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注文画面を少し変えるだけで炭素は減る ― CO₂ 2,280g→1,530gへ。デリバリーアプリの“初期設定”が変えた一食の重さ

注文画面を少し変えるだけで炭素は減る ― CO₂ 2,280g→1,530gへ。デリバリーアプリの“初期設定”が変えた一食の重さ

2025年09月11日 00:49

1. “指先の気候対策”はどこまで本物か

スマホで数回タップすれば届く、今夜のごはん。便利さの裏で、わたしたちは見えないCO₂を確実に積み上げている。では、アプリの画面を少し工夫するだけで、その積み上げを減らせるのか――そんな素朴で野心的な問いに、ボン大学の研究者たちが真正面から挑んだ。結果は明快だ。「デフォルトでエコ」を据えるナッジは効く。しかし、その効き目は“瞬発力型”だった。Phys.orgUniversität Bonn


2. 実験の設計――ナッジ vs. ブースト

研究チームは、実在アプリに似せた実験用フードデリバリーで1,011人を3群に無作為に割付。注文は「バンズ、パティ、トッピング、ソース、サイド、ドリンク」を組み合わせるバーガーセットだ。

  • ナッジ(Default+):気候配慮メニューを初期選択に設定。さらに一覧の上に並べ、緑の葉アイコンで視認性を上げた。

  • ブースト(Information+):4つの“サステナブルな食のコツ”を提示し、選択が違いを生むことを伝えるバナー、そしてリアルタイムのCO₂排出見積を表示。

  • 対照群:上記の機能なし。
    一週間後に追跡調査(参加664人)を実施し、介入を外した同じアプリで再び選ばせ、持続性を測った。Universität Bonn


3. 一食あたり“約750g”の差

一次調査では、対照群の平均が2,280g CO₂に対し、ナッジ群は1,530g――約33%の削減。ブースト群は2,169gで小幅な改善に留まった。ところが一週間後、どの群も初回の対照群と同様の選択へ回帰し、持続効果は確認できなかった。要するに、画面設計の微修正は“その場の選択”には強いが、“習慣”まではまだ動かせない。Phys.orgUniversität Bonn


4. それでも、並び順は侮れない

今回の知見は、過去研究の流れとも整合する。2024年に4,008人を対象にしたオンライン実験では、メニューの並び替え(低炭素の料理や店舗を上位に表示)によって平均**12%**の削減が報告された。一方で、価格に炭素税を反映する“ミートタックス”やラベル提示は限定的な効果に留まった。情報を増やすだけでは人は動かない――嗜好と手間の摩擦の間に“選択アーキテクチャ”を差し込む方が強い、という筋の通った物語が見える。


5. “実購買ではない”という現実味のための留保

もちろん限界はある。今回の研究は仮想アプリでの選択で、参加者は実際に商品を受け取らず、お金も払っていない。実購買になると、配達時間、送料、割引、在庫など“現実の摩擦”が意思決定を変える可能性は十分ある。にもかかわらず、短期的な削減効果がここまでクリアに出たことは重要だ。プラットフォーム側が**“標準値”を気候に優しい方向に合わせる**だけで、社会全体のCO₂排出を薄く広く削る“ローフリクション政策”になるかもしれないからだ。Phys.orgUniversität Bonn


6. 日本の現場でどう生かす?

日本でもデリバリーは生活インフラになった。各社は“おすすめ順”や“人気順”を掲げるが、**「低炭素順」や「気候配慮デフォルト」**を静かに仕込む余地は大きい。例えば:

  • 初期選択:セットのデフォルト飲料をハイカロリーから無糖に、パティをビーフからプラントベースへ。

  • 視認性:緑の葉アイコンとCO₂数値の“軽い”ラベル(重くならないトーン)。

  • 構成の並び替え:検索結果やカテゴリで低炭素の店舗・メニューが先に現れる順序。

  • 軽い反復:毎回ではなく“たまに”現れるリマインダー。単発では効果が持続しないと示されたからこそ、摩耗しない頻度の設計が鍵だ。Phys.org


7. SNSの反応(要約)

今回の話題はSNSでも賛否がくっきり分かれやすいタイプだ。実際、同種の研究が報じられた際、典型的には次のような論点が拡散する。

  • 歓迎派:「選びやすくなるなら大賛成。課金や規制より優しい方法」(“ペイウォールよりはUI”という肯定)。

  • 懐疑派:「人を“誘導”するのはパターナリズム。情報を出すだけに留めるべき」(デフォルト操作への違和感)。

  • 効果主義派:「一週間で戻るなら、反復や報酬を組み合わせないとダメでは?」(持続性への厳しい目)。

  • 現場目線:「厨房や原価、在庫が絡む。アプリ側の並び替えだけで終わらず、サプライも一緒に変えないと」(実装コストの懸念)。
    本研究も**“短期で効いて長期で薄れる”**点が火種になりやすく、ナッジだけでなく反復や学習設計の必要性を後押しする材料として共有されるだろう。※ここでの反応は複数の同種トピックの観察から整理した一般的傾向であり、特定ユーザーの投稿を引用したものではない。


8. デザイン指針:強く、しかし“軽く”

ナッジの肝は**「強すぎない強さ」**にある。ユーザー体験を壊さず、行動の初速だけを押し上げる。プロダクト観点のメモを残す。

  • 見え方:緑葉や優しいグラデーション、数値は小さく。説教臭さを避ける。

  • マイクロコピー:“これが標準です”ではなく、“いちばん人気”や“おすすめ(環境配慮)”。

  • オプトアウトの容易さ:初期選択はワンタップで解除。自由度の高さが反発を抑える。

  • テスト文化:地域や時間帯でAB。頻度と飽和をモニタして摩耗を防ぐ。

  • 複合介入:並び替え(選択アーキテクチャ)+軽い学習(ブースト)を反復で。


9. 規模の経済と“総量効果”

個人の一食で約750gの差が出るなら、プラットフォーム全体ではどうか。単純化すれば、日間数十万〜数百万の注文を抱えるサービスで、デフォルト変更×採用率×持続率の積がトン〜キロトン単位のCO₂に直結する。もちろん、配送の移動排出や包装の排出は別に管理すべきだが、「選ぶ料理の中身」だけでも削減余地はある。過去の体系的レビューでも、炭素ラベル単体の効き目は文脈依存で、選択アーキテクチャの方が堅調という報告が増えている。


10. 次の一手――“習慣”を設計する

短期効果を習慣に変えるには、

  1. 間欠強化:毎回ではなく“ときどき”現れる気づき。

  2. 自己決定感:はじめに**誓約(プレッジ)**や“今月は低炭素に挑戦”の軽い合意を取ってからデフォルト提示――理論的にはナッジの効きを底上げする。

  3. 社会規範:*「あなたの地域では〇%が気候配慮を選んでいます」*の提示。

  4. ロイヤリティ:低炭素選択への“静かなポイント付与”。
    この方向性は既往のオンライン介入の示唆とも噛み合う。ナッジと*学習(ブースト)*のコンボ、それを反復する設計だ。


11. まとめ――“標準値”を動かす勇気

結論はシンプル。初期設定(デフォルト)を気候配慮に振るだけで、その場の選択は変わる。だが、それは一過性になりやすい。企業に求められるのは、反発を生まない軽やかな設計と、摩耗を避ける反復のリズムだ。UIは説教しない。それでも、標準値を少しだけずらすことで、社会は確かに軽くなる。Phys.orgUniversität Bonn


参考記事

フードデリバリーアプリでのナッジが二酸化炭素排出量の削減に役立つ可能性がある
出典: https://phys.org/news/2025-09-nudges-food-delivery-apps-carbon.html

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