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若者の犯罪率が急減する先進国の現状とその理由とは?お酒、放課後、そしてスマホの時代

若者の犯罪率が急減する先進国の現状とその理由とは?お酒、放課後、そしてスマホの時代

2025年10月16日 00:31

1. 「増えている気がする」のに、数字は下がっている

「最近、若者の犯罪が増えているのではないか」。ニュースの見出しやSNSのタイムラインを眺めていると、そう感じる人は少なくない。しかし10月14日に公開された国際レビューは、1990年代から今日までの長いスパンでみれば、先進国の若年犯罪ははっきりと減ってきた、と結論づける。レビューをまとめたのは、独マックス・プランク法と安全保障研究所のディートリヒ・オーバーヴィトラーと、スウェーデン・マルメ大学のロバート・スヴェンソン。警察統計と自己申告調査を束ね、36か国の学校調査(HBSC)なども重ね合わせたうえで、財産犯は大きく、暴力犯はより緩やかに低下してきたと整理した。男女差(男子の方が犯罪に関与しやすい)が縮小しているのも特徴だという。さらに、コロナ後の数年は国により小さな反発や停滞が示唆されるが、直近の小幅な上振れは過去数十年の大幅な下落を覆すほどではない、と慎重に付記している。 Phys.org


2. 何が「若者のリスク」を削いだのか——仮説の束

研究チームが既存研究を渉猟して整理した主要因は、単独の“銀の弾丸”ではない。むしろ生活行動の連鎖的な変容だ。(1)飲酒などのリスク行動の縮小、(2)親子関係の希薄化どころか、むしろ見守りや連絡の頻度が上がったこと(スマホが媒介)、(3)学校や習い事など制度的な時間の比重が高まり、放課後に「計画なしに同年代と街にたむろする」時間が減ったこと、などが複合的に効いた可能性が高い。デジタルメディアの役割については、孤立や健康面の懸念を指摘する研究もあり、犯罪低下への寄与はまだ確定的ではない——これがレビューの慎重な立場である。 Phys.org


こうした説明は、スウェーデンの青少年を1999〜2017年にわたり追った繰り返し横断調査でも裏づけられる。親のモニタリングや学校結合、飲酒の縮小、仲間との非監督・夜間の遊び時間の減少が、自己申告の非行頻度の低下と関係していたという知見だ。 Wiley Online Library


3. データはどこから来たのか

今回のレビューが重視したHBSCは、WHOと協働し1980年代から4年ごとに11・13・15歳をサーベイしてきた巨大な国際調査で、参加国は50に達する。犯罪そのものの“犯行統計”ではないが、飲酒・喫煙・親子関係・学校ストレスなど、若者の生活文脈を長期に追えるため、「なぜ減ったのか」を説明する外生的要因の推定に有効だ。 hbsc.org


4. 「体感治安」とのズレはなぜ生まれる?

一部の都市では短期の反発や特定犯罪の増減がニュースを席巻し、体感治安を押し下げる。例えばロンドンでは、派手な高級腕時計盗やナイフ犯罪の報道が続き“犯罪急増”の物語が流布したが、長期でみると全体像はより複雑だ、との検証記事もある。 ザ・ガーディアン


オーストラリアの地域データでも、NSWの一部では若年犯罪の二桁減が報告される一方、拘禁の増加や再犯の懸念、政策効果をめぐる評価の割れなど、現場の文脈は一枚岩ではない。 ザ・ガーディアン


5. SNSはどう反応したか——声の地層を読む

 


今回の国際レビューが配信されると、Redditのr/scienceスレッドをはじめ各コミュニティに議論が広がった。たとえばr/scienceでは「若者は飲まない・遊ばない・孤立気味——だから犯罪も減ったのでは」という見立てに共感が集まる一方、統計の信頼や解釈をめぐっては懐疑も根強い。 Reddit


都市別スレでは「逮捕は減っているのに“危機”という物語が政治的に作られる」といった指摘(ワシントンD.C.)や、寒暖・季節性など外生要因で説明しようとする反応(シカゴ)も目立った。統計のポジティブな動きを報告する投稿(トロント、ボルチモア、デトロイトなど)では、車両窃盗や殺人の減少に注目が集まる半面、「別の犯罪は上がっている」との反論も必ず付いて回る。


X(旧Twitter)では、臨床心理の専門家が記事を共有し「社会的な所属・つながり」の観点から議論を促す投稿も見られた。SNS上の拡散は、若者の孤立やメンタルヘルスを犯罪低下の“代償”として捉える視点と、統計を“政策の成功”に直結させたい視点のせめぎ合いを可視化している。 X (formerly Twitter)


6. 「政策クレジット」をめぐる争い

犯罪が下がれば、どの政策が効いたのかをめぐる“クレジット合戦”が起きる。豪クイーンズランドでは強硬な量刑政策を評価する論説が話題を呼んだが、学術界や州内の他事例は一枚岩ではない。若年犯罪の下降は長い時間軸で進んできた現象であり、単一の立法や警察手法に短期で帰すのは難しい。だからこそ、長期データと地域文脈を重ね合わせた検証が不可欠だ。 heraldsun.com.au


7. それでも残る未解決:デジタルの功罪

デジタルメディアが“悪い時間”を“屋内のスクリーン時間”に置き換えて犯罪機会を減らしたのか、あるいは孤立・不安を強める副作用が次の社会問題を生んでいるのか。レビューは「未解明」と手綱を締める。イングランドとウェールズでは、SNS上の暴力コンテンツが若者の外出不安を助長するという報告もあり、若年層の安全感は単純に“犯罪発生”の逆指標ではないとわかる。 Phys.org


8. これからの読み方

結論は二つ。第一に、若者の犯罪は「長期には減ってきた」。これは議論の出発点であり、恐怖に基づく短期反応とは切り分けて考えるべき事実だ。第二に、その理由は一つではない。飲酒の縮小、親の見守り、学校という制度的時間、同世代との“非監督の時間”の減少——生活リズムの総体が変わったことが大きい。一方、コロナ後の揺り戻しや地域差、デジタルの功罪が新たな不確実性として残る。だからこそ、私たちはニュースの見出しよりも、複数のデータ系列と時間軸で語る習慣を持つべきだろう。 mpg.de


参考記事

国際的な研究によると、先進国における若者の犯罪率が急激に減少していることが示されています。
出典: https://phys.org/news/2025-10-international-youth-crime-sharp-decline.html

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