メインコンテンツにスキップ
ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア ロゴ
  • 記事一覧
  • 🗒️ 新規登録
  • 🔑 ログイン
    • English
    • 中文
    • Español
    • Français
    • 한국어
    • Deutsch
    • ภาษาไทย
    • हिंदी
クッキーの使用について

当サイトでは、サービスの向上とユーザー体験の最適化のためにクッキーを使用しています。 プライバシーポリシー および クッキーポリシー をご確認ください。

クッキー設定

クッキーの使用について詳細な設定を行うことができます。

必須クッキー

サイトの基本機能に必要なクッキーです。これらは無効にできません。

分析クッキー

サイトの使用状況を分析し、サービス向上に役立てるためのクッキーです。

マーケティングクッキー

パーソナライズされた広告を表示するためのクッキーです。

機能クッキー

ユーザー設定や言語選択などの機能を提供するクッキーです。

フランスから渡英した“音楽家”11匹――絶滅寸前セミ救出大作戦

フランスから渡英した“音楽家”11匹――絶滅寸前セミ救出大作戦

2025年06月14日 12:33

Ⅰ. 消えた“森の歌手”を追って

1990年代、ニュー・フォレストを歩いた昆虫研究者が最後にセミの声を聞いてから、英国の夏は静かになった。唯一の在来セミ種Cicadetta montana――通称“ニュー・フォレスト・セミ”――は森林伐採や下草刈りの変化で繁殖地を失い、野生個体は絶滅したとされるen.wikipedia.org。


Ⅱ. 再導入プロジェクトの軌跡

2013年にはスマホで超音波を検知する「Cicada Hunt」アプリまで登場したが成果はゼロblogs.bl.uk。危機感を高めたSpecies Recovery TrustはEU域内で比較的個体数が多いフランス・パ・ド・カレー地方に着目。現地の昆虫学者と連携し、2025年6月11日夜、雌11匹の捕獲に成功するcountryfile.com。



採集は慎重を極めた。気温が25 ℃を超え風の弱い午後、樹冠を超音波マイクでスキャンし、オスの位置を特定。求愛相手を探す雌が飛来した瞬間、長柄ネットでキャッチ。麻酔も使わず48時間以内に英国へ輸送した。



Ⅲ. 新居は“コンサートホール”仕様

新居はニュー・フォレスト外縁のテーマパーク敷地内に設けた8 m×10 mの温暖な囲い。中にはラズベリーやヘーゼルなど産卵に最適な細枝を持つ植物を配し、地面は砂混じりのローム土で水はけを確保。温度は日中28 ℃前後、夜間18 ℃をターゲットに遠隔制御ヒーターで調整する。鳴き声モニタリング用に高周波マイクを4基、地中センサーを20 cm間隔で埋設した。



Ⅳ. 成功のカギは“4年間の沈黙”

セミのライフサイクルは長い。産卵から羽化まで4〜6年、ニンフは地下20 cmで樹根を吸汁するphys.org。今回放たれた雌の平均寿命はわずか4週間。彼女たちが産んだ卵が孵化し、2029年夏に初鳴きを聞かせてくれるかが勝負だ。



Ⅴ. 気候変動は敵か味方か

近年の英国は夏季平均気温が1884年比+1.6 ℃。湿度より気温を好むC. montanaには有利との予測が出ているnbcrightnow.com。ただし極端暑熱で植生が枯れればニンフの餌資源が減る。そこで研究チームは遮光ネットで局所的に気温を2 ℃下げる実験区も設けた。



Ⅵ. SNSが見守る“長期連載”

英国――Xには「森にオーディオ戻る!」と歓喜ツイートが1日で1,500件以上(ハッシュタグ #NewForestCicada)。ガーディアン紙の報道リンクは7時間でリポスト8,000超えthe-independent.com。



日本――深夜の昆虫クラスタが「四国のヒグラシみたい?」と盛り上がり、英国現地映像をASMR動画として引用するケースも。また環境NGOスタッフは「里山再生のヒント」とブログで解説。



米国――同時期に周期セミBrood XIVが大発生し「UKもうらやましい?」という逆輸入ネタがRedditで交わされる。「おまえらはトリリオン単位で騒がしいだろ」などの自虐コメントも確認reddit.com。



Ⅶ. 保全と観光のジレンマ

再導入が成功した場合、一般公開は2030年代前半。だが大量の見物客が踏圧で幼虫を傷つけないか懸念される。解決策として「音声ガイドのみのバーチャル観察」「空撮ドローンによるライブ配信」などが検討中だ。



Ⅷ. 日本への示唆

日本でも都市化でセミ多様性が低下し、クマゼミが優占する現象が報告されているzoologicalletters.biomedcentral.com。地下ニンフの生息環境を守る施策は、ニュー・フォレストのように木陰と開空地がモザイク状に分布する林床管理が鍵となる。英国の挑戦は“セミサウンドスケープ”を都市部で再生するモデルケースになりうる。



Ⅸ. 今後のマイルストーン

  • 2026 年夏 : 地中音響センサーでニンフ活動音を初検出予定

  • 2027 年秋 : 地表に「土の塔」(ターレット)が出現するか調査

  • 2029 年5〜7月 : 初代成虫の羽化・鳴き合わせイベントを計画

  • 2030年代 : 遺伝的多様性を高めるため仏スロベニアから追加導入検討



Ⅹ. 結語

セミは単なるうるさい夏の風物詩ではなく、森林生態系の“心拍”を聞かせる存在だ。11匹の“歌手”たちは今、土中で無音のステージ準備を進めている。4年後、ニュー・フォレストに再び高周波の合唱が満ちる日。私たちが耳を澄ませる価値は、音以上に「失われた自然を取り戻す物語」にある。



参考文献・出典

  • Phys.org「Musical cicadas brought back to UK from France」phys.org

  • AFP経由Yahoo News 同記事要約 phys.org

  • BBC Wildlife 『Lost-long “singing” insect returns to Britain after vanishing three decades ago』discoverwildlife.com

  • Countryfile Magazine 『“Like bringing them back from the dead”: singing cicadas return to UK』countryfile.com

  • Independent 『Extinct insects return to UK: “Like bringing them back from the dead”』the-independent.com

  • Wikipedia「Cicadetta montana」en.wikipedia.org

  • Reddit r/Entomology スレッド内コメント(UKユーザーの発言)reddit.com

← 記事一覧に戻る

お問い合わせ |  利用規約 |  プライバシーポリシー |  クッキーポリシー |  クッキー設定

© Copyright ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア All rights reserved.