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性別で異なる投資傾向:投資は怖くない、むしろ得意? 研究が示す女性の長期勝率

性別で異なる投資傾向:投資は怖くない、むしろ得意? 研究が示す女性の長期勝率

2025年07月06日 01:18

序章──「投資は男性の趣味」神話はなぜ生き残るのか

 2025年7月5日付の独紙『ターゲスシュピーゲル』オンライン版は、最新の YouGov 調査を引き合いに「ドイツでは依然として男性のほうが女性より株式やファンドに投資しやすい」という見出しを掲げた。記事が配信されるや否や、X(旧 Twitter)や Reddit、LinkedIn では賛否入り混じった議論が噴出した。本稿では同記事を起点に、歴史的・制度的背景から SNS 上の草の根議論まで多角的に検証し、最後にギャップ解消に向けた具体策を提示する。tagesspiegel.de



1 数字で読む男女差――43%対24%

 YouGov が6月下旬に実施した全国オンライン調査(n=2,043)によれば、株式・投資信託を保有していると答えた男性は43%、女性は24%。投資経験者全体に占める女性比率は33%にとどまった。非投資層が「余裕資金の不足」を主因に挙げた割合は男女とも約50%だったが、「知識不足への不安」は女性36%、男性28%と差が開いた。flz.de



2 歴史に埋め込まれたバイアス

 ドイツでは1977年の婚姻法改正まで、既婚女性が夫の同意なしに銀行口座を開設できなかった事実は広く知られる。家計管理は「支出の抑制」と同義であり、リスク資産は「家計を危険にさらすもの」とみなされた。こうした文化的残滓は、今日の金融教育格差にも影を落とす。OECD の国際金融リテラシー調査でも、ドイツの女性は平均で男性より 5~7 ポイント低いスコアにとどまる。oecd.org



3 最新統計に見る構造要因

 2024年版『アクティオンシュツァーレン』によると、ドイツの株式保有者 1,210 万人のうち女性は 38%。近年 ETF ブームで若年層の男女差は縮小しているものの、所得上位 40%では依然男性が優勢だ。dai.de


 なかでも投資額 500 ユーロ超の層は男性 29%、女性 12%に二極化。所得差だけで説明できない「心理的リスク許容度の差」が浮き彫りになる。



4 SNS が映す“リアルな温度差”

  • X(@BIDeutschland)

    「女性 ETF 投資家の平均リターンが男性を上回る研究も。量より質の問題だ」

  • Reddit r/Finanzen(スレッド “Wenn die feministische Finanzberatung …”)

    「5,000 ユーロ払って『マダム・マネーペニー講座』受けるくらいなら Vanguard All-World を自分で買う」reddit.com

  • r/Weibsvolk

    「“最初の100€を投資する”経験が行動のカギ。周りに語れる仲間が少ないのが一番の壁」reddit.com
     X ではデータ派男性が「金融教育の義務化」を主張する一方、女性コミュニティでは「コミュニティ形成」と「高額セミナーへの警戒」が共通トピックとなった。



5 心理的ハードルとステレオタイプ

 行動経済学者バーバラ・ボークス教授は「“Loss Aversion(損失回避)”の性差が投資行動を左右する」と指摘する。女性は長寿リスクを考慮して保守的になりやすいが、その一方でポートフォリオ全体のシャープレシオ(リスク調整後リターン)では男性を上回ると複数のメタ分析が示す。



6 家事・育児負担と可処分所得

 ドイツ連邦統計庁によると、フルタイム共働き世帯でも女性の家事育児時間は男性の 1.6 倍。これにより副業・投資学習へ充てる時間が圧迫される。さらに平均賃金は男女差 6%、管理職比率は男性 71%:女性 29%。投資はあくまで「余力」産業であり、ジェンダー賃金ギャップが投資ギャップを拡大する温床となっている。



7 ケーススタディ──二つの実例

7-1 “慎重派”クラウディア(32 歳、保育士)

 手取り 2,300€、毎月 50€ を積立 ETF。ボーナスはすべて旅行資金に充当していたが、昨年の物価高で「貯金ゼロ」リスクを痛感し投資額を 100€ に増額。SNS では #Sparquote(貯蓄率)タグで記録を公開し、半年で 1,500 人のフォロワーを獲得。投資への「仲間意識」が継続の原動力になったという。


7-2 “アグレッシブ派”ルーカス(29 歳、IT エンジニア)

 年収 75,000€、給与天引き型の Employee Stock Purchase Plan(ESPP)で給与の 15%を自社株へ。 Reddit r/Finanzen で「レバレッジ商品」を議論する動画を配信しフォロワー 2 万。直近 3 年の年平均リターンは 21%だがボラティリティも高く、リスク許容度の差が如実に表れた。



8 専門家の視点――「女性は本来、優等生」

 **ドイツ株式研究所(DAI)**のチーフエコノミスト、ゲリット・ファイ博士は「女性は投資期間も保有銘柄数も長い傾向にあり、本質的に分散効果を享受できる」と分析。金融ブロガー「Madame Moneypenny」ことナターシャ・ヴェーゲリン氏は高額メンタリングの是非を巡り批判にさらされつつも、「金融教育市場に女性視点を取り入れた功績は大きい」と一定の評価を得ている。welt.de



9 国際比較で見える希望

 英国では ISA(少額投資免税口座)の普及で18~34 歳女性の株式保有率は 2010 年の 18%から 2024 年には 33%へ倍増。スウェーデンは出産後 480 日の有給育児休暇を両親でシェアし、平均家計金融資産は男女差わずか 4%。制度改革が意識変容を後押しした好例だ。



10 提言――“小さく始めて長く続ける”仕組み

  1. 義務教育に金融リテラシー科目を導入(バイエルン州の試行プログラムを全国へ)

  2. 職場マッチング拠出の拡充:企業年金+ETF 積立のハイブリッド型

  3. 非課税投資枠の拡大とユースターゲット枠:日本の新 NISA を参考に上限を男女同一に引き上げ

  4. 公営オンライン・ラボ:図書館+e-ラーニングで無料の ETF 実践講座

  5. SNS での「投資継続年数」シェア文化:短期損益より長期コミットメントを賞賛する指標へ転換



終章──“壁”はガラスより厚くはない

 女性が投資に踏み出せない理由は「数字が苦手だから」ではなく、制度と文化が生み出す無意識のハードルだ。だが、投資はもはや富裕層や男性だけのゲームではない。少額・長期・分散という三種の神器さえ守れば、リテラシーとリスク許容度は後からでも磨ける。


 最後に、SNS でバズった 18 歳の新米投資家の言葉を借りよう。

「最初の 100€ は怖かった。でも“もし失敗しても授業料”と考えたらクリックできた。私ができたんだから、あなたにもできる」
 この“クリック”を後押しするのは、私たちの知識共有と制度設計に他ならない。ジェンダーギャップが解消される日は遠くないと信じたい。


参考記事

投資:男性は女性よりも株式に投資する傾向がある
出典: https://www.tagesspiegel.de/wirtschaft/geldanlage-manner-investieren-eher-als-frauen-in-aktien-13973948.html

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