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日本の市役所で広がる生成AI活用:「外部に情報は出ません」の真意と、職員の“温度差”という現実

日本の市役所で広がる生成AI活用:「外部に情報は出ません」の真意と、職員の“温度差”という現実

2025年08月27日 20:28

1. 何が起きているのか—日本の市役所で進む生成AIの実装

2023年春、神奈川県横須賀市が庁内チャット(LoGoチャット)にChatGPTのAPIを接続し、全庁での活用実証を開始したことは自治体AI活用の象徴的な出来事でした。以降、各地の自治体が段階的に試行・本格運用へと動き、行政の文章業務(挨拶文、通知文、要約、誤字脱字のチェック、アイデア出しなど)で手応えを積み上げています。


横須賀は「入力情報が二次利用(学習)されない方式」「機密・個人情報は取り扱わない運用」という前提で導入。これは“外に出さない”ための 具体的な技術・運用の組み合わせ を意味します。横須賀市公式サイト自治体DX推進協議会


導入の波は単発に留まらず、他自治体の試行(例:松山市の1カ月トライアル)や、LoGoAI等のサービス活用、職場内ガイド整備などに広がりました。背景には人手不足・複雑化する事務・住民サービス高度化の要請があり、生成AIが「書く」「要約する」だけでなく「読む(長文理解)」「翻訳する」「たたき台を作る」能力を持つことが評価されています。松山市公式サイト



2. 「外部に情報は出ない」の真意—“仕組み+運用”で成り立つ安全

市役所の説明でよく聞く「外部に情報が出ることはない」は、次の条件が揃ったときに初めて成立します。

  • 閉域網や庁内基盤からの安全な接続(例:LGWAN対応の庁内チャットにAIを連携)

  • 入力データの“学習に使わない”契約・設定(データの二次利用や保管を制御)

  • 機密・個人情報を入力しないという運用ガイドラインの徹底

  • 監査可能なログと教育(職員が“何を入れてよいか”を理解)


実際、自治体向けのAI連携ではLGWAN上のツールや、公開情報のみを参照する構成など“外に出さない設計”が採られています。ただし これは設計と運用を守った場合の話 であり、無条件に“100%安全”を保証する魔法の言葉ではありません。仕組みが整っていても、ルール逸脱(不要な個人情報の貼り付け等)があればリスクは生じます。株式会社トラストバンクジチタイワークス横須賀市公式サイト



3. 成果が見えやすい仕事から—挨拶文、通知文、議事メモ、FAQ下書き

先行自治体では、成果が可視化しやすい領域から活用が進みました。テンプレート性の高い文書(挨拶文、式辞、住民向け通知、広報の下書き)、議事録要約、FAQのたたき台、多言語翻訳、読みやすさの改善などは、時間短縮と品質(表現のばらつき是正)の両立が比較的起きやすい領域です。


加えて、「書く」だけでなく「読む(下調べ、長文要約)」の高速化も効果的です。国の検証でも「時間削減だけでなく品質向上が狙える」「工程分解して“使わない箇所”を意識する」等の学びが強調されています。デジタル庁



4. どこまで広がった?—導入率・温度差・規模間ギャップ

導入状況は自治体の規模で差が出ています。2024年末時点の整理では、都道府県や政令市で先行し、市区町村は追随段階。導入率の差は、そのまま人員・予算・セキュリティ整備・支援体制の有無を反映します。つまり「やりたいが体制が追いつかない」「ガイドラインが未整備」「ネットワーク構成や審査手続きが重い」といった障壁が、地域ごとの差を生みやすいのです。ジチタイワークス


“温度差”は、組織の内側にもあります。個人情報を日常的に扱う部署は慎重になりがちで、情報公開系や広報系は先に進みやすい。現役・元職員の声でも「AIを使える部署と使えない部署では温度差が出るのは当然」という指摘がみられます。ここから導かれる処方箋は、部局の役割に応じた段階導入・明確な守りのルール・成果の可視化・成功体験の横展開です。X (formerly Twitter)



5. 安全とガバナンス—ガイドライン、ログ、教育、そして指揮系統

ガバナンスは“紙の規程”で終わらせず、運用に落とすことが重要です。

  • ガイドライン:目的外利用の禁止、入力禁止情報の明確化、審査フロー、事故時の連絡体制まで規定。国・研究機関・コンサル各社からも自治体向けガイドの要件が整理され、事例として兵庫県のようにインシデント対応まで書き込む自治体も登場しています。デジタル庁JRI

  • ログと監査:庁内チャットにAIをつないだ構成では、操作履歴を追えるため、万一の確認・指導が可能です。都政新報

  • 教育と伴走:最初は「検索」などAIに不向きな使い方が起きがちですが、庁内ガイドや勉強会で “使い方の質” を底上げできます。横須賀市でも実証中に用途の理解促進を図り、効果を高めたと報告されています。JRI



6. ケーススタディ:横須賀市が示した「スピード×安全」の両立

横須賀市は、市長のリーダーシップの下で短期間に実証を立ち上げ、LoGoチャット×ChatGPT APIという“庁内で使い慣れた道具にAIを埋め込む”設計で推進しました。運用上は二次利用なしの方式、機密・個人情報の不入力を徹底し、全庁での学びを横展開。自治体横断の情報共有(「自治体AI活用マガジン」ほか)にも積極的です。ノウハウの流通は**“温度差”の圧縮**にも効きます。横須賀市公式サイトAIS | 一般社団法人 行政情報システム研究所



7. もう一つの“外に出ない”—公開情報のみを参照する型

住民向けウェブサイトの検索・問合せ支援に生成AIを組み込む場合、“サイトで公開された情報だけ” を参照する構成を取ることで、未公開情報や個人情報が外部へ出たり混ざったりしないメリットがあります。設計思想としての“外に出さない”は、ネットワーク(閉域) と データ(公開情報限定) の双方で達成しうるのです。ジチタイワークス



8. デジタル庁の検証が示したこと—モデルの多様化と“機密レベル対応”

国の検証では、国内外の複数モデル(例:Llama-3-ELYZA-JP-70B、GPT-4o、Gemini 1.5 Pro等)を使い分け、取り扱える機密レベルを段階的に拡張する試みが行われました。アカウント利用の広がり、作成アプリの蓄積、アンケートでの利用実態把握など、“基盤+運用+評価” を回す仕組み化が進んでいます。地方自治体がこの型を参照すれば、調達・技術選定・教育の再発明を減らせます。デジタル庁



9. 外国人住民にとっての意味—多言語、市民対応、待ち時間の短縮

外国人の方にとって、生成AI導入は (1)多言語対応の改善、(2)回答の均質化、(3)ウェブからの自己解決率向上 といった利点に繋がります。一次回答の“たたき台”づくりや翻訳が早まることで、窓口の待ち時間や往復メールの回数が減り、「必要な情報に早くたどり着ける」 可能性が高まります。一方で、最終判断は人間の職員。重要な申請・法的判断・個別事情の調整は人のレビューが前提です(これは各種ガイドラインの大前提でもあります)。デジタル庁



10. リスクと限界—“AIが言ったから正しい”わけではない

生成AIには、事実誤認(ハルシネーション)、根拠の薄い断定、意図せぬ個人情報の巻き込みなどのリスクが存在します。したがって、


  • 重要文書は “AI→職員レビュー→公開” の工程を外さない

  • 入力禁止情報のリスト を明確に

  • 監査・再現性 のためログを取る

  • 継続学習(人の教育) で使い方を改善

    といった「道具」ではなく「運用」を磨くことが不可欠です。デジタル庁



11. “温度差”を埋める術—成功体験の横展開と“ワークフロー化”

温度差を縮めるコツは、“成果の見える小さな勝ち”を積み上げること。


  • テンプレ文・定型通知の下書き:全庁で再利用できる“プロンプト・雛形”を整備

  • 要約・読みやすさ調整:議事メモ・FAQ化を高速に

  • 多言語化:英語・中国語・やさしい日本語のたたき台

  • レビュー導線:AI出力から決裁文までのチェック表を標準化

    こうした“ワークフロー化”は、スキル差を前提にしても品質を底上げします。国の検証でも “用途の適正” を学ぶことで使い方が改善することが示唆されています。JRI



12. 調達と費用感—“小さく始めて、広げる”

多くの自治体は、既存の庁内チャットにAIをつなぐ ことで“使い慣れた場所にAIを呼ぶ”アプローチを採っています。従量課金・アカウント課金など費用の見通しを立てやすく、試行→本格展開へと段階導入が可能です。監査・ログ・アクセス権限の標準化もしやすく、セキュリティ審査や内部統制の観点でも進めやすい構成です。株式会社トラストバンク都政新報



13. これからの焦点—ローカル知とRAG、音声・画像、アクセシビリティ

次の波は、自治体の “ローカル知(条例、手引、要綱、FAQ、申請書様式、公開データ)” を安全に組み合わせて答えを返すRAG(検索拡張生成)型です。公開情報のみを参照する設計を守れば、“外に出ない” と “よく分かる” を両立させられます。さらに、音声対話や画像読み取り(記入済み申請書の点検等)、アクセシビリティ対応(やさしい日本語)との組み合わせで、窓口体験はより包摂的になっていくでしょう。ジチタイワークス



まとめ

  • 日本の市役所では、安全設計+運用ルール を前提に生成AIの業務活用が拡大。

  • 「外部に情報は出ない」は 閉域網/二次利用なし設定/入力制限/監査 が揃った場合の説明。

  • 現場には“温度差”があり、小さな成功の横展開と教育 が突破口。

  • 多言語化・FAQ整備・ウェブ自己解決 は、外国人住民の利便性を大きく高める。

  • ただし最終判断は人。重要案件は職員レビューで担保。

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