メインコンテンツにスキップ
ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア ロゴ
  • 記事一覧
  • 🗒️ 新規登録
  • 🔑 ログイン
    • English
    • 中文
    • Español
    • Français
    • 한국어
    • Deutsch
    • ภาษาไทย
    • हिंदी
クッキーの使用について

当サイトでは、サービスの向上とユーザー体験の最適化のためにクッキーを使用しています。 プライバシーポリシー および クッキーポリシー をご確認ください。

クッキー設定

クッキーの使用について詳細な設定を行うことができます。

必須クッキー

サイトの基本機能に必要なクッキーです。これらは無効にできません。

分析クッキー

サイトの使用状況を分析し、サービス向上に役立てるためのクッキーです。

マーケティングクッキー

パーソナライズされた広告を表示するためのクッキーです。

機能クッキー

ユーザー設定や言語選択などの機能を提供するクッキーです。

気候乱高下で高まる“収穫のギャンブル” ― 温暖化がゆらす世界の食卓

気候乱高下で高まる“収穫のギャンブル” ― 温暖化がゆらす世界の食卓

2025年09月05日 00:39

「平均」では見えない危機——収穫のブレが増えている

「今年は獲れたけど、来年はどうなるかわからない」。そんなヒヤヒヤが世界の畑で常態化しつつある。英Phys.orgが9月3日(日本時間9月4〜5日)に伝えたUBC(ブリティッシュコロンビア大学)主導の新研究は、温暖化が**収穫の“ブレ”**を押し広げ、豊作と凶作の振れ幅を大きくしていることを、初めて全球スケールで定量化した。対象は世界の食卓を支えるトウモロコシ・大豆・ソルガムの三作物。結論は端的だ——気温が1℃上がるごとに、年々の収量変動は7%(トウモロコシ)、19%(大豆)、10%(ソルガム)増える。 フィジ.org


100年に一度が、25年に一度へ

平均収量の緩やかな低下より厄介なのが、“ハズレ年”の増加だ。研究チームの推計では、+2℃の世界で「100年に一度級の不作」の再来間隔は、大豆で25年、トウモロコシで49年、ソルガムで54年まで短縮する。つまり、人生のうちに何度も直撃し得る規模になる。価格は跳ね、貧しい家計や食料輸入国に打撃が波及する。2012年の米中西部の干ばつ・熱波で大豆とトウモロコシの収量が約2割落ち、世界の食料価格が数か月で約1割上昇した例は、その“予告編”と言える。 フィジ.org


なぜ“乱高下”するのか:猛暑×乾燥の同時発生

鍵は猛暑と乾燥の重なり(コバリアンス)だ。暑さは土壌水分を奪い、乾いた土は地表をさらに熱し、作物の授粉や生育期間を短くして回復不能なストレスを与える。研究は、観測・衛星・気候モデルの高解像データを組み合わせ、気温と土壌水分の同時変化が変動拡大の大きな部分を占めることを示した。単独の高温ストレスだけでは説明できない“ダブルパンチ効果”が、収穫のギャンブル性を高めているのだ。 Science.org


どこが特に危ないのか

もっとも脆弱なのは天水(降雨頼み)農業が多く、金融のセーフティネットが弱いサハラ以南アフリカ、中米、南アジア。灌漑は変動をやわらげるが、水がない場所では打つ手が限られる。食料輸入比率が高い国や、所得の低い家計ほど価格変動の被害を受けやすい。 フィジ.org


「平均低下」と「変動拡大」は別物、だが同時進行

6月にNatureに掲載された大規模分析は、温暖化が平均的な食料生産力を押し下げることを、現実的な適応を織り込んでも回避できないと報告した。今回の研究はその**“もう一つの刃”——変動拡大に焦点を当てる。つまり世界の農業は、「少しずつ減る」と「当たり外れが大きくなる」**の二重苦に晒される、ということだ。 フィジ.org


家計・企業・国家にとってのリスク

  • 家計:不作年の価格高騰は、低所得層ほど痛い。主食価格が数%動くだけで、栄養摂取に影響が出る。

  • 企業:原材料調達の価格・在庫リスクが拡大。フード・飲料だけでなく、家畜飼料、バイオ燃料、化学品まで波及。

  • 国家:食料輸入国は外貨準備や備蓄の運用が難しくなる。輸出国でも国内価格高騰で輸出規制が発動され、貿易摩擦を招く。
    (2012年の米国干ばつ時の価格急騰は教訓だ。) フィジ.org


では何をすべきか——5つの現実解

  1. 耐乾・耐熱品種の育種と多様化:作付の一極集中を避け、品種・作物のポートフォリオを広げる。

  2. 水の投資を「賢く」:灌漑は有効だが、水資源の制約下では精密散水・土壌保水(被覆、有機物増加、保水剤など)に比重を移す。

  3. 予測×保険:短期・季節予報と結びついた指標保険で所得の谷を埋める。

  4. 備蓄と貿易ルール:輸出規制の連鎖を避けるため、透明性の高い備蓄と事前協定を。

  5. 排出削減(根本対策):+2℃を回避できれば、世紀級不作の頻度上昇を抑えられる。 フィジ.org


SNSはどう受け止めたか:3つの論点

この話題はRedditのr/scienceやr/climateでも取り上げられ、次の論点が目立った。

  • 価格と家計:「毎年のパンの値段が当たり前に上下する世界」への不安。

  • 適応の限界:灌漑や品種改良は必要だが、水と資金の格差が“勝者と敗者”を広げるという懸念。

  • モデル懐疑派との応酬:一部に「予測は外れる」との声もあったが、**“平均”ではなく“不作頻度の定量化”**を評価するコメントも多い。議論は穏健だが実務的で、保険や備蓄の制度設計に関心が集まっている。 Reddit


研究の信頼性と透明性

論文はScience Advancesに掲載。要旨や方法が公開され、再現コードがZenodoで共有されている。著者の研究ページや大学のプレスリリースも整っており、査読済み・高インパクトの基盤に立つ。報道記事(Phys.org)の記述とも整合的だ。 Science.org+1ZenodoUBC News


日本の農業への含意

日本は灌漑や保険制度が比較的整う一方、高温夜と渇水の同時発生が増えるとコメの品質・収量の“外れ年”が増えうる。水管理の高度化、直播・省力技術、耐暑性品種の導入、そして国レベルの価格安定・備蓄政策の再設計が、これまで以上に重要になるだろう。今回の知見は“平均偏重”のリスク評価から、変動(ボラティリティ)重視へと舵を切る必要性を示している。



参考記事

気候変動により、収穫の不安定さが新たな常態になっている
出典: https://phys.org/news/2025-09-climate-rollercoaster-harvests.html

Powered by Froala Editor

← 記事一覧に戻る

お問い合わせ |  利用規約 |  プライバシーポリシー |  クッキーポリシー |  クッキー設定

© Copyright ukiyo journal - 日本と世界をつなぐ新しいニュースメディア All rights reserved.