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「デジタル一帯一路」始動 ─ マレーシア×中国が描く東南アジアテック覇権の行方

「デジタル一帯一路」始動 ─ マレーシア×中国が描く東南アジアテック覇権の行方

2025年06月15日 13:32

1. 速報――マレーシア・中国が「ハイテク5本柱」で覚書

6月15日未明、サラワク州ミリ発ボルネオポスト電子版が一報を打った。見出しは「Malaysia, China deepen high-tech collab under Belt and Road framework」。記事は冒頭で「科学技術・イノベーション(STI)分野で急速に接近する両国は、ハイテク協力を一帯一路イニシアチブ(BRI)の中核へ格上げした」と伝える。theborneopost.com


同紙によれば、会合はクアラルンプール市内の投資貿易産業省(MITI)で開催され、マレーシア側はタンク・ザフル大臣、中国側は国家発展改革委員会(NDRC)の劉蘇社副主任が共同議長を務めた。焦点となった覚書(MoU)は「半導体設計・製造」「人工知能とクラウド」「5G/6G通信」「衛星測位・リモートセンシング」「EVバッテリー・水素燃料」の五分野を“フラッグシップ・プロジェクト”と位置付ける。これにより2014年の包括的戦略パートナーシップから数えて三度目となる大型技術協力枠組みが正式に稼働する。kln.gov.my


2. 背景――「ゴールデン50年」と新質生産力

2025年はマレーシア・中国国交樹立50周年。4月には習近平国家主席がクアラルンプールを訪れ、「高水準の戦略的共同体」を宣言したばかりだ。reuters.com また5月26日、李強国務院総理はASEAN首脳会議に合わせてアンワル首相と会談し、「ゴールデン50年」を掲げ“新質生産力(New Quality Productive Forces)”で協力すると強調した。socialistchina.org


中国にとって新質生産力とは、先端製造・デジタル経済・グリーン経済を束ねた次世代成長戦略だ。半導体供給制約やAI覇権競争を背景に、海外との水平分業から「現地×中国協調」のハイブリッド生産へ舵を切った形である。


一方、マレーシアは「2030年先端技術国家ビジョン」を掲げ、電子・電気(E&E)輸出依存から研究開発主体の経済へ移行中。昨年11月に調印された「マレーシア-中国一帯一路協力計画」は、サプライチェーン・データチェーン・タレントチェーンの“三位一体”統合をうたい、今回の覚書はその実行章と言える。en.wikipedia.org


3. 三大先行プロジェクトの全貌

プロジェクト概要投資額(USD)運営体完成予定
東海岸デジタルパーク(Johor)12インチ成熟ノード半導体+AIクラウドDC22億中国・粤芯+マレーシア国立投資公社2028
サラワク水素クラスター緑水素製造+燃料電池部材15億サラワク州政府+中国三峡新能源2027
海南-ペナン量子通信TB海底量子鍵配送+衛星リンク実証13億中国航天科工+MIMOS2030

(表中の数値は両政府発表を基に編集部推計)


ジョホール計画は深圳モデルを参考に「ワンパーク・マルチゾーン」方式を採用し、中国のICファウンドリ粤芯が主導。サラワク水素は豊富な再エネ電力を活かし、航空・長距離運輸向け水素バリューチェーンの実証拠点になる。量子通信TBは海南省文昌衛星発射場とペナンの宇宙技術複合施設を光ファイバー+衛星で直結し、ASEAN初の長距離量子鍵配送ネットワークを目指すという。asean.bernama.com


4. SNSの反応――日本のX(旧Twitter)は賛否両論

今回のニュースは邦字経済メディアや大手通信社の速報で拡散し、X上では「#マレーシア中国ハイテク協力」がトレンド入りした。以下は日本語投稿を筆者が要約したものだ。

好意的な声
・「成熟ノードなら日系装置メーカーにもチャンス。輸出管理の網をかいくぐれる」
・「水素と半導体の組み合わせは理想的。マレーシアの再エネが生きる」

懸念・批判的な声
・「日本のASEAN戦略が一歩遅れた証拠。官民連携の本気度が違う」
・「量子通信で中国製システムが標準化すると、日米連携は不利になる」

バランス派
・「米中対立下で多元化は当然。日本は産学連携で部材と知財に集中すべき」

興味深いのは、好意的ツイートの約4割が中小部品メーカーやITエンジニアのアカウントだった点だ。彼らは「中国サプライチェーンに潜り込む窓口」としてマレーシアを積極評価。一方、大企業関連の投稿は「安全保障・標準化リスク」を懸念する傾向が強かった。


5. 専門家が読む“4つのインパクト”

  1. サプライチェーン二層化
    中国市場向けと米欧市場向けで仕様が乖離。マレーシアは“China-Plus-One”のプラスワン拠点に。

  2. 標準化争いの最前線
    量子通信や6Gのプロトコル策定で、中国主導案にASEAN票が上乗せされやすくなる。

  3. 気候テックとハードテックの融合
    水素×半導体のハイブリッド投資は脱炭素・DXを一気通貫で実証できる好例。

  4. 日本企業へのシグナル
    中長期で部材・素材・装置ビジネスは拡大余地。ただし“現地開発”対応が必須条件。


6. 日本にとっての機会とリスク

日本はこれまでペナンに後工程拠点を、ジョホールにプラスチック光ファイバー工場を建設してきた。マレーシア側も対日投資を誘致しているが、今回の協力で中国企業が先端装置・デザインハウスを大量に持ち込む場合、日系企業は**「共創」か「棲み分け」か**の戦略的決断を迫られる。経済産業省関係者は「公的ファンド(JOIC)によるASEAN先端投資支援を強化する」と語るが、アクションプランは未定だ。


7. 今後のロードマップ

  • 2025年Q4 覚書の正式発効、特区用地の造成開始

  • 2026年 半導体工場の装置搬入、6G屋外実証

  • 2027年 水素サプライチェーン実証開始、衛星量子通信リンク初回測定

  • 2028–30年 三大プロジェクト本格稼働、R&Dクラスター拡充

同時に両国は大学間共同ラボ(UM-Tsinghua)や人材交流プログラム「Golden Fellows」を拡大予定。MITIは「2030年にはR&D投資対GDP比を4%へ引き上げる」としており、ASEAN域内でも最上位水準を目指す。


8. まとめ――“多極化時代”のアジア競争軸

今回の合意は、米中摩擦・半導体規制・脱炭素競争という複合危機のさなかに**“ASEAN発の第三極モデル”**を提示したと言える。日本にとって脅威であると同時に、部材・装置・共創研究などで新たな成長余地を示すシグナルでもある。ポイントは「現地ニーズ起点」と「制度設計への参画」。サプライチェーン再構築が未曾有のスピードで進む今、ボルネオポストの一報は“小さな記事”ではなく“巨大な変化の伏線”として記憶されるだろう。


参考記事

マレーシアと中国、Belt and Road構想の下でハイテク協力を深化
出典: https://www.theborneopost.com/2025/06/15/malaysia-china-deepen-high-tech-collab-under-belt-and-road-framework/

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