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静かな高山の草原で、虫が消えていく—“手つかず”でも進む崩壊のサイン

静かな高山の草原で、虫が消えていく—“手つかず”でも進む崩壊のサイン

2025年09月08日 00:38

「安全地帯」はもうない—高地の草原から届いた警鐘

「人の手が入らない自然は、最後の砦だ」。そんな常識を裏切る結果が発表された。米ノースカロライナ大学のキース・ソックマン准教授が、標高の高いコロラド州の亜高山帯草原で飛翔性昆虫の数を20年にわたり記録。すると年平均6.6%の減少、累計72.4%の激減という、目を疑うようなトレンドが浮かび上がったのだ。調査地点は保護された自然環境で、直接の人為圧は極めて小さい。それでも減る—なぜか。鍵は、夏の気温上昇にあった。フィジオルグ


研究の中身:15季節・20年・1つの草原

調査は2004〜2024年のうち15季節にわたり実施。罠や標準化した手法で、季節ごとの飛翔性昆虫の相対的な豊富さを測り続けた。解析では、38年分の気象データと照合し、59通りの気象要因の組み合わせを情報量規準で比較。結論は明快だった—前の夏が暑いほど、翌シーズンの昆虫は増えず、むしろ減る。特に日最低気温の上昇が効いており、最低気温は10年あたり約0.8℃のペースで上がっていたという。PubMed


こうした「1地点の継続観測」は、データの精度と整合性に優れる半面、空間的な一般化には注意が必要だ。しかし、この草原の結果は孤立した例外ではない。2023年には同じコロラド州の別の亜高山帯草原で、1986〜2020年の35年間に昆虫の個体数が約62%減、バイオマスが約47%減という報告が出ている。高地の“手つかず”に見える場所でも、昆虫は一様に減っているのだ。The Colorado SunESA Journals


なぜ「未改変の自然」でも減るのか

農薬や生息地破壊といった人為要因が薄い場所で減少が続く背景として、研究は気候—特に夏の高温化—を主要因の一つに挙げる。高温は成虫・幼虫の死亡率を押し上げ、発育サイクルや繁殖のタイミングをずらし、餌資源(花蜜、葉、他の昆虫)とのミスマッチを生む。最低気温の上昇は夜間の休息・代謝に影響し、慢性的なストレスとなりうる。こうした要因が重なると、翌シーズンの個体群が回復しづらくなる。広域のメタ解析でも、陸域の昆虫は10年あたり1桁台後半の割合で減っているとの見積もりがあるが、今回の山岳地の数字はそれを上回る厳しさだ。PubMedウィキペディア


「半分の生命の樹」がしぼむとき

昆虫は、地上生態系の“見えない要”だ。受粉、分解、土壌形成、そして鳥・コウモリ・両生類などの食物基盤。守られた自然保護区でさえ昆虫が減り、森が「静か」に感じられるという現場の証言も増えている。コスタリカの保護区では、光に集まる蛾が数十年前の「雲」のような密度から、今やわずかな個体へと激減したという報告がある。これは単独の場所の悲話ではなく、全球的なシグナルだ。ガーディアン


SNSで広がる危機感と現場の実感

 


この研究が報じられると、SNSでは“生態系崩壊のカナリア”として拡散した。鳥類学者のGary Ritchison氏はXで「昆虫の広範な減少は、その生態系の未来に暗い影を落とす」と指摘。保護地での減少が捕食者や受粉ネットワーク全体の衰弱につながると懸念を示した。X (formerly Twitter)


Redditではコロラドの長期研究スレッドを引き合いに、「この研究の重要点は人為的影響の少ない場所でも減っていること」「原因は気候変動がメインではないか」とするコメントが上位に。地域コミュニティの掲示板でも、夏の庭先で“虫がいない”実感を語るスレが頻出している。科学的厳密さとは別に、生活者としての体感がデータと重なり始めているのが現在地だ。Reddit


何が賭け金になるのか:受粉・農と食・水と土

昆虫の減少は、すぐにスーパーの棚が空になるタイプの危機ではない。しかし、受粉サービスの劣化は果樹・野菜の収量と品質に波及し、害虫天敵の減少は農薬使用の悪循環を招く。分解者の低下は土壌の炭素循環を乱し、山岳の昆虫ネットワークが痩せると、高地生態系に適応した鳥類や両生類の減少へと連鎖する。IPCCは、温暖化が進むほど昆虫を含む無脊椎動物の高い絶滅リスクが広がると整理している。山で起きることは、低地の農や都市の暮らしにも跳ね返る。ウィキペディア


研究の強み・限界・再現性

本研究の強みは、(1) 20年規模の継続観測、(2) 詳細な気象データとの統合、(3) “未改変”に近いサイトという対照性だ。一方で、(a) サイトは単一、(b) 罠の感度や群集の季節性に左右される可能性、(c) 気温以外の要因(降水、雪、極端現象)の寄与推定には今後の多地点比較が要る。幸い、論文はデータや解析コードを公開し、検証可能性を担保している。再現研究の層が厚くなれば、地域差と共通項が見えてくるはずだ。PubMedfigshare.com


私たちにできること:政策から庭まで

  • 温室効果ガスの削減を加速:都市・県・国レベルのエネルギー転換は、山岳を含む広域の気候を鈍化させる唯一の手段だ。

  • 保護地の“質”を上げる:コアエリアの拡充と連結性の確保で、移動・再定着の“道”を残す。保護区が「島」化すると、回復力は落ちる。ガーディアン

  • 生物多様性に配慮した農と都市:殺虫剤の使用低減、夜間照明の遮光、在来植物の植栽は、受粉ネットワークと都市の虫道を補修する一歩になる。

  • 市民科学による監視網:庭や学校に設置した簡易トラップや観察記録を共有するだけでも、空間的なギャップを埋めるデータになる。


結び:見えない“沈黙”を可視化する

今回の報告は、守られた場所でも昆虫は減るという不都合な真実を突きつけた。山岳は気候変動の影響が早く現れやすく、そこは「未来の縮図」でもある。沈黙の草原から届いたデータは、私たちに二つの行動を促す。一つは、排出削減と適応策の加速。もう一つは、見えにくい変化を“測り続ける”ことだ。静かな草原に虫の羽音を取り戻すために。フィジオルグPubMed


参考記事

新しい研究によると、手つかずの生態系でさえも昆虫が驚くべき速さで減少していることが明らかになった
出典: https://phys.org/news/2025-09-untouched-ecosystems-insects-alarming.html

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