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速すぎる流行を減速せよ:欧州が描く“スロー消費”の設計図 - 修理優遇とEPRで変わるクローゼット

速すぎる流行を減速せよ:欧州が描く“スロー消費”の設計図 - 修理優遇とEPRで変わるクローゼット

2025年10月17日 00:29

欧州で“超低価格・大量消費”モデルに急ブレーキがかかりつつある。背景には、EUが越境小包に1件あたり2ユーロの取扱手数料を導入する構想や、2028年に向けた関税の150ユーロ免税枠の撤廃計画、そしてフランスが進める超ファストファッションへの課徴金(2025年5ユーロ→2030年10ユーロ)と広告禁止の法案など、一連の制度パッケージがある。配送インフラの負担、製品安全、競争条件、そして“捨てる前提”の消費習慣を同時に正す壮大な試みだ。Reuters europarl.europa.eu


EUレベルでは、2021年に22ユーロ以下の輸入VAT免除が廃止され、すでにすべての非EU輸入に付加価値税(VAT)がかかる運用に移っている。今後は小包ごとの手数料(2ユーロ/倉庫経由は0.5ユーロ案)で急増する小口直送に監督コストを上乗せし、さらに関税免除150ユーロの撤廃を含む税関改革で“細切れ直送”モデルの抜け道を塞ぐ筋書きだ。欧州議会の要点整理や欧州委の通達もこれを裏づける。Taxation and Customs Union europarl.europa.eu


一方フランスは先行して独自の強力策を進め、超ファストファッションの定義に基づく1点あたり課徴金(2025年5€→2030年10€上限、または税抜価格の最大50%)と広告禁止を掲げる法案を2025年6月10日に上院が可決。最終施行には欧州委への通知・調整を残すが、方向性は固い。Reuters


加えて、グリーンウォッシング規制を強めるEU指令(Directive (EU) 2024/825)が2026年9月27日適用へ。あいまいで根拠のない「エコ」表示は禁じられ、耐久性・修理性に関する“実証付きの情報開示”が求められる。サステナビリティ訴求の“言いっぱなし”は通用しにくくなる。eur-lex.europa.eu



何がどう変わるのか:制度を3レイヤーで整理

1) 国境での“入口対策”

  • 2ユーロ手数料:EUが越境の小口直送に対して提案。監督コストや安全検査の財源確保が狙い。倉庫経由は0.5ユーロ案も。導入には加盟国・欧州議会の承認が必要で、各国では先行して独自の手数料を検討・導入する動きも出ている(例:ルーマニアなど)。Reuters

  • 150ユーロ関税免除の撤廃:2023年提案の税関コード改正パッケージに含まれ、2028年を視野に段階的に進む見込み。europarl.europa.eu

  • 統計:EU税関は2024年に46億個の小口荷物を処理、その91%が中国発という推計。政策論の背景に“桁違いの物流負荷”がある。europarl.europa.eu


2) 国内市場での“表示・流通対策”

  • グリーンウォッシング規制強化(EU 2024/825):あいまいな環境主張や“早期陳腐化”を促す商慣行の禁止など。各国は2026年3月27日までに国内法整備、同年9月27日から適用。eur-lex.europa.eu

  • 製品安全・違法品の監督強化:ECはDSA(デジタルサービス法)に基づきプラットフォーム対応を加速。Temuに対しては違法商品のリスク評価不備などの暫定的認定も出た。digital-strategy.ec.europa.eu


3) 消費行動を“買換え→修理・再利用”へ

  • 修理の優遇:フランスは**靴・革製品の修理VATを5.5%へ引下げ(2025年1月施行)**し、**衣類・靴の修理割引(ボーナス)制度も導入。スウェーデンも衣類・靴等の修理VATを一時6%→現在12%にするなど、修理を価格面から後押し。オランダは修理サービスに9%**の低率。Meridian Global Services

  • 拡大生産者責任(EPR)の本格化:EUは2025年から繊維の分別回収を義務化。スペインは繊維・履物のEPR政令案を2025年6月に公示し、年内〜26年初の成立を見込むなど、加盟国ごとに制度設計が前進。europarl.europa.eu miteco.gob.es



フランスの“超ファスト”包囲網:なぜ強硬なのか

フランス案は、大量投入・低耐久・修理されにくい構造を持つ超ファストモデルに狙いを定め、広告禁止と1点ごとの課徴金で“売り切り・捨て切り”を難しくする。上院可決(2025/6/10)時点の報道では337対1に近い圧倒的賛成で通過。施行には欧州委への通知・整合が必要だが、方向は明確だ。Reuters


産業界からは反発もある。Sheinは**「法案は消費者の購買力を損ねる」と主張し、在庫廃棄率の低さを訴えた。低価格を支える「直送・小ロット」モデルにとって、欧州の新コストは価格転嫁と配送モデル再設計**を迫る。Reuters



データで読み解く“安さ”の裏側

  • 利益と税負担:TemuのEU拠点(アイルランド)は2024年のEU域内税引前利益を約2倍の1.2億ドルに拡大。顧客は1.15億人超と報じられる。低価格直送の規模感は、EUの規制強化を後押しする材料だ。ガーディアン

  • 急増する直送:2024年に46億個の低価格小包、9割が中国発。欧州税関のオペレーションは“限界”に近い。europarl.europa.eu


SNSの反応:祝祭と反発、その間にある本音

 


  • 支持派(安全・公平・廃棄抑制)
     消費者団体BEUCは、Temu等から危険・不適合品が小包で流入している現状に警鐘を鳴らし、入口対策の強化を主張。規制強化を歓迎する投稿がX上で目立った。X (formerly Twitter)

  • 環境派(広告禁止を評価)
     気候NGOやアクティビストの間では、フランスの広告禁止を“行動変容の一歩”として評価する声。Xでも賛意の投稿が広がった。X (formerly Twitter)

  • 反対派(値上げ・選択肢減の懸念)
     Redditの欧州板では、2ユーロ手数料で小物買いが割高になるとの不満や、「EU内小売は消費者保護コストを負っている」との反論が交錯。価格転嫁と公平性をめぐる階層間の対立もにじむ。Reddit

  • 産業界(過度な中国狙い撃ち?)
     上院審議では**“超ファスト”と“従来のファスト”の線引きが論点に。欧州ブランドへの配慮が選別的**だとする見方も報道で示された。Reuters


小売・ブランドへの実務インパクト:5つの対応

  1. 原価設計の見直し:2ユーロ/0.5ユーロ手数料や今後の関税を踏まえ、EU内在庫・集約配送のシフトを検討。Reuters

  2. 修理サービスの実装:修理VAT優遇とリペアボーナスを活かす“有償修理の標準化”。保証延長・パーツ供給は差別化要因に。Meridian Global Services

  3. 表示・広告の監査:2026年9月からのグリーン主張の厳格化に備え、検証可能な耐久性・修理性データを整備。eur-lex.europa.eu

  4. EPRコストの織り込み:**繊維EPR(分別回収・拠出金)**が順次本格化。スペインなど先行市場の要求仕様をベースにEU横展開できる体制を。europarl.europa.eu

  5. 品揃えの“スローダウン”:投入点数・回転速度を抑制し、着用回数と再販価値を高める設計(縫製・補修しやすさ、素材選択)へ。



「それでも安い方へ?」——価格・行動のせめぎ合い

課徴金や手数料は一部が価格に転嫁されうる。一方で、修理の値下げや中古・レンタルの台頭が総支出を押し下げる余地もある。欧州の勝負どころは、“値上げの痛み”よりも買い方の更新が“お得”だと肌感覚で伝わる設計にできるかだ。授業料的な小負担(2ユーロ)と選択肢の置換(広告禁止・EPR)を同時に動かすのが今回の肝と言える。Reuters



歴史の余白:英国の「1ペニー徴収」提案と、今

英国議会の環境監査委員会は2019年に**「衣料1点あたり1ペニーの拠出」で再資源化基金を作る案を示した。小さな単価×巨大な点数のロジックは、EUの2ユーロ/小包**と同じ発想線上にある。欧州はついに、それを“実装段階”に押し上げようとしている。publications.parliament.uk



まとめ:欧州は“安さのコスト”を価格に戻す

  • 国境では2ユーロ手数料と関税免除撤廃、

  • 市場ではグリーン主張の厳格化、

  • 消費では修理優遇とEPR。

三位一体のデザインで、価格に外部コストを戻し, “捨てる前提”の速度を落とす。大量・低耐久・使い捨ての真のコストを可視化していくプロセスが始まった。


参考記事

ヨーロッパはどのようにして税金を利用してファストファッションのスピードを抑えているのか
出典: https://phys.org/news/2025-10-europe-taxes-fast-fashion.html

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