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イギリスで発見!恐竜時代のトカゲ祖先 : 歯は巨大、口蓋歯はゼロ—最古のレピドサウルスが進化の定説を揺さぶる

イギリスで発見!恐竜時代のトカゲ祖先 : 歯は巨大、口蓋歯はゼロ—最古のレピドサウルスが進化の定説を揺さぶる

2025年09月16日 00:08

序:掌の上の革命

2025年9月、「最古のトカゲ祖先がイングランドで見つかった」というニュースが世界を駆け巡った。主役は Agriodontosaurus helsbypetrae。掌に収まるほどの小型爬虫類だが、その影響は大きい。レピドサウルス類(トカゲ・ヘビ・トゥアタラ)に連なる系統の“起点”を、従来より 300万~700万年 ほど早めたからだ。地点はイングランド南西部デヴォン州シドマス、地層は三畳紀中期の Helsby Sandstone(現地では Otter Sandstone とも)。生命史の転換点“トリアシック・レボリューション”のただ中で、この極小捕食者は何を物語るのか――。


新種 Agriodontosaurus とは何者か

  • 体サイズ:全長およそ10cm、頭骨長は約1.4~1.5cmという超小型。

  • 生息年代:三畳紀中期アニシアン(約2億4,4~2億4,15百万年前)。

  • 産地:デヴォン州シドマスの海岸露頭(Peak Hill 付近)。2015年に採集。

  • 学名の意味:Agriodontosaurus は“猛々しい(Agrio)+歯(donto)+トカゲ(saurus)”、種小名 helsbypetrae は「ヘルスビー砂岩(Helsby Sandstone)の岩にちなむ」。

  • 分類学的位置:現生トゥアタラを含む リンコケファリア(Rhynchocephalia) の最古の確実例であり、広義の レピドサウルス類 の最古級メンバー。


何が「想定外」だったのか—頭骨と歯が語る進化の順番

古典的な“祖先像”では、初期レピドサウルスは (1)部分的に可動な頭骨(頭骨運動性)、(2)下側頭弓の開放、(3)口蓋歯の豊富さ を備えると予想されていた。ところが Agriodontosaurus は、(2)の 開いた下側頭弓 こそ示すものの、(1)頭骨の可動化(メソキネシス等)の兆候は乏しく、(3)口蓋歯がほぼ見られない。つまり“3つのうち1つだけ”という奇妙な取り合わせで、頭骨可動化や口蓋歯の役割は祖先段階では必須ではなかった 可能性が浮上した。


さらに注目は 歯 だ。前方は円錐形で頑丈、後方は幅広い三角形で鋭く、下顎の一部では歯が “斜列(en echelon)”状に配列する。これは 硬い外骨格(キチン質)の昆虫 を突き刺し、裂く のに適応した形態で、現生トゥアタラの“剪断”咬合と機能的に響き合う。小さくても捕食者—それが本種の生き様だった。


どう見えたのか—シンクロトロンCTが拓いた超微細世界

標本は砂岩ブロックにほぼ完全に封入され、外側からは細部が見えない。研究チームは ESRF(欧州放射光施設) と Diamond Light Source(英国) のシンクロトロンX線CT を駆使し、最大 6μm 級のボクセル解像度で立体再構成。頭骨の骨同士の縫合、歯根の付着様式(前方はアクロドント、後方はプルーラクロドント)、肩帯・肋骨・腹肋など、肉眼では到底追えない情報が可視化された。掌サイズの化石が“情報の宝庫”に変わったのだ。


進化のタイムラインを書き換える

これまで最古級とされたドイツの Wirtembergia(ラディニアン期、約2億3,8~2億4,0百万年前)より 3~7百万年 古い年代が示されたことで、レピドサウルス類の基幹分岐(リンコケファリア vs. パン‐スクアマータ) の最小年代制約が約2億4,5~2億4,1百万年前に押し上げられる。初期レピドサウルスの頭骨機能・歯と食性の進化史も、“可動化→大型化した獲物” という一本道ではなかった可能性が濃くなった。


発見の舞台裏—2015年の海岸で

標本番号 BRSUG 29950-14 は、2015年に化石収集家ロブ・コーラム氏が海岸の一時的露頭からブロックごと採集したもの。長年の準備とスキャン・セグメンテーションを経て、2025年9月10日 の Nature 論文公開、9月14日 頃の一般向け報道へとつながった。研究はブリストル大学の学生・指導陣が中核を担い、学習・研究の現場から世界的成果が生まれた好例でもある。


SNSの反応—“掌サイズの革命”が拡散

  • Nature Portfolio の公式アカウントは「デヴォンの小さな化石が最古のレピドサウルス候補」と投稿。可視化図や復元画が拡散され、研究のキーメッセージ(年代、歯、頭骨機能)が端的に共有された。

  • ブリストル大学 のプレス発表に添えられた Bob Nicholls による復元画や標本写真が、X(旧Twitter)やFacebookで多数シェア。「掌サイズで衝撃」「歯がデカい」「トゥアタラ連想」 といった短評が並んだ。

  • 放射光施設の関係者や科学メディアの投稿では、「シンクロトロンCTの解像度がキー」「ESRF×Diamondの協業が強い」 と技術面の評価が目立った。

  • 一方で、ごく一部のブログでは解釈への異議が提示され、“系統位置づけの議論”はまだ続く ことを示唆。とはいえ、小型標本から高密度の形態情報を引き出した点 には概ね好意的な反応が集まった。


よくある誤解と整理ポイント

  • 「トカゲの祖先=現代トカゲの直系祖先?」 → ここでいう“最古のトカゲ祖先”は、レピドサウルス類の基幹に近い系統 を指す。現生トカゲ(有鱗目)への直接の祖先と断定する趣旨ではない。

  • 「トゥアタラに似る=トゥアタラの祖先?」 → 類似は機能・形態の共有に基づくもので、リンコケファリアの初期形態を反映した可能性が高い。

  • 「デヴォンの海岸で三畳紀?」 → デヴォン州の沿岸には三畳系砂岩(Helsby/Otter Sandstone) が露出する。潮汐で一時的に露頭が現れることがある。


何が次に分かるのか—展望

  1. 追加標本の探索:同層準からのさらなるリンコケファリア/初期レピドサウルス標本が見つかれば、頭骨機能や歯の多様化の時間順序が明確になる。

  2. 歯の摩耗痕・微小損耗の解析:昆虫食の“実働証拠”を積み増す。

  3. オープンデータ化:高解像度CTデータの共有が進めば、第三者検証と機能形態学的モデリングが加速する。


現地を訪れる人へ(一般的注意)

化石採集は安全と法令・ルールの順守が大前提。海岸の地形は変わりやすく、潮汐に十分注意を。採集やハンマー使用には許可やルールが必要な場合がある。展示や地元博物館で公開情報を楽しむのも一案だ。


まとめ

Agriodontosaurus は“最古”というタイムスタンプ以上の意味を持つ。可動化の前に何が必要だったのか、口蓋歯はいつ・なぜ減ったのか—祖先像の再設計を迫る、密度の高いヒントの集合体だ。掌サイズの化石が、レピドサウルス進化の地図の目盛りを繊細に刻み直したと言える。



参考リンク(一次論文・機関発表・主要報道)

  • Nature(一次論文・OA): The oldest known lepidosaur and origins of lepidosaur feeding adaptations(2025/9/10)

  • University of Bristol プレスリリース:Digging into the origin of lizards(2025/9/10)

  • Phys.org(AFP配信の一般向け報道):Oldest known lizard ancestor discovered in England(2025/9/14)

  • Science.org(AAAS 記事):‘Incredible’ fossil reveals earliest relative of lizards and their kin(2025/9/10)

  • Lightsources.org(ESRF/Diamond 掲載):Digging into the origin of lizards(2025/9/10)

  • Natural History Museum(ロンドン):Newly found fossils of lizard-like animal are the oldest ever discovered(2025/9/10)

  • Sci-News:Fossil of Oldest Known Lepidosaur Unearthed in UK(2025/9/10)

  • Bioengineer.org:Oldest Lepidosaur Reveals Feeding Evolution(2025/9/11)

参考記事

イギリスで最古のトカゲの祖先が発見される
出典: https://phys.org/news/2025-09-oldest-lizard-ancestor-england.html

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