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「なぜ“あの人”はハマりやすいのか」— 大麻使用の裏に隠された心理と遺伝の謎に迫る新研究

「なぜ“あの人”はハマりやすいのか」— 大麻使用の裏に隠された心理と遺伝の謎に迫る新研究

2025年10月15日 01:02

背景:合法化の波と“ポスト合法化”の問い

米国では嗜好用の合法州が24州へと拡大し、製品の多様化・高濃度化が進む一方で、依存・精神症状リスクをどう評価するかが“ポスト合法化”の最大の問いになっている。最新の連邦調査では過去1年の使用者6,420万人、使用障害2,060万人と報告され、規模の大きさが政策・医療の両面で重さを増している(2024年データ、2025年公表)。今回のワシントン・ポスト記事は、遺伝学がその問いにどう迫っているかを、最新研究と専門家コメントを交えて整理したものだ。 The Washington Post samhsa.gov


研究のコア:13万人GWASが描いた「使う」「頻度」の遺伝地図

UCサンディエゴと23andMeらは、13万1,895人の参加者データを解析し、カンナビス終生使用(ever-use)と使用頻度に関わる遺伝子シグナルを探索した(GWAS)。結果はMolecular Psychiatryに掲載。鍵は次の3点だ。

  1. CADM2とGRM3が終生使用に関連。CADM2は衝動性や肥満などと、GRM3は統合失調症や双極性障害と関係が知られる。

  2. 追加解析で終生使用に40遺伝子、頻度に4遺伝子を補足し、うち29は未報告。

  3. 全ゲノムレベルで100以上の表現型(精神・認知・身体)と遺伝的相関。
    著者らは「因果を直結する証拠ではない」と明言しつつ、“依存の前段階の行動”(試す・頻度が増す)に潜む
    生物学的経路
    の理解が予防・介入に資すると見立てる。 today.ucsd.edu


なぜ「依存そのもの」ではなく「使いはじめ」や「頻度」を見るのか

依存は多因子(遺伝×環境×社会)で、単一遺伝子では説明できない。GWASで拾える効果はごく小さいが、“どの経路が関わるか”の道筋を示す。実際、CADM2はリスク選好・衝動性と関連しており、「使いはじめ」「頻度の増加」という行動経路を説明しうる候補だ。さらに、Yale主導の別GWASは「生涯使用とリスクテイキング」の遺伝的つながりを報告し、終生使用の遺伝学(CanLU)と使用障害(CUD)の遺伝構造が異なることも示し始めている。 Nature


専門家のブレーキ:「臨床で人をふるい分ける段階ではない」

ワシントン・ポストは依存遺伝学の第一人者Joel Gelernter氏の「統計的には重要だが、臨床応用はまだ」という見解を紹介。“遺伝子がある=依存になる”ではない。効果は小さく、社会・環境要因(入手性、製品の強度、開始年齢、メンタルヘルス、ストレス、同調圧力など)が重なるほどリスクは高まる。FDA承認のCUD治療薬は現時点で存在しないことも、介入の難しさを物語る。 The Washington Post


高濃度THCという“別ベクトル”

遺伝素因とは別に、製品側のリスクも強調される。高THC濃度製品は使用障害や精神症状との関連が系統的レビューでも指摘され、**エピジェネティクス(DNAメチル化)**の変化を示唆する研究も出てきた。**遺伝(生まれ持つ)とエピジェネティクス(環境で変わる)が絡み合うという観点は、「遺伝決定論ではない」**ことを補強する。 medscape.com


SNSの反応:3つの争点

公開直後、SNSでは次の3論点が目立った。

 


  • 遺伝決定論への警戒:「相関は因果ではない」「効果は小さい」とする科学的慎重論が支持を集めた。r/scienceのスレッドでも、“多因子モデル”やポリジェニックリスク前提での読み解きが多数派。 Reddit

  • データ・プライバシーと企業関与:23andMe参加者データの活用に、インフォームドコンセントが明示されているものの、生体情報の二次利用に不安を示す声も(研究側はAAHRPP認定IRB承認のプロトコル下で実施)。 today.ucsd.edu

  • 高THC製品への言及:臨床・医療アカウントからは、高濃度製品とCUD/精神症状の関連を引きつつ、「遺伝素因 × 製品強度 × 開始年齢の掛け算」を強調する投稿が拡散。 medscape.com

また、medRxiv公式Xによるプレプリント段階の共有ポストは、研究の規模と方法論(GWAS)への関心を喚起し、専門職コミュニティでの初期ディスカッションのハブとなった。 X (formerly Twitter)


何が“新しい常識”になるのか

  • 終生使用と依存は同じではない:終生使用(試す/使ったことがある)に強く関わる遺伝経路(例:CADM2)と、依存の病態(CUD)に関わる経路は重なりも差異もある。別研究がこの違いを後押し。 Nature

  • 小さな効果の積み重ね:一つひとつの遺伝子効果は小さいが、集合的なポリジェニック効果や環境の増幅で意味を持つ。

  • 臨床応用は“地図作りの段階”:治療標的の探索、予防の層別化(開始年齢・高THC回避・併存症管理など)の科学的根拠を積む過程にある。著者・専門家ともに過剰解釈を戒める。 today.ucsd.edu


政策・実務への示唆

  • 予防:若年での開始・高濃度製品・頻回使用は避ける。リスクコミュニケーションに**“遺伝素因×環境”**の視点を。 medscape.com

  • 医療:CUD治療薬は未承認。動機づけ面接/認知行動療法など心理社会的介入が現状の軸。遺伝学はバイオマーカー探索と合併症の把握(不安・うつ・ADHD・代謝疾患など)に関与していく。 today.ucsd.edu

  • 研究:多民族コホートや頻度・渇望・離脱など“中間形質”の精緻化が次の鍵。Yale系のCanLU研究も含め、使用の段階ごとの遺伝構造を描き分ける潮流が続く。 Nature


日本の読者への補足

国内でもCBD製品の流通やTHC規制議論が進む中、高濃度THCの回避、若年開始の抑制、メンタルヘルス連携は国境を問わず通用する実務知。“遺伝で決まる”ではなく“リスクの地形を読む”——その姿勢が、個人と社会の両方にとって現実的だ。



参考記事

なぜ人々は大麻を使用したり依存したりするのか?新しい研究が手がかりを提供 - ワシントン・ポスト
出典: https://www.washingtonpost.com/health/2025/10/13/cannabis-marijuana-addiction-genes-study/

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