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醸造タンクに流れるのは音楽ではなく雑音:ホワイトノイズがビール発酵を1日短縮 :圧力ではなく“粒子運動”で速くなる発酵

醸造タンクに流れるのは音楽ではなく雑音:ホワイトノイズがビール発酵を1日短縮 :圧力ではなく“粒子運動”で速くなる発酵

2025年08月20日 00:26

はじめに——“音で醸す”という発想

「発酵に効くのは温度と糖と酸素管理」——醸造の常識に、もうひとつ“音”が加わるかもしれない。オタゴ大学の研究チームは、ビール発酵中に白色雑音(ホワイトノイズ)を与えると、酵母が活性化して発酵が1日以上短縮できると報告した。風味はほぼ維持されるという。もしこの仕組みが工場規模でスケールするなら、タンク回転率とキャパシティの両方を押し上げる新手段になり得る。Phys.org


何をしたのか——白色雑音×線形アクチュエータ(LAT)

研究では、線形アクチュエータ(LAT)というデバイスで、800〜2000Hzの白色雑音を「粒子運動(particle motion)」として麦汁に伝達。従来の“空気→液体”の音伝播では音圧が失われがちだが、LATは液体中の粒子を直接揺らすように働く。結果、酵母が沈降しにくくなり、液中に高密度で滞留。糖の消費とアルコール生成が加速し、対照群に比べ発酵が21〜31時間短縮された。香味の要であるVOCのプロファイルには大きな差が出なかった点も重要だ。Phys.orgサイエンスダイレクト


数字で見るインパクト

・短縮幅:21〜31時間(“最大20%短縮”との報道)
・周波数帯:800–2000Hz(白色雑音)
・印加様式:LATで液中に粒子運動を付与(約140dB @20μPa相当の記載)
・風味影響:VOC組成の差は小さく、官能上の大変化なし
・スケール:報道では50L規模での検証にも言及
こうした数字は、1仕込みあたりのタンク滞留時間を丸一日分縮め、仕込み回数を底上げできる可能性を示す。Phys.org1news.co.nz


なぜ効くのか——“圧力”ではなく“粒子運動”の仮説

音は「圧力変動」と「粒子運動」の2側面を持つ。従来の多くの試験は空気経由の音圧印加で、液面や壁で減衰・反射し、酵母の周辺で十分な運動が起きにくかった可能性がある。今回のLATは液中の粒子運動を優位に伝える設計で、微細な撹拌効果により酵母を浮遊させ、栄養・酸素・代謝産物の移送を助けたと考えられる。論文は“細胞の代謝経路が刺激され、酵母成長と活性が高まった”と解釈している。サイエンスダイレクト


反証との整合性——「効果が薄い」という報告も

2023年のPLOS ONE論文は、水中スピーカーによる白色雑音の直接印加では、一般的なエール酵母の発酵速度・糖利用・VOCに一貫した改善が見られないと結論した。今回の成果と矛盾するように見えるが、印加様式(音圧主体vs粒子運動主体)や培地の違いが、結果の差を生んだ可能性がある。つまり“どんな音でも効く”わけではなく、“どのように伝えるか”が鍵だ。PLOS


現場導入のチェックリスト

  1. 衛生・CIP適合:タンク内にLATをどう実装し、洗浄工程を阻害しないか。

  2. 安全・騒音:記載の音圧は参照系の数値であり、外部騒音とは別物だが、作業者の聴覚保護設計は必須。機器駆動による振動伝播も評価したい。Phys.org

  3. 電力・コスト:発酵短縮ぶんの固定費・在庫回転改善と、デバイス導入・運転コストの損益分岐を試算。

  4. スケールアップ:50L→商用タンク(50〜200hL)での場内実証。流体場が変わるため、最適周波数・出力は再探索が必要。1news.co.nz

  5. 香味の一貫性:VOC差は小さい報告だが、各社のレシピ・酵母株・ドライホップ設計で再評価を。ホップサプライヤの技術レビューでも実務的な可能性が示されている。サイエンスダイレクトbarthhaas.com


他分野への波及

研究チームは、ワインやスピリッツなど他の発酵製品への応用可能性にも言及している。酵母の懸濁維持と代謝促進が鍵であるなら、乳酸菌など他微生物系にも原理的には拡張し得る。ただし微生物種による応答差は大きく、個別検証が前提だ。Phys.org


SNSの反応を拾う

ニュース公開直後から、大学公式のFacebook/Instagramでも動画やリールが投稿され、軽妙なトーンで拡散された。「誰が思った、バイブスでビールが早く醸せるなんて?」といったコピーは、一般層の関心を引いた。一方でRedditではテクニカルな議論も生まれている。FacebookInstagram

  • 「**ポイントは“音楽”じゃなく“白色雑音”**だ」(r/newzealand)というコメントは、周波数帯とノイズ性の重要性を直感的に押さえている。Reddit

  • 地元メディア1Newsの報道では“最大20%短縮”の見出しが付き、一般視聴者にもわかりやすい“時間短縮”の効能が前面に出た。1news.co.nz


研究の出どころと信頼性

本件は査読誌 Food Research International に掲載された論文(DOI:10.1016/j.foodres.2025.116427)に基づく。Phys.orgや大学ニュースルームは、その要点を噛み砕いて伝えている。過去研究との齟齬も含め、一次論文と周辺文献を併読することで、現象の境界条件(印加様式・濃度・スケール)が見えてくる。サイエンスダイレクトPhys.orgotago.ac.nz


まとめ——“第二の撹拌機”としての音

音は、撹拌やガス吹込みに続く“第三のハンドル”になり得る。今回のLAT方式は、酵母の浮遊を保ち、代謝を後押しする“見えない撹拌”として機能した可能性がある。産業実装には設計・安全・品質保証の壁があるが、タンク回転率の改善はブルワリーの収益に直結する。次の一歩は、商用スケールでの実地A/Bテストと、各レシピでの官能・VOC追試だ。音は、確かに“醸す”ことがある——ただし正しい周波数帯と、正しい伝え方で。barthhaas.com


参考記事

研究によると、音がビールの醸造を速める可能性があることが示されました
出典: https://phys.org/news/2025-08-beer-brew-faster.html

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