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石炭はなぜ今、アメリカで再び注目されるのか?— トランプ政権の戦略とその背景

石炭はなぜ今、アメリカで再び注目されるのか?— トランプ政権の戦略とその背景

2025年10月02日 00:05

1. 何が発表されたのか——数字で見る「石炭テコ入れ」

9月29日、米政府は公有地1,310万エーカーを石炭採掘のために開放し、石炭火力の再稼働・延命や近代化に6億2,500万ドルを投じるパッケージを公表した。資金はボイラー更新、排水処理、老朽設備の再稼働支援などに充てられる。あわせて鉱区ロイヤルティ率は最大12.5%から7%へ実質引き下げられ、アラバマから順にユタ、モンタナ、ワイオミングでのリース入札が予告された。これはバイデン政権期の凍結からの明確な反転である。AP News


2. 政権の大義名分——「AI時代の電力需要」と系統安定性

政権側は、電力需要が2024年の過去最高をさらに更新する見込みや、AIを含むデータセンター需要の急増を根拠に、燃料在庫を持てる石炭は送配電網の“保険”だと主張する。EIAの短期見通しや主要社の分析でも、25年・26年の需要増が見込まれ、天然ガス価格動向によっては一時的に石炭の発電シェアが持ち直すとの記述がある。エネルギー情報管理局


3. しかし市場の現実は厳しい——縮む設備、進む代替

ロイターによると石炭火力の設備容量は2010年以降43%減の約194GWまで縮小し、新設計画は0.4GW程度に過ぎない。コストと建設リードタイムの両面で、天然ガスと風力・太陽光の優位はなお続く。ゆえに政策で短期的な稼働率を押し上げても、長期的な本格復権は限定的という見立てが支配的だ。Reuters


4. どこで掘るのか——公有地リースの地政学

アラバマ(主に製鉄向け原料炭)に続き、ユタ、モンタナ、ワイオミングが初期のリース対象。パウダー・リバー・ベイスンなど“巨鉱区”が再び動く可能性がある。土地開放と並行し、ロイヤルティ軽減や減免も示され、操業の経済性を底上げする設計だ。Reuters


5. 行政横断の“総力戦”——内務省・エネ省・EPA

今回のパッケージは内務省(DOI)、エネルギー省(DOE)、環境保護庁(EPA)の三省連携で打ち出された。DOEは6.25億ドル投資を公式発表、DOIは1,310万エーカー開放とロイヤルティ率引下げを前面に押し出す。The Department of Energy's  Energy.gov


なお、同時期にDOEの一部局で**“climate change”“decarbonization”等の用語使用を避ける**旨の内向け連絡があったとする報道も物議を醸し、政策メッセージの方向性がより鮮明になった。省側は全面的な禁止を否定するが、現場の混乱は続く。ガーディアン

6. 反応——SNSと団体声明に見る賛否の裂け目

賛成派は「系統信頼性の確保」「製造業・鉄鋼支援」「雇用の維持」を強調。全米鉱業協会(NMA)など業界は**“燃料確保と家計防衛の前進”**として歓迎した。産炭州の労組・地域団体も生活の糧として支持の声が目立つ。National Mining Association


反対派は「公有地の切り売り」「炭素・大気汚染の外部コスト」「再エネ投資の逆流」を批判。NRDCやLCVは**“無料パスと現金手当”**だと強い言葉で非難し、健康被害と税金負担に言及する投稿やインフォグラフィックがSNSで拡散した。nrdc.org


SNSのタイムラインでは、与党支持層・エネルギー安全保障派が**#EnergySecurityや#Reliabilityの語を掲げる一方、環境派は#StopCoalや#ActOnClimateの連投で対抗——「電力の安定」対「気候・健康コスト」**というフレーミングがそのまま世論の溝になっている。報道各社もこの分断を可視化し、国内の注目度は高い。ガーディアン


7. 影響評価——料金・雇用・健康の三面

短期的には、稼働率の引上げと燃料在庫が一部地域の料金ボラティリティ抑制に効く可能性はある。ただし老朽火力の保守費は嵩み、汚染対策の遵守猶予が付いても、硫黄酸化物・窒素酸化物・PMの外部コストは残る。長年の統計では、再エネ拡大とガス価格の低下が**石炭シェアを50%(2000年)→約15%(2024年)**へ押し下げており、政策バイアスだけではトレンドを反転しにくい。ガーディアン


8. 「反転」の持続性——カギは設備余命と競争力

石炭の増勢は天然ガス価格の急騰や猛暑・寒波など特殊要因で一時的に起きうる。一方で新増設の乏しさ、老朽化による退役、再エネの建設速度とLCOE低下が構造的な向かい風で、**“延命のための政策”**にとどまる公算が大きい。Reuters


9. それでも政治は続く——「地域」と「国」の狭間

産炭地域の雇用・税収にとっては死活問題であり、**橋渡し策(再訓練、送電強化、蓄電・原子力の導入、地域開発)をどれだけ平行して進められるかが、反発の緩和と公正な移行(Just Transition)**の鍵になる。政策の持続性は11月以降の連邦議会の歳出・権限配分の行方にも左右されるだろう。AP News



主要ポイント(箇条書きリファレンス)

  • 13.1百万エーカーの公有地で石炭リース再開・拡大。**ロイヤルティ7%**に引下げ、アラバマ→ユタ→モンタナ→ワイオミングで入札へ。Reuters

  • 6億2,500万ドルの石炭火力延命・近代化投資をDOEが発表。The Department of Energy's Energy.gov

  • BLMは複数の鉱区で入札・探査・減免を展開、モラトリアムを事実上撤回。Bureau of Land Management

  • 石炭の発電シェアは**2000年50%→2024年約15%**まで低下(構造要因)。ガーディアン

  • 設備容量43%減、計画中新設0.4GWで長期反転は困難との見立て。Reuters

  • 賛成: NMA等は信頼性・製造業支援を強調。反対: NRDC・LCV等は健康・財政コストを批判。National Mining Association nrdc.org


参考記事

トランプが石炭産業を復活させたい理由
出典: https://www.nytimes.com/2025/09/30/climate/why-trump-wants-to-revive-the-coal-industry.html

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