「夏血栓」――熱中症と取り違えやすい“隠れキラー” 外国人居住者が知っておくべきリスクと対策ガイド

目次

1. はじめに – なぜ「夏血栓」は外国人にとっても脅威なのか

2. 「夏血栓」とは何か

3. 熱中症との症状比較表

4. “魔の時間帯”と週初リスク

5. ケーススタディ：51歳男性の体験談

6. 高リスク群と生活習慣要因

7. いますぐできる予防10カ条

8. 日本で救急医療を受けるときのポイント

9. よくあるQ&A

10. まとめ – 「水分補給＋早朝ケア」が命を守る鍵

11. 参考記事一覧

1. はじめに – なぜ「夏血栓」は外国人にとっても脅威なのか

日本の夏は気温35 °C前後かつ湿度70 %以上という“蒸し暑さ”が特徴で、自国では乾燥した暑さに慣れている欧米・中東出身者ほど体温調節がうまく働かず脱水進行が速い傾向があります。脱水は血液粘度を上げ、血栓形成を招く重要因子です。doctorbook.jp

2. 「夏血栓」とは何か

• 定義：真夏の脱水・高温ストレス下で血栓が形成され、脳・心臓・肺などの動脈を閉塞する現象。

• メカニズム：脱水→血液濃縮→血小板凝集↑＋線溶能↓→血栓形成。Virchow三要素（血流停滞・血管内皮障害・血液性状変化）が同時に悪化。doctorbook.jp

• 主な疾患：脳梗塞・心筋梗塞・肺塞栓・深部静脈血栓症。

3. 熱中症との症状比較表

4. “魔の時間帯”と週初リスク

• 時間帯：起床後1～4時間（概ね6–10時）は血圧急上昇と線溶能低下が重なる“魔の時間帯”mezamashi.mediadiamond.jp
  
  

• 曜日：月曜日は休日の飲酒・睡眠リズム崩壊でストレスホルモン増大し血栓傾向↑mezamashi.media

5. ケーススタディ：51歳男性の体験談

昨夏、埼玉県在住の細川さん（51歳）は倦怠感を“軽い脱水”と判断し就寝。明け方トイレに立った際に右半身が麻痺し転倒。母親の通報で救命されたが「一人暮らしなら孤独死していた」と振り返る。救急医は「到着が30分遅れれば麻痺残存か死亡」と説明したという。news.ksb.co.jp

6. 高リスク群と生活習慣要因

• 基礎疾患：高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満。

• 行動要因：長時間フライト・在宅ワーク中の座りっぱなし、過度のアルコール・カフェイン摂取、サウナ直後の水分不足。doctorbook.jpkashijoumyakuryuu.jp

7. いますぐできる予防10カ条

1. 起床直後にコップ1杯（200 mL）以上の水を常温で摂取。
   
   

2. 日中は “汗量≒水＋電解質補給量” を意識（スポーツドリンクや経口補水液）。
   
   

3. 早朝・夜間も室温28 °C以下、湿度60 %以下を保つ（エアコンの自動運転推奨）。
   
   

4. 就寝前アルコールはビール中瓶1本以内＋同量以上の水。
   
   

5. 1時間ごとに立ち上がりふくらはぎストレッチ。
   
   

6. 弾性ストッキングや緩圧ソックスを活用（飛行機・新幹線移動時）。
   
   

7. 月曜朝の高負荷トレーニングは避ける。
   
   

8. 持病薬（抗凝固薬・降圧薬）は主治医指示どおり。
   
   

9. 症状疑い時は 「FAST」評価：Face, Arm, Speech, Time。1項目でも当てはまれば119番。
   
   

10. 家族や友人と 見守りアプリ を共有し、異変を早期発見。news.ksb.co.jp

8. 日本で救急医療を受けるときのポイント

• 119番通報フレーズ（日本語）

  「脳梗塞の疑いがあります。英語の医師をお願いします。」

• 英語対応病院検索：Japan National Tourism Organization (JNTO) “Guide to Medical Facilities.”

• 支払い：パスポート＋海外旅行保険証券を提示。キャッシュレス対応可否は事前確認。

• 搬送先での通訳：電話医療通訳（AMDAメディカルインフォメーションセンター等）を活用。

9. よくあるQ&A

Q1：水ではなくお茶・コーヒーでもいい？
A：カフェイン利尿作用で脱水を助長するため、水か低濃度電解質飲料が安全。

Q2：夜シャワーだけで湯船に浸からないほうがいい？
A：高温長湯は逆に脱水を進める。短時間38 °C程度がベター。

Q3：血栓予防にワインが良いと聞いたが？
A：ポリフェノール効果はあるが飲みすぎは逆効果。適量（グラス1杯）＋水分補給が前提。

10. まとめ – 「水分補給＋早朝ケア」が命を守る鍵

夏血栓は熱中症に偽装しつつ短時間で生命を脅かす“サイレントキラー”。特に早朝6–10時の水分・血圧管理が重要です。コップ1杯の水、適切な空調、そして異変を感じたら 迷わず119番。在日外国人が言語の壁で対応を遅らせないよう、医療通訳サービスの連絡先をスマホに登録しておきましょう。

参考記事一覧

• KSB瀬戸内海放送「猛暑日続出で医師“熱中症の重症者多い”さらに初期症状よく似た“夏血栓”にも警鐘」（2025年6月29日）news.ksb.co.jp

• Mezamashi Media「熱中症と間違えやすい『夏血栓』落とし穴と“魔の時間帯”」（2025年7月1日）mezamashi.media

• Doctorbook「脳梗塞の原因になる夏血栓、症状と予防法について」（2018年）doctorbook.jp

• DIAMOND online「心筋梗塞や脳卒中が多い『魔の時間帯』とは？」（2025年4月）diamond.jp

• 税理士国保「知っていますか？『夏血栓』」（2018年8月 PDF）ka-z-kokuho.or.jp

• Johns Hopkins Medicine「Dehydration and Heat Stroke」（2024年）hopkinsmedicine.org