世界2位の日本、猛追する中国、影響力で戦う韓国――数字が語る東アジア音楽地図

世界2位の日本、猛追する中国、影響力で戦う韓国――数字が語る東アジア音楽地図

1. 見えている景色と、数字の景色は違う

2025年、K-POPは依然として世界の話題をさらう。Netflixアニメ『KPop Demon Hunters』は配信史上屈指のヒットとなり、Kカルチャーの浸透を可視化した。だが「録音原盤(レコーディング)」というビジネスの土台に目を落とすと、最前線に立つのは日本と中国だ――IFPIの年次レポートや業界紙のまとめは、世界2位の日本、5位の中国、7位の韓国という序列を示している。2024年の世界原盤収益は296億ドル(前年比+4.8%)。この潮流の中で、東アジア三国はそれぞれ異なるドライバーで市場を押し上げている。 IFPI


2. データが示す「日中>韓」の構図

業界メディアDigital Music Newsは、「K-POP報道が溢れても、日本と中国の原盤市場は韓国を『圧倒』している」と指摘した。記事は日本のフィジカル強さとライブの厚み、中国の配信・政策ドライブ、そして韓国の“統合的カルチャー輸出”モデルを整理する。ここで重要なのは、バズ(話題)とバリュー(原盤収益)は一致しないという事実だ。 Digital Music News


3. 日本――フィジカル文化×ライブ動員の“二層構造”

日本は長年、世界2位の原盤市場を維持してきた。CDやパッケージが依然として大きな存在感を持ち、他国より「モノとして音楽を買う」行動が文化として根付く。一方で配信も伸長し、ライブ・エンタメの回復と相乗する“二層構造”が形成されている。IFPIの2025年報告では世界全体は+4.8%成長、日本は横ばい〜微減局面という指摘も出るが、ストリーミングの伸び代が残ることは中長期のポジティブ要因だ。 IFPI


4. 中国――巨大配信経済と政策の後押し

中国はTencent MusicやNetEase Cloud Musicといった国内巨大プラットフォームの普及と、文化産業を後押しする政策で急伸。SNSと音楽アワードの規模も桁違いで、9月の「Weibo Music Awards」には膨大なオンライン参加が集まり、華語圏のエコシステムの厚みを裏づけた。IFPIランキングでも中国は上位に定着しつつあり、サブスク課金や付加価値サービスの洗練が次の成長段へつながる。 Digital Music News qilucj.com


5. 韓国――“影響力の国”が直面するジレンマ

韓国は世界的影響力の割に原盤市場が小さいというパラドクスを抱える。フィジカル主導のファンダム購入は強力だが、グローバル売上の多くは国外で実現する。IFPIのチャートでもK-POPは確かな存在感を示し、SEVENTEENらが世界売上上位を席巻した。2025年6月にはBTSの全メンバーが兵役を終え、来期の大型プロジェクトへの期待が再燃。もっとも株式市場や収益構造のボラティリティが指摘されるように、持続可能な成長にはストリーミングとツアーの最適化、そして日本・北米での現地化が鍵となる。 Reuters


6. SNSの反応ハイライト(要旨)

 


  • 「K-POPは米国での話題より、実は日本や中国が最大消費地」という指摘が拡散。K-POPの“米国迎合”を懸念する声も。 X (formerly Twitter)

  • 「日本はアジア最大の音楽市場で、K-POP最大の海外消費地」という再確認ポストが支持を集める。 X (formerly Twitter)

  • 音楽業界系コミュニティでは、DMN記事の趣旨(“日中が韓国を上回る”)を引用しつつ、IFPIデータへのリンク共有が続く。 Facebook

ここで留意すべきは、SNSは賛否を含む“瞬間風速”であり、統計の代替にはならないこと。だが市場の認識(ナラティブ)を映す鏡として、施策の方向性を先取りするヒントにはなる。


7. 『KPop Demon Hunters』が示した示唆

Netflixで記録的ヒットとなった同作は、音楽×アニメーション×グローバル配信の三位一体モデルが、国籍を越えた消費を生むことを証明した。K-POPの影響力が“原盤市場の序列”と必ずしも一致しない――そのギャップを、IPの越境展開でどう埋めるかが次の争点だ。 Netflix


8. これからの三国戦略:競合ではなく“補完”

  • 日本向け:限定盤×店舗施策×ライブ動線でLTV最大化。配信はローカル施策(アニメ/VTuber/地域フェス連動)で“定額+物販”ハイブリッドへ。 GEM Standard

  • 中国向け:サブスク課金と付加価値(バーチャルギフティング、会員制)を前提に、規制適合型のライセンス設計と地域IP提携を強化。 Digital Music News

  • 韓国発アーティスト:日本・北米を収益化ハブに据え、ストリーミングでの“楽曲寿命”延伸とツアーの都市最適化を両輪に。投資家は「認知=収益」の短絡を避け、K-POPのファンダム価値を長期KPIに翻訳する必要がある。


9. まとめ――“熱量”と“規模”を架橋する

K-POPが作った世界的熱狂は、もはや誰も否定できない。だが原盤市場の規模という現実では、日本と中国が主導する。ナラティブ(話題)とナンバー(売上)を架橋する鍵は、三国横断のIP設計フォーマット別のKPIだ。CD、配信、ライブ、そして動画――各フォーマットに合った価値設計を、国・文化圏ごとに最適化できる企業/チームが、次の10年を制するだろう。 Digital Music News