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「コンセンサスの罠」 — 世界プラ条約、なぜ投票に踏み切れなかったのか : ハイアンビション vs 産油国連合

「コンセンサスの罠」 — 世界プラ条約、なぜ投票に踏み切れなかったのか : ハイアンビション vs 産油国連合

2025年08月20日 00:23

1. 何が起きたのか—「崩壊」ではなく「デッドロック」

8月15日朝、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で、交渉議長のルイス・ヴァヤス・バルディビエソ氏が木槌を打つことなく会期を閉じた。11日間に及ぶ討議は、条約本文の方向性で最後まで収れんせず、合意の見通しが立たなかった。次回会合の日時・場所は告げられず、各国は「熟考とリセット」の期間に入る。交渉の目的は、2022年に国連環境総会(UNEA)が掲げた「プラスチック汚染をライフサイクル全体で終わらせる」法的拘束力のある枠組みだが、道のりは想定以上に険しい。Phys.org


2. デッドロックの「3つの理由」

(1)議長案の失速

議長は議論の加速を狙い2本の草案を提示したが、初稿は生産上限、有害化学物質、製品設計のグローバル基準、実施資金などの肝を外し「アンビションが足りない」と反発を招いた。改訂版も核心が弱く、高志向国は受け入れられなかった。Phys.org


(2)立場の固定化

「生産そのものを減らすべき」とするハイ・アンビション連合(EU、英国、カナダ、汎アフリカ・中南米・島嶼国など)と、「廃棄物管理・リサイクル中心」を求める産油・石化国(サウジ、クウェート、ロシア、イラン、マレーシアなど)が、互いの“越えられない一線(レッドライン)”を譲らなかった。Phys.org


(3)投票への逡巡

国連交渉は原則コンセンサス(全会一致)だが、行き詰まれば投票は可能だ。それでも今回は誰もスイッチを押せなかった。「投票は多国間主義に傷をつける」という政治的リスクが重く、結果として思い切った打開策を封じた。Phys.org


3. 争点の中身—「生産カット」対「廃棄対策」

最も鋭い対立軸は、生産量の上限設定(バージンプラのキャップ)を条約で義務化するかどうか。高志向国や市民団体は、リサイクル効率の上限や化学物質の有害性を踏まえれば「蛇口を締める」しかないと主張。これに対し産油国や業界は「各国事情に応じた廃棄物管理と設計改善」で十分とする。会期中に示された草案も、義務ベースではなく各国自主コミット中心へと後退し、「骨抜き」との批判を招いた。AP News


4. 交渉の「地政学」

AFPなどの報道では、ハイ・アンビション側は「少数の国が短期的利益を優先して阻んだ」と苛立ちを隠さない。一方で「資源を持つ途上国を罰する条約は受け入れられない」との反論も強い。国連の場で合意主義が働くほど、経済構造と産業利益がむき出しになる構図が浮かび上がった。Phys.org


5. 数字が物語る危機

世界のプラスチック生産は年4億トン規模。回収15%のうち実際に再生されるのは約9%、半分近くが埋立、2割超が不適正処理だ。既にマイクロプラは高山から深海、人体のいたる所で確認されている。OECDは2060年に生産がほぼ3倍(1.2ギガトン)に達すると予測する。交渉失敗のコストは、環境だけでなく健康・経済にも確実に跳ね返る。Phys.org OECD


6. 現場の声—「悲しみ」と「次へ」

ノルウェーの首席交渉官は「ここジュネーブで条約を手にすることはできない」と無念を述べた。とはいえ交渉の継続意志は示され、議長も「次の機会」を約束したという。合意は逃したが、対立点が明確になったのは事実だ。Yale E360


7. SNSの反応—市民・産業・政府、それぞれの温度差

  • 市民団体:#BreakFreeFromPlastic などは「遅延・ガスライティングの11日間。弱い条約なら“ノーディール”で良い」と強硬姿勢。合意主義の見直しと、生産上限の明記を再要求。X (formerly Twitter)

  • ジャーナル/解説:ファッションなど合成繊維依存産業の「不在」や、石化ロビーの影響力を指摘。「産業界の席は開けつつ、利害相反の可視化とルール化が必要」との論調が目立つ。Vogue Business

  • 報道機関の要約:APや公共メディアは、交渉不調の主要因を「生産抑制 vs 廃棄管理」の対立とし、次回日程未定・草案の弱体化を淡々と伝えた。AP News
    (注:上記は複数の公開投稿・報道を要約した傾向であり、特定個人の投稿を代表させるものではありません。)


8. では、次に何をするのか—「リセット」の処方箋

The Conversationの分析が示すとおり、今は“会期間”を活用して政治的な橋渡しと実務論の作り込みを進めるべきだ。具体的には、

  • 資金・実施枠組み:モニタリング、報告、遵守の法形式や、グローバル・サウスのための資金手当を設計しておく。

  • 同盟の再編:EUや中南米、島嶼国は“幅広い賛同者”を増やすため、段階的生産キャップや有害化学物質の優先リストなど「入口の合意」を提案する。

  • 手続きの再起動:必要なら投票に踏み切る準備を進め、合意主義を崇拝しすぎない。Phys.org


9. 日本への含意(小括)

日本は資源循環や海洋ごみ対策には強みがある一方、化学規制・設計基準・生産量の国際整合にはまだ議題が多い。企業は素材転換(再生・バイオ)と設計段階での削減に舵を切り、政府はデータ透明性や越境ごみ規制の国際ルール作りで能動的に貢献する余地が大きい。


10. 結び—“時間切れ”を繰り返さないために

今回の不調は終わりではない。科学も解決策も揃っている。足りないのは「拘束力のある意思」—その一歩を後押しするのは、政治の胆力と、私たちが日々選ぶ製品・素材・制度への声だ。Phys.org


参考記事

プラスチック汚染条約の交渉が意見の相違と行き詰まりに終わった3つの理由(ただし、崩壊には至らず)
出典: https://phys.org/news/2025-08-plastic-pollution-treaty-disagreement-deadlock.html

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