、**「小さく試せる」価格設計は若年層の入り口をつくる。ノンアルが“常設の選択肢”**になれば、同伴者の体験も損なわない。cityam.com


(2) 混雑時UXの二層化
アプリや卓上QRによるテーブル注文レーンと、従来のカウンター横並びレーンを同時運用する。入口サインで**「この店の作法」を明示し、スタッフは“呼び込み型”で順番を裁く。行列は短距離・多レーン化し、「整列は初心者の安心」「横並びは常連のリズム」**という住み分けを作る。


(3) 時間帯別の“店の役割”
昼はカフェ/コワーク、夕方は社交場、夜はライブ/コミュニティへ。すでに英国ではコーヒーショップ方式が浸透しつつあり、**“昼はコーヒー、夜は一杯”**という二毛作が現実的だ。ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト


(4) 政策コミットの可視化
BBPAが求める事業税・酒税の見直しは、地域雇用の観点からも合理性がある。自治体が**「保存すべき歴史的パブ」**を文化資産として支える枠組みもありうる。ガーディアン


7. 「日本では当たり前」から学ぶこと

記事のキーワードは**「日本では当たり前の方式」=一列方式だ。日本のカフェやコンビニで当然の整列は、公平性と安心感の最短距離として機能してきた。ただし、“場の文脈”**を無視すれば、英国のパブ文化を痩せさせる。**整列という“道具”**を、時間帯・店格・来客構成に応じて使い分ける――それが折衷案だ。ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト


8. 結語──変わりながら、残す

閉店のペースは厳しい。しかし、ノンアルの常設化、二層の注文体験、価格の再設計、政策の後押しが揃えば、パブは**“変わりながら残す”**ことができる。“最初の一杯のハードル”と“混雑時の心理的負担”を下げる設計で、若者が無理せず帰ってくる余地はまだ大きい。社交の装置としてのパブをどう再設計するか――英国の試行錯誤は、世界の飲食業に向けた実験でもある。ガーディアン



参考・出典(主要な事実関係)

  • 木村正人「英国で『パブ離れ』が深刻化…」ニューズウィーク日本版(2025/10/25)──店舗数推移、一列方式試行・賛否、価格実感などの現地報告。ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

  • BBPAの2025年閉店見通し(約378軒=1日1軒超)を報じるThe Guardianほか。ガーディアン

  • YouGov(2025/9/18)**一列方式40%/従来方式39%**の世論調査。yougov.co.uk

  • ノンアル台頭・Lucky Saintの事例(店舗売上の約15%がノンアル)。cityam.com

  • 価格動向(平均一杯5ポンド超へ)。ガーディアン

  • 一列方式の試行と撤回を伝える報道。The Week

  • SNSの反応(XとRedditの代表的投稿を確認)。X (formerly Twitter)


付録:SNSの反応をいくつか(要旨)

「パブはスーパーじゃない。良いスタッフがいれば並ばなくても秩序は保てる」──文化派の反発。X (formerly Twitter)
「押しが弱い人でも安心。公平だし口論が減る」──公平派の肯定。X (formerly Twitter)
「動線が詰まる。“誰が次か”を呼ぶ方が早い」──現場スタッフの実務論。Reddit


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